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【幸旅 #1】4月の終わり、山梨県・山中湖へ

 はじめまして。井上 めぐみと申します。
 4月の終わりに訪れた山中湖の旅のまとめです。

 今回の旅のテーマは『癒し』。
 1泊2日の旅程で、1日目は朝一で浅間神社へ参拝した後、富士吉田エリアを廻って早めに宿へ入り、貸し切り風呂でのんびり。2日目は、河口湖周辺でアートを鑑賞したり散策する予定を立てました。

 さて、計画通りに楽しむことができたのでしょうか。
 幸旅、お楽しみいただければ幸いです。

Day 1. 富士吉田と山中湖(2023年4月28日)

旅立ちの朝

 普段よりも早い時間に鳴り始めるアラーム音。眠気と戦いながらも朝食と昼食のおにぎり、そして水筒にお茶を二人分用意します。
 夫と朝食を済ませ、昨夜の内にあらかた準備していた荷物を持って、6時半には自宅を出発。高速道路をひた走ります。

 足柄のサービスエリアでトイレ休憩を挟んで運転を交代。ぱっと目の前に現れた富士山に、旅行気分も盛り上がります。
 流れていく景色。片道2時間ちょっとの小旅行。束の間の非日常への道が続いているようで、楽しい旅になる予感に頬がゆるみました。

北口本宮冨士浅間神社

初参拝した時の写真(2022年9月)

 最初の目的地である北口本宮冨士浅間神社には、9時前に到着しました。今回で3度目の訪問です。
 鳥居を潜ると空気が変わります。鳥の声だけが際立ち、参道に二人分の足音がざりっと響きました。

 長い参道をゆっくりと進み、杉の大木や苔むした石燈籠に歴史を感じつつ深呼吸。大鳥居の前の川に手を浸して癒されます。
 川にかかる橋の上では、荘厳という言葉がぴったりの風景を熱心にカメラにおさめる方々の姿。進行方向には神楽殿、振り返れば雰囲気のある参道。撮影スポットになるのも頷けます。
 個人的には、川の水の透明度にも注目していただきたいところ。富士山の伏流水なのでしょうか。澄んだ冷たい水は、身も心も浄化してくれそうです。

 橋を渡り、更に門を潜ります。神楽殿を左に避けて手水舎へ向かうと、ご祈祷の始まる太鼓の音がズンと響きました。
 まだ早い時間帯で人は疎ら。手を清めた後、一組ずつゆったりとお詣り。ちょうど神主さまが祝詞をあげるタイミングでご挨拶ができて、なんだか嬉しい気持ちに。
 後ろに並んだ外国の方の視線を感じつつ、ゆっくりと二礼二拍手一礼。入れ替わるように神前へ向かうお二人に、心の中でエールを送りました。

 そして迷いごとの多い自分の指標とするために、おみくじを引きました。その時々の自分に一番必要な言葉が書いてあるのが不思議です。
 外側の包み紙をそっと外そうとしたのですが、残念ながら中にも糊がついてしまっていて、ビリビリに破いてしまいました。苦笑
 ベンチに腰掛けて虫の声と太鼓や鈴音を聴きながら、いただいた言葉をじっくりと読みます。努力を怠らずに頑張れと背中を押していただき、とても心洗われるひと時でした。

 境内をぐるりと回って少し離れた大塚丘へ向かったところ、途中で道を逸れてしまったらしく、敷地から出てしまいました。神社の周囲を歩くと民家の庭に咲く満開の藤の花。たまには迷子になるのも楽しいものです。

花の都公園

公園に入る前の景色(2023年4月28日)

 次は気になっていた花の都公園へ。ことりっぷでも季節の写真が紹介されていました。
 午前10時過ぎ、有料エリアに入る前から、素敵な景色に圧倒されました。満開のチューリップ畑と富士山のコラボ。ここだけでも見る価値ありです。

