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MOA美術館と熱海日帰り旅行

早くも暖かくなった3月、ふと思い立ち日帰り旅行に出掛けました。
私は千葉出身なので熱海ってどこか遠いところな印象でしたが、今は都内に住んでいるので、行けば「意外と近いのよね」という感覚です。

まずはMOA美術館、2度目の来訪。最初はお茶の先生のお誘いに乗り、15-20年ほど前に訪ねました。当時一緒に訪ねた仲間たちに、あれはいつだったかと聞いてみましたが、誰も確たる時期を覚えておらず。。。複数の記憶のパッチワークによると以下のような状況でした。

*お茶の先生がMOA美術館に出掛けてみたいとおっしゃり、都合のあう弟子たちが10数名集まりゾロゾロと出掛けた。
*弟子の中に当時旅行会社に勤めていた方がいて、往復の電車の時間や、美術館までのアクセスなど丁寧に調べてくれたおかげで、私は何も考えずに、言われたままの日時場所に出向いたお気楽状態。
*当日はあまり天気が良くなかった。台風が近づいていたのか、予定を早く切り上げて帰ることになり、私は熱海初訪問だったにも関わらず、MOA美術館以外にどこにも立ち寄らずに帰ってきた
*美術館に入る前に 長いエスカレーターを乗り継ぎ、途中に丸天井のホールを見ながら、山の上にある建物に入っていった
*「黄金の茶室」以外の展示は何を見たのやらさっぱり覚えていないが、遠方からでもわざわざ訪ねる価値がある場所だということはわかった。

何か別の記事でも書いたかもしれませんが、20年前だとクリアにはっきり覚えていることの方が少ないでしょうね。美術館だと「その場所に行ったのは確かだけど、はて何を見たのか?」となっても恥ずかしいことではないなと思うようになりました。覚えていることって、きっとその後でも繰り返し思い出したりしているからすっと記憶の引き出しから出てくることだし、知らないうちにねじ曲がったりもしますしね。(言い訳じみているかな)

そんなわけで前置きが長くなりました。
「初めてではないけど、初めてのような気持ち」で訪問したMOA美術館です。


広い敷地!


ヘンリー・ムア「王と王妃」相模湾を眺めてます
 私の好きな松岡美術館でもムアの作品は常設展示されているので会えて嬉しい

豊臣秀吉の作った「黄金の茶室」の復元模型です。侘び寂びとは対極に感じますが、シンプルの極みという点では通じるものがあるかもしれません。

表千家のお好みの形の皆具(かいぐ) いわばフルセットのお道具ですね 

まぶしいなぁ✨

MOA美術館には国宝が3つ収められています。まずはこの茶壺。専用の部屋で行灯ケースに収められています。周りが黒壁で、鏡のように反対側の景色も写ります。一枚で表も裏も楽しめちゃう♪  ガラスも低反射のものが選ばれているようで、鑑賞者への優しさを感じます。
藤の色が薄紫・赤紫・青紫と描き分けられているのと 藤のつるの配置が絶妙なバランス、花房や葉の向きが好き勝手あちこちに向いているのに全体がうるさくなくて生き生きとして見える。

国宝 「色絵藤花文茶壺」野々村仁清

続きましては 屏風です。最初に来た時はこの作品のデザインをクリアファイルを求めたのでした。苔のついた木の幹の表現、水面のグルグルがいかにも、です。
実際の梅はもう終わりかけだけど、この時期ならではの展示ということで、幸せ。
時間が過ぎるのも忘れて、しばらくぼうっと眺めてました。心が無になってリセットされるような気分です

国宝 紅白梅図屏風 尾形光琳

3つ目は 国宝「手鑑 翰墨城」(かんぼくじょう)
奈良時代から室町時代に渡る書の作品が311葉収められてます
知ってる人も知らない人もとにかく写真だけは撮ってきました。
菅原道真・紀貫之・小野道風・藤原左理・藤原行成・藤原公任・清原元輔(=清少納言のお父さん)・西行・・などなど

解説文によれば 古筆三大手鑑の一つ。
他の二つは「藻塩草」(京都国立博物館蔵)