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MBA生と日本のフェムテックについて話したら、エンジニアの巻き込みが不足しているという結論になった

グロービス経営大学院で定期的に開催している「フェムテック部屋」。
第11回目は、海外のフェムテック製品について紹介したが、「なぜ日本のフェムテックは、米国や欧州と比較してこんなにも進んでいないのか」という質問が出た。
海外のフェムテック製品を紹介しながら、MBA生と議論した内容について紹介する。

CES2022でも話題のフェムテック

2022年は1月5日~8日の間、オフラインのオンラインの両方で開催

世界最大のテクノロジー見本市CES。米国消費者技術産業協会(CTA)が、1967年から毎年開催しているが、筆者が知ったのは2019年。
同僚が現地に行くと聞き、その時は特に興味もなく「出張お疲れさま」くらいの勢いで終わっていた。
(今考えると、もっと事前に調べて同僚と話しておくべきだったと後悔)

実は、その年のCESでフェムテック企業のLora DiCarloが、イノベーションアワード受賞取消となる事件があった。
(その後、取消は撤回されている)

新型コロナの影響で2021年はオンライン、2022年はハイブリット開催。
今年は、日本から現地に出向いた知り合いのSNSをひたすらウォッチ。「CES最高です!」という書き込みを指を加えてパトロールしながら、CESホームページやTechCrunchを見ていたが、気になった製品がこちらの3点。

UE Life Sciences

ハンディサイズの機械で、被爆なし・痛みなしで乳がんを検知し、手軽な検査受診でFDA(米国食品医薬品局)を取得している。
CESでは、グローバルウィメンズヘルステックアワードを受賞。

この製品を紹介した際、MBA生の一部から「なんであんなにマンモグラフィーは痛いのか。早く日本にもこの商品来てほしい」という声があった。
日本ではリリーメドテックが「痛くない乳がん検査」を実現している。

以下の記事で、リリーメドテックのファウンダーの想いが書かれているので、参考にしてほしい。

被爆や痛みを伴う、現在の一般的な乳がん検査

MOVANO

FDAクリアランスを取得し、日本でも販売されているOura Ringよりも女性特有のデータが集められるとのこと。
Oura Ringは日本語対応もしており、筆者の周りでも大人気だが、MOVANOはより女性向けのデザイン。2022年後半販売予定とのことで期待大。

Owlet

2021年にSPAC上場した、乳幼児のモニタリングブランド。布製靴下を巻き付けて、子どものバイタルサインをリアルタイムで確認できる。

MOVANOもOwletもそうだが、ユーザーのバイタルデータをどのように取得するのか、2022年は特に注目していきたい。
なぜなら、筆者はFitbitを使用しているが、Fitbitがなければ歩かないし、外にも行かないと思う。Fitbitは歩数が表示されるが「今日は500歩しか歩いてないから、コンビニでも行こう」という行動変容につながっている。
自分の健康状態を可視化できる重要性を痛感。

今後は血糖値も非接触でとれるようなデバイスを購入すれば、食事も気を使えるのではと期待。CESでも血糖値を取得できるデバイスがいくつかあり、チェックしていきたい。

日本のフェムテックの課題

日本からCESに行った知人が、「日本は30~40代男性のファウンダーが多かったが、韓国や台湾は女性も多く、男女差を感じた」と言っていた。

CESはテクノロジー見本市でもあるため、世界中の最新技術が集まるが、日本においてまだまだ女性の技術者は少ない。
さらに、女性の技術者が大企業に集まっている印象を受ける。

フェムテックに関しても、「THEテック」のような企業はまだまだ少ない。

以前、「こういうフェムテック製品が日本でもあればいいな」と思い、情報収集をした。しかし、そもそもエンジニアと出会う機会がなく、どうやって出会えばいいのだろう?で一時停止してしまったことがある。
もしかしたら、フェムテック事業を考えている方の中には、同じことを感じている方もいるかもしれない。

出身校のグロービス経営大学院では、MBA生とエンジニアが交流できるような仕組みを構築していたが、日本のフェムテックにおいても、同じようなマッチング(お見合い)のような仕組みが必要かもしれないと感じている。

実際に参加した感想の一部

参加者の男女比は半々

女性特有の健康課題に、テクノロジーを融合させることで解決に取り組んでいるフェムテックという領域を初めて知り、大変勉強になりました。
初潮→月経→妊娠→更年期と、生涯を通して各ステージ毎に女性の健康に、まつわる課題があります。
テクノロジー利用で、女性のQuality of Life向上につなげられるという取り組みに共感しました!
また、医療面だけでなく、様々なビジネス連携ができそうな領域だという気づきがありました。

たくさんのインプットをいただけて大変有意義でした!
フェムテックと括っても、年齢やライフステージによってさまざまな症状や解決したい課題がある一方で、サービス提供者側は個々の課題解決に専門性を必要とし、さらに個々の解決策をつなぐ中長期的な顧客関係構築が必要であるという、構造的な課題感が発見でした。

とても興味深いお話しありがとうございました。フェムテック業界の現状が良く分かりました。プロダクトの事例も参考になったのですが、時間がなくて紹介しきれなかったものも、めちゃくちゃ興味があるので、また参加させていただきます。

フェムテックという言葉を初めて聞きました。この先、目指そうとしている「女性のストレスフリーを実現する職場」において、知っておくべき分野で、今日の出会いに感謝してます。今後もこの分野の知見を増やしていきたいと思います。ありがとうございました。

海外の製品サービス事例、とても参考になりました。

フェムテックの実例を教えていただき、深く知れたのがよかったです

参加者は、「フェムテックをはじめて聞いた」という方から、フェムテック事業を検討・展開している方までさまざま。
筆者は日々、フェムテックの情報に触れているので、「みんながフェムテックを知っている」と思いがちだが、「初めてきいた」という方も多くフェムテックの認知度がまだまだなことを痛感。

また、フェムテック事業を検討・事業化している方には、事務局をしているFemtech Community Japanに参加いただけたらうれしいです。