 公園内は予想より遥かに広く、どこから回ろうかワクワクします。
 地図を確認して、まずは屋内施設の「フローラルドームふらら」(温室)に入りました。ヨーロッパ風の庭園で、進むたびに景色が変わり目移りします。1階の奥にはカフェスペースも。
 2階は展示スペースになっていて、コーンスターチ粘土作品の展示をしていました。作家さんは80歳を過ぎてから作品を創り始め、94歳を過ぎた今でも現役で作品作りをされていらっしゃるとのこと。たくさんの展示作品からも強いこだわりや、細かい遊び心が伝わってきて大変楽しく、そして胸が熱くなりました。
 通りすがりのご婦人も、「私もまだまだこれからね。何かはじめてみようかしら」と仰っていて、人の心を動かす創作はやはり素敵だなと実感しました。

広い公園内を散策(2023年4月28日)

 園内を散策しつつ、次に向かったのは「溶岩樹型地下観察体験ゾーン」。溶岩樹型、初めて聞く名称でした。過去、富士山の噴火によって溶岩流に閉じ込められた樹木が焼けて、木目のついた穴ができたそうです。地下へ降りると、想像していたよりも大きな穴がいくつもあり、鍾乳石のようなものも見えました。
 巨木が折り重なって倒れるほどに押し寄せた溶岩流。当時の様子は想像もできませんが、穴を覗き込んでいると、ぞわぞわとした気持ちになりました。自然に対する畏敬の念を禁じ得ません。

滝を眺めつつベンチで休憩(2023年4月28日)

 他にも水遊具広場、明神の滝など、散策コースも見どころいっぱい。
 散策途中に大きな樹洞のある木にも出逢いました。何やら嬉しいジンクスがあるみたいですよ。
 途中で喉が渇いたら、売店で販売している「完熟ももサイダー」がおすすめです。疲れた体に心地よく沁みました。

ネモフィラと富士山(2023年4月28日)
白系のネモフィラ(2023年4月28日)

 かの有名なネモフェラを実際に見るのは初めてでした。青だけでなく、白っぽい種類もあるのですね。ネモフィラ畑は数か所にあって、本格的なカメラで撮影している人もちらほら。ああでもない、こうでもないと、一生懸命に話し合っている姿が微笑ましかったです。

さかな公園(富士湧水の里水公園)

入口近くのスポットライト(2016年2月)

 お昼になり、持参したおにぎりとお茶でランチにしようということに。とりあえず「森の中の水族館」へと向かいます。
 実はかなり前に一度、行ったことがある水族館。写真をひっくり返してみると、2016年の2月に訪れていました。

 まずはさかな公園にある四阿あずまやでお昼ご飯。池と緑に囲まれて、癒される時間でした。

 「森の学習館」は無料で入館できます。展示は隅々まで細かい説明があって、遊び心も満載でした。周辺の植生(薬草)については、圧倒されるほどの量の展示がありました。時間的に最後は駆け足になってしまったのが残念です。また改めて、じっくりと時間を取って行きたい施設でした。

 水族館では、スタッフさんの一言紹介があるエリアが一番印象的でした。
 コバンザメの小さな水槽に書いてあったのは、「誰にもくっついていないコバンザメの『コレじゃない感がすごい』」みたいな一言。笑っちゃいました。確かに……!

今夜のお宿へ

 旅先ではその土地のローカルスーパーに立ち寄ります。
 宿は夕食なしのプランなので、夕食とお菓子、飲み物を買い込み、いざ本日のお宿「心海富士荘園」へ。(写真撮り忘れました。。)
 カーナビの通りに進むと、ちょっと回り道したものの無事にたどり着きました。時間はちょうど15時過ぎ、予定通りです。
 外観からとても可愛らしい雰囲気です。宿へ入ると、すぐに奥さまが出迎えてくださいました。夫が書類に記入している間、気さくに話しかけてくださいます。会話下手な私はちょっとドギマギしてしまいましたが、近隣のおすすめスポットも聞けて楽しい気分に。

山中湖(2023年4月28日)

 ひとまず荷物を置いて、部屋で一服。今回はまだ歩いていない、山中湖の散策路へ行ってみることにします。
 宿から歩いて数分、すぐに山中湖が見えてきます。のんびりと散策路を歩きますが、話に聞いていた展望台は見当たらないまま引き返しました。

 宿に戻ると、ロビーには誰もいない様子。ご自由にどうぞと言われていたコーヒーをもらって、卓球室へと行ってみました。窓からの景色が開放的で落ち着く空間です。ここで読書がしたい。

