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飲食店を応援したい人に読んでほしい、バーのマスターの話

大阪のローカルメディア「ぼちぼち」でたまに取材をします。昨日も取材があったのですが、この状況下での気づきだったので、シェアします。

とあるレトロビルのバーにて

取材先は、大阪は北浜。レトロビルが立ち並ぶ北浜エリアの中でも有形文化財に指定されている「芝川ビル」にて。

もともと取材のメインはTHE BOLY OSAKA というバカおしゃれなホテルだけど、支配人も通っている仲良しなマスターがいるバーを紹介くださったので、ついでと言っちゃなんだけど(失礼)取材した流れだった。

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マスターが大癖じゃ

そのバーは「The Court(ザ コート)」。
芝川ビルの初代オーナーは、ニッカウヰスキー創業者で「マッサン」として有名な竹鶴政孝を支援していたそうで、そんな背景からThe Courtはニッカウヰスキーをメインに取り揃えている。

マスターは、ロン毛をぴちっと綺麗にひとつしばりをして、ちょっとふくよかでおおらかさも感じる山ちゃん。
濃いぃキャラクターと裏腹に、話し方がめちゃめちゃ丁寧という、絶妙なバランスだった(失礼)

ウイスキーの話を聞けば、歴史から作り方から違いまで、どんなことでも答えてくれる、さすがはバーのマスターという感じである。

飲食店は新型コロナウイルスの影響が半端ない

なんとなくの想像はできても、やはり本業でない分、身をもって実感できないところがあるのが情けないところだが、山ちゃんとも今回のウイルスの一件はかなり厳しいという話になった。

その中で、山ちゃんが少しだけ話し出すテンポが遅れた瞬間があった。
近くの飲食店経営者の方が亡くなられたことを話してくれた。
改めて見た山ちゃんは、一瞬すごく寂しそうな表情をしたが、すぐに笑顔に戻した。

私も身近にそのような話を聞いたことがなかったし、ニュースにこそ騒がれていないが、粛々とこの事例は起きているに違いない。

ひとりがテイクアウトしたところで力にはなれない

その話から、最近、頭のどこか端っこの方でウロウロしていた薄情とも思える違和感を伝えた。

この数ヶ月の週末は、出来るだけテイクアウトを利用していた。応援できればと思ったし、まぁ自分もごはん作らなくて楽だし。
でも、どう見てもメニューのコストや人件費を考えても割には合わないだろうなと思った。
たかだか数千円、数店舗を利用するので店側からしたら週に1回はたまた月に1回程度。
大した力にはなってないと思う。

と、そんなような内容だ。

お店側が思っている"応援"とは

山ちゃんのアンサーはこうだ。

「ありがたくも個人がテイクアウトで協力してくれたところで、ほんま申し訳ないですけど、正直そんな大した力にはなってません。ほんと、それが正直なところ。
だって人が来なくなってから全然違いますから。」
と、私の推察を概ね認めながら「だけどね、」と続けた。

「問題は額ではないんですよ。気持ちなんです。
うちのお店もビジネス街だから常連さんがよく来てくださっていたけど、やっぱりテレワークなどに切り替わって来なくなっちゃったんです。

だけど、『珈琲一杯でアレやけど、来たわ。ほんで元気してんのかぁ?』と覗いてくれたり、『あかん、夜はなかなか飲み行けへんねん』って顔だけ出して一声かけてくれる、それでじゅーーーうぶんなんです。
あぁ、ありがたいなぁ、まだ頑張らなあかんなぁって思えてくるんですよね。

出てくるパワーが全然ちゃいます。
だから、声だけでもいいんです。ほんまに十分なんです。」

本当に応援するということ

あぁ、そうなんだ、と思った。
莫大な何かをもって貢献せねば、と肩に力を入っていたけど、声を掛けるが本当に大事なことなのかと思った。
(言わずもがな、商品を買うのはベストのはず)

何も言わずに買っていくよりも、
「一緒にがんばろな」とか「大変だよね」のひと言を添える、
心のうちを伝えるだけでいいということだ。

日本人にとって、感情を込めた言葉を直接かけることって苦手分野かもしれないけど、今だからこそ照れ臭いとかそんなものはないし、それでひとりでも苦しいと追い詰められている人の力になれるなら、こんな簡単な話はないと思う。

だから、みんな、ひと声かけてみようぜ。

声かけの注意点

もうひとつ、参考になることを山ちゃんは教えてくれた。

「『大丈夫?』よりは『今、大変よな?』という共感のセリフがありがたいんです。実は。
日本人は『大丈夫?』と聞かれると、『大丈夫!』って答えてしまうと思うんです。客商売の人は特にそうかもしれませんね。弱みを見せてはいけないというか、見せたくないというか。
お客様に弱音吐いてたら嫌じゃないですか?折角来たのにどんよりしてるマスターが相手とか(笑)

だけど、誰しも今のこの状況に大丈夫なわけないんですよ。
だから、同調するような言葉を掛けられたら、こちらも肯定できるんで、すごくありがたいです。
逆に、否定する方がエネルギーも要りますしね。『うん、大丈夫』って言っちゃいますもんね。」

たしかに。。
もう後半は「たしかにー」しか言ってなかった気がする。

ということで、みんな、同調の声かけをしてみようぜ。

以上です!

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