（第1回）Googlemapに撮られた女

友人の話。

会社員時代の後輩で今も仲が良い友人がいる。
ある日彼女から、インターネットでお馴染みのGooglemapに登場してしまったと報告を受けた。
撮影現場を目にされたことはあるだろうか？
360°カメラをつけたアレである。

その日の朝、彼女は出勤のため最寄り駅まで自転車で向かっていたようだ。
途中、「はっ…！自分を見ている奴がいる！」と背中で気配を感じ取り、恐る恐る振り返ると、そこにはジワジワと確実に迫り寄ってくるカメラが。

「あまりに突然の登場にびっくりしましたよっ！でも、とにかく顔は隠しましたっ！」と興奮気味に友人は語る。

ひとまず正面激写の防衛成功に安心したのか「ほんま出会うもんなんやな〜」などと出来事を振り返りながら駐輪場に自転車を置いて改札へ向かうのだった。・・・が、ホッとしたのも束の間、またも再会を果たしたのである。

今度は正々堂々と正面切って向かってくるヤツに、逃げ場もなくバッチリと正面から激写されてしまったのであった。

後日出来上がりの写真をふたりで確認してみると、あらゆる角度から見事に激写された友人の出勤姿が写されていた。

もちろん、モザイクも隅々まで抜かりなく。

友人は「ヤダー！！嫁入り前なのにぃぃーーー！」と嘆いていた。
人生、油断はできないものである。

〜後日談〜
友人は、無事に嫁になれた。
今となっては天下のGoogle様に写真どころかモザイク処理までしていただけたなど、むしろ人生の輝かしい歴史なのかもしれない。

※この作品は、大阪のコワーキングスペースOBPアカデミア様より依頼をいただいているリーフレットで掲載されたものを、リライトしてお届けしています。