 そして楽しみにしていた貸切風呂。ただし、温泉ではありません。が、忘れてはいけないのはその立地です。そう、ここは山中湖。富士山の伏流水が湧き出す、世界文化遺産「忍野八海」のすぐそばなのです。
 周辺の水道から提供される水は、富士山の伏流水。そう考えると、温泉よりも特別な気がしてくるから不思議なものです。
 実際、富士山の伏流水は他の地域の水道水と成分が少し異なるようです。そのあたりの説明も「森の学習館」に展示がありました。
 宿には3か所の貸切風呂があり、その内の一番広いお風呂へ。まだ早い時間から、ゆっくりと滑らかなお湯を堪能させていただきました。歩き回った足の疲れが取れていくようです。

沈む夕陽と不思議なご縁

山中湖から見る夕陽(2023年4月28日)

 18時を過ぎると、部屋から見える空が橙色に染まってきました。せっかくなので夕陽を見に、再び山中湖へ向かうことにしました。出かけに宿のご夫婦とすれ違い、今度こそ展望台の位置を確認しました。やはり、昼に歩いた道とは反対側でした。笑
 無事にたどり着くと、ちょうど夕陽が沈むタイミング。日々繰り返されている光景なのでしょうが、胸に響きます。
 浜辺まで降りると寄り添うカップルやお散歩中の方の姿が。日常がドラマになる、どこかで聞いたフレーズが頭を過りました。

 そして宿に戻って、再びのお風呂。ワイン風呂に浸かりました。お酒に弱い私は、これ酔わないよね?と恐る恐る入浴。(もちろん大丈夫でした。笑)

 お風呂上がりにコーヒーをもらおうとロビーへ行くと、宿のご主人がいらっしゃいました。
 到着してからずっと奥さまとばかり話していたので、ご主人はあまりしゃべらない方なのかなと思っていたのですが、ご夫婦そろって気さくな方でした。
「明日はどちらに向かわれるんですか」そんな質問から始まって、ご主人のおすすめの場所がないか尋ねてみました。いくつか神社の名前が出てきた最後に出てきたのは「新屋山神社あらややまじんじゃ」。
 聞いたことのない名前でした。詳しく聞いてみると、宿泊客からよく名前の挙がる神社で、お詣りすると一生お金に困らないと言われる、有名なところだそうです。山中湖や富士山の次くらいに、目的地として挙げる人が多いとのこと。
 気になって部屋に戻ってから調べてみました。「新屋山神社」には本宮と奥宮があり、奥宮は冬場は道が閉鎖されるようでした。そして、ちょうど翌日から参拝できるとの公式情報を見つけます。
 たまたま教えてもらった神社に、タイミングよくお詣りできる条件。不思議なご縁を感じて、翌日の予定を急遽変更することにしました。

 翌日の予定も決まったところで、夕食を済ませると読書タイム。宿には漫画コーナーもありました。
 お疲れ気味だった夫は先に休み、私は岩風呂を満喫してから眠りにつきました。充実した一日でした。

Day 2. 新屋山神社と山中湖(2023年4月29日)

宿の朝

 さえずりで目覚める朝、貸切風呂で贅沢な時間を過ごします。
 朝食はご主人の洋食プレート。ボリューム満点で美味しくいただきました。吹き抜けのロビー兼食堂は、解放感があって気持ちの良い場所でした。
 奥さまが給仕をしていて、他のご家族連れや単身の方にも気を配りつつ、会話も弾んで楽しい時間を過ごします。奥さま自身の旅行の写真を見せてもらったり、ご主人と夫が中国語の勉強について意気投合してしまったりと、時間を忘れてしまいそうでした。
 昨夜教えていただいた山神社に行ってみますと伝えると、ご主人も嬉しそうにされていました。自分は本宮にしか行ったことがないけれど、奥宮が本命なんですよね、とぽつり。
 帰るのが名残惜しいと思うほど、素敵なお宿でした。またリピートさせていただきます。

新屋山神社

 新屋山神社(本宮)までは車で20分ほど。着いたのは10時前でしたが、GW初日ということもあってか、すでに多くの人で混み合っていました。

 そこから奥宮までは、車でまた30分ほど。開社初日だったためか、そこまで混みあっておらず、小さな駐車場にとめることができました。
 しんとした静かな空気に、どこかぴりりと背筋の伸びるような、不思議な場所。参拝は一組ずつ。鳥居の前で待つ列ができていました。前に並んでいる方々に倣って自然と場が整っていく感覚があり、特別な場所に思えました。

