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【イベントレポート】健康なお口を育てるために大切なのは、土台づくり

7月2日に大月デンタルクリニックの方をお招きして、「健康なお口を育てるために大切なこと」というイベントを開催しました。

虫歯のこと

7人に3人いるという虫歯のこども。じつは年々減っているそう。
定期的な歯科検診・歯ブラシとフロス・食事や間食の時間を決める…などの予防や、仕上げ磨きのコツなど、すぐに使える知識を教えて頂きました。

なかでも、
子どもが自分でつかう歯ブラシと、親が仕上げ磨きで使うものは分ける
というのはなるほど!と納得。

自分でつかうのは、キャラクターものなどその子が好き!でなじみのあるものでよい。(噛んでへたっていてもOK)
お気に入りの道具を使うと、家事や仕事がより楽しくなる…そんな感覚でしょうか。

仕上げ用はナイロンよりポリエステルなどのコシが強いものだと
短時間で汚れを落とすことができるそう。

歯並びのこと

むしろ問題なのは、4人に3人はなっているという歯列不正(歯並びのトラブル)

歯並びを決定するのは、遺伝が3割、
のこりは生活習慣などの環境の要素が大きいのだそうです。

歯並びというと矯正などのイメージがすぐに浮かびがちですが
そもそも歯がきれいに並ぶには、十分なスペースが必要。

つまり、顎がしっかり発達していることが不可欠なのです。

顎を育てるのは、その子の毎日の習慣。

例えば…

鼻呼吸
口周りの筋肉のバランス
舌の位置
奥歯で噛んでいること
良い姿勢で食べていること
正しい飲みこみ方をしていること

これらの生活習慣は、親の生活習慣をマネするそう。
ご家族が歯とお口によい生活をしていることが土台になるのですね。
(私も自分の生活や食事スタイル、姿勢を見直す必要があります・・・笑)
決して、こうしなさい!と口うるさく言うということではないのです。

よい姿勢をつくるには、体幹・全身を動かしてよく遊ぶこと。
(現代の子どもたちの歯並びが悪くなるのも頷けます。動かない楽しい遊びがいっぱいありますもんね)

また、顎のすこやかな成長・よい歯並びには舌の位置がとても大事!ということも再確認できる内容でした。
(スタッフの小松は美容や健康に興味があり、舌からアプローチする小顔やリフトアップについて学んでいます。そこでも舌の位置を正しくすることが大切と言われていました!)

顎の成長のピークは7~8歳、12歳までにだいたい完了するそう。

そのために、舌が「上前歯の少し後ろ、上あごにぺったりくっついている」のがベストポジション!
それができていると、顎が前方にちゃんと発達して、歯が並びきるための
充分なスペースができていくようです。

先生の言葉を借りると「歯がお家だとしたら、顎は土台、土地!家をどう並べるかの前に、十分な広い土地を贈ってあげて下さい」とのこと!
歯は土地が狭いからと3階建てにはできないですもんね。

また、前歯は2gの力で動くため、500gの力がある舌がどの位置にあるかが、根本的に大切なのだそうです。

せっかくお金と時間と痛みもともなう矯正をしても、そういった口周りの筋肉のバランスがとれていないと、またずれてしまうのだそう。

舌の位置をただしいポジションに持っていくためのトレーニングも解説していただきました。

授乳

授乳で大切なのは赤ちゃんのお口がラッパのように開いている「ラッチオン」という状態になっていること。
(よくママが赤ちゃんにおっぱいをあげているイラストで、乳首だけ口に含ませているものが見受けられますが、あれをリアルでやると浅飲みになり、乳首の表面が切れたり、痛いことになります。)
それには、おっぱいを含ませる時に舌が上がっておらず、ある程度出せることが必要です。

ただ、これができないお口の構造の赤ちゃんが一定数います。
舌の下にある筋(舌小帯)が短い「舌小帯短縮症」の子がそれにあたります。かくいうスタッフ小松もその舌だったので、おっぱいを自分でうまく飲むことができず、医療機関で舌小帯を切る処置をしてもらいました。

そのままにしておくと、

  • 哺乳が上手くできず、体重の増えが悪くなったり、乳首の傷になったり。

  • 食べ物をかむとき、舌を左右にうまく振る動きが出来ないので丸のみになったり。

  • 舌ったらずな喋り方になって、それをからかわれたり、気にすることで社交に問題が出てきたり。

  • 笛が吹けないなど

いろいろなトラブルが発生します。

もちろん舌の状態の程度によって、処置の要不要も対策も異なるので
当院や大月デンタルクリニックでは専門のお医者さんに紹介しています。

離乳食

日本での離乳食の進め方は、どろどろにしたものからやわらかいものへ…というのが一般的ですが(以下「親主導」)、ここではBLW(Baby-Led Weaning)赤ちゃん主導の離乳食という方法を紹介していただきました。

一口量がちゃんと用意されて、スプーンで口の中に運んでもらえる親主導の離乳食は、赤ちゃんがベロを動かさなくても飲めるので便利ですよね。
ただ、ここには赤ちゃんが、自分のペースで自分で学んだり体験しながら食べるという要素がないのです。

歯がない時から手羽元をあげるのは、一見食べられないから意味がないように思えますが、手を使う、食べ物を見る、距離感を感じる、口まで運ぶ、しゃぶる、味やにおい、感触を知る、噛む動きなどいろいろなことを学ぶことができます。赤ちゃんが「いまはこのサイズは無理だ…」と感じたら、口から出してくれるそう。そうやって一口量を自分で感じていけるのだそうです。

子どもの誤飲や窒息がニュースになることもありますが、そもそも一口量を自分で調整する、よく噛む、そのための経験が少ないのがいまの主流の離乳食のやり方。

当院で出産された方にもBLWの離乳食を実践されているママがいるので、BLWの実際や感想についてインタビューしてみたくなりました!(お楽しみに)

ご参考までにBLWのホームページを貼っておきますね。こちら

質疑応答


質疑応答では、ママさんから事前に集まった質問にも詳しく答えていただきフッ素の身体への影響や、寝ている時のお口が開いてしまう現象の対策、実際のかみ合わせの心配など、そのお子さんに合わせた答えに専門家の本領発揮を感じました。

小児科医のラモナ先生や、研修にいらしている助産師の鷹野さん、第4子が舌小帯短縮症で授乳で苦労したとし子院長など、さながらシンポジウムのような専門的な質問も活発に飛び交いました。

赤ちゃんとママさん、そのご家族のサポートをしている助産院では、
このように少しずつ専門の違う人が集まって、協力し合って、それではじめて質のよいサポートになる、というのが当院の考えです。

(ですので、必要や相談された方の状況に応じて、病院、母乳ケアの別の助産院、鍼灸院、ドゥーラなどをご紹介することがあります。抱え込まないのが大事なのは、ママだけに限ったことではないのですね。)

今後もママさんたちと共に学び続けていきたいと思っています。


まとめ


赤ちゃんにとっては、泣くことがお口のトレーニング。
子どもには、とにかく遊びまくるのがトレーニング。
なにひとつ、無駄なことはないのだなと感じました。

土台づくりは地味で時間もかかりますが、
後から何とかしようとしたときにかかる痛み・お金・時間を考えると
ずっとシンプルで理にかなっていますね。


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