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大切なのは「正解力」ではなく「問う力」

子どもは生まれながらに「問う力」を持っている。その証拠に親が子どもの「育ち」を邪魔せずにすくすくと育てた家庭の子は3歳ぐらいになると必ず「なんで?」「どうして?」を連発する。この時の親や周りの大人が彼らの好奇心を引き出す方に回るのか?あっさりと答えを教えてしまうのか?によって、その子の好奇心の泉がこんこんと湧いてくるのか、1〜2年で枯らしてしまうのかが分かれるのだ。

そうは言っても、子育て中の母親はただでさえ忙しい。家事も育児も全て母親の肩に一気にかかってきているのが日本の現状なのだ。「男性育休」がやっと制度になるとか喜んでいる場合ではない、いったい何年かかっているのか?その間数十年もの間、孤育てで悩み苦しんだ母親が育てた子どもたちが日本社会に大量に送り出されているのだ。

子どもたちの自殺、不登校、いじめ、はちっとも減らない。その原因が、子育て環境の中にあると考えてみるのも必要なのかも知れない。

なぜ「問い」がでなくなるのか?

こどもに言ってはいけない言葉のランキングトップをご存知だろうか?私も聞いてぎょっとしたが、それは家に帰ってきた子どもに対して「今日は学校(幼稚園・保育園)どうだった?」と言うものらしい。試しに子育て中のお母さんはお子さんに意識して聞いてみてほしい。(無意識で答えを期待せずに聞いている親が多いらしい)

そもそも、子どもは学校では相当なプレッシャーを抱えて過ごしている。だから家に帰ってきてお母さんの顔を見たら色々なことを聞いてほしいのが正常な育ちなのだ。(思春期まではそれが正常なのかもしれない)

「今日先生がね・・」とか

「今日○○ちゃんがね・・」とか

離れている時間にあったことをたくさん聞いてほしいのだ。ところがお母さんは自分の用事で忙しい。洗濯、掃除は済んでいても、洗濯物を取り込んで畳んでなおす(実はこれ、ロボットを作ってやらせるには莫大な費用がかかるらしくコスト面で中々自動化できないらしい)夕食の準備やスーパーへのお買い物や、子どもたちの宿題のチェックや、連絡帳を見て一喜一憂しないといけないのだ。

こどもの「なぜ?」はその子の将来にどんな影響を及ぼすのか?

親が忙しすぎたり、優先順位が低かったりして、子どもの話をきちんと聞いていないとどうなるのか?(きちんと聞くと言うのは何かしている手を休めて、ちゃんと子どもの方を向いて、相槌を打って、子どもの話を遮ったり、取り上げたりしないで聞くこと)

子どもたちは自分の存在は「重要ではない」と感じるのです。つまり、「自分なんて」とか、「自分はいなくてもいい存在?」といった、「自己重要感」のない子ども。「自己肯定感」の低い子どもになってしまう確率が高いのだそうです。

そうなるとその子はどうなるのか?ちょっと考えたらわかります。「自分の存在は重要ではない」だから、生きていく上で起きてくる様々な障害や困難に立ち向かうことができなくなる。つまり、「そこまで頑張ったところで自分は重要な存在ではないのだから」となる。結果、ストレス耐性の低い子になり、重度の場合は社会からドロップアウトしてしまう可能性すらあるのです。

「そんな!こどもの話を優先的に聞かないだけでそんなことになるの?」と思われたかもしれませんが、子どもが一番大切な存在だと思っている「親」が話を聞いてくれないと、親以外の人とのコミュニケーションもうまくいかないのです。話がちゃんと聞けなかったり、過剰に話しすぎて疎まれたりすると言うようなことがその子自身に起きるのです。つまり・・コミュニケーションが下手な子になるのです。人や多くの動物は群れをなして生きています。群れから離されてしまったらどうなるのか?「弱肉強食」の動物の世界ではそれは「死」を意味すると言われます。

そして人間の若者の死因のトップが自殺というのは、人間も例外ではないということを物語っているのではないでしょうか?


「なぜ?」の先にはなにがあるのか?


こどもが「なぜ?」「なんでだろう?」と興味を示すと言うことは好奇心が芽生えていると言うことなのです。「もっと知りたい」と言う欲求の表れなのです。大人は自分が知っていることだからむげに扱ったり、めんどくさそうに対処してしまったりするかも知れません。でも、子どもにとっては好奇心が湧いて全身全霊で「知りたい!」という欲求が出ている時に、親の対応が悪いと、どんどん好奇心の芽が摘まれていきます。脳は刺激を与えることで成長していきます。特に6歳までの脳は前頭前野といった「過去と未来を司る脳」の進化がすごいのです。過去と未来を司るということは日本人がよく言う「空気が読めるか」と言うことに繋がり、コミュニケーション能力にも大きな影響を与えると言うことになるのです。

人類が二足歩行を始めたことで「チンパンジーからヒトに進化する」と言った、人類が地球上でトップの座に躍り出た理由にもなっている「一大事」が我が子の脳内で始まっていると考える方が良いでしょう。それぐらいこどもが親を質問攻めするということは、その子の脳の発達に大きな影響を与え、親の対応次第では「ヒトとして進化する脳」になれるかどうかの瀬戸際。子どもたちの「脳力」がものすごく進化を遂げる時期なのです。

「なぜ?」からたどり着いた「答え」はその子のミッションにつながる

人類が他の動物と違って、大きく進化した理由の一つが、「自分以外の人とコミュニケーションを取り、一緒に何かを作り上げる」という「コミュニケーションを取るちからの進化がハンパなかった」ということなのだそうです。チンパンジーやイルカなどは頭がいいと言われていますが、この「共同作業」と言う部分では幼稚園児にも勝つことができないのです。

「人にはこころがあるから?」と言われますが、こころはいったいどこにあるのでしょうか?日本人は心は「腹」にあると考えたようです。「腹が据わっている」とか「腹が立つ」というような表現からもわかるでしょう。欧米では心臓にあると言われ「ハート」などと表現します。医学的には「脳にある」とも考えられていますが、実際にはいまだにわかっていないのが現状です。ただ、こころが育つにはどうしたらいいか?というのはどうやらわかってきたようです。

赤ちゃんは生まれて2歳ぐらいまでに「養育者」(主に母親)との関係性が何らかの形で寸断された場合「愛着障害」が起きるそうです。フィレデリック大王の実験でも明らかになったので周知の話です。

子どもの話を聞かないことが「ネグレクト」になるとは言いませんが、それぐらい「子どもの育ち」には重要なことが「聞くこと」なのだと言うことを知ってほしいのです。そしてさらに一歩先を見た子育てをしてほしいと思います。それはこどもが「自分は何のために地球に生まれてきたのか?」ということを自覚させてほしいのです。

アメリカの家庭では「早期起業家教育」と言われ、子どもの頃から「社会に出たらどんな風に社会の役に立ちたいのか」ということを事あるごとに親が子どもに質問するのだそう。大人になってもそうですが、この「ミッション」があるかないかで1年後、5年後、10年後その子の人生は大きく変わります。

1000円の時給で皿洗いのバイトをしていた子がいて、一緒に入ったもう1人の子は「3年以内に自分のレストランをオープンさせる!」という「ミッション」があったとします。時給だけで1時間過ごすのと、「美味しいレストランで地域を笑顔にしたい」と言うミッションを持った子との3年後5年後は違ったものになるのは明らかです。

「子どもの話を最優先で聞く」たったこれだけのことがその子の人生を、地域社会を、親の人生までも変えてしまうと知ったら、家事や仕事は二の次でいいということが伝わりましたでしょうか?つたわるといいな。


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