諏訪の森自然公園

この辺りで逆さ富士が見れるはずだったのですが…(2023年4月29日)

 新屋山神社(奥宮)に向かう途中にあった広い公園が気になって、参拝後に寄り道。桜が満開で、結婚式の前撮り(和装)をしているのを見かけたのです。気候も良く、晴れていてとても素敵でした。
 公園内には自由に遊べる芝生の広場と、木々に囲まれた遊歩道がありました。

赤松の遊歩道(2023年4月29日)

 のんびり散歩をしつつ、素敵な東屋でゆったりと開放的な読書時間を堪能。まだ少し肌寒く、風通しの良い東屋は虫も少なく快適でした。(陽向のベンチは目纏めまとい虫が多く、断念)
 駐車場が無料というのも嬉しいポイントです。

吉田のうどん玉喜亭

 有名店の多い吉田うどん。以前の旅ではどのお店も行列で入れず、道の駅で頂きましたが、今回は通りすがりにサッと入店できました。
 コシがあり、ボリューム満点。宿の朝食でお腹いっぱいでシンプルなものにしましたが、次回は肉天うどんに挑戦したいです。
 店内は広々としていて、お水と返却はセルフなお店でした。

パノラマ台

パノラマ台(2023年4月29日)

 宿でも映えスポットだとおすすめされたパノラマ台は、バイク乗りの方々でにぎわっていました。
 撮影や休憩している方が多く、遠慮気味に撮影したので私の写真はイマイチですが、混みあっていなければ愛機のカッコイイ写真が撮れるみたいです。風が強くて寒くなり、私は早々に車へ逃げ帰りましたが。

 ここまで来ると、すぐそこは県境。引き返して高速道路に乗るのもありですが、何となくこの道を突き進みたくてうずうずしてきます。
 そんな私の心情を察してか、夫がカーナビでルート検索してみようと提案してくれました。自宅をセットすると、正に求めていたこの道を真っ直ぐ進むルート!これはもう行くしかないねと笑い合い、しばらくは高速道路を使わないルートに決めました。

洒水の滝

洒水しゃすいの滝(2023年4月29日)

 ナビに従って進むことしばらく。『洒水の滝』と大きく書かれた気になる看板を見つけました。川や滝など、綺麗な水が大好きな私たち夫婦は、近くにあるのかとそわそわします。
 調べてみると、駐車場も近く、滝までもそんなに遠くない様子。まだ時間も早いし、行ってみようかと回り道で引き返します。

 細い道の先、手前の駐車場は混み合っていましたが、橋を渡った先には空きがありました。早速、車をとめて滝へと歩きます。途中にはお寺や、野菜の無人販売所が。
 そしていよいよ近くまで行くと、真新しく長い階段。……階段?一瞬躊躇したものの、せっかくだからと登り始めます。息を切らして上ったのは高さ40mの観瀑台。膝をガクガクと震えさせながら、その甲斐のある景色でした。
 後から調べたところによると、2004年にあった落石の影響で、滝を近くで見られなくなったとのこと。昨年、新しい観瀑台が一般開放されたばかりだという、こちらも良いタイミングでの出会いだったようです。
 滝の近くまではいけないものの、苔むした階段と朱塗りの橋がとても印象的。人が立ち入らない場所だからこその荘厳な空気を味わえる不思議な空間でした。
 帰り際、無人販売所でお野菜もしっかりゲットしました。

旅の終わり

 海老名SAに寄りつつ、帰宅。楽しくも、不思議なご縁を感じる旅でした。やっぱり綺麗な水が好き、という感想に落ち着くのはいつものこと。水が綺麗な場所へ行くと、癒されます。
 近場への旅だと、早い時間に帰れるのも嬉しいポイントです。普段、運動を疎かにしているせいでボロボロになった足を自宅のお風呂で癒し、旅先で買った珍しいお惣菜&お菓子で、今回の旅の締めくくりといたします。

 初の旅行記、最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。
 幸旅はいかがだったでしょうか。あなたの次の旅行にも、素敵な出逢いがありますように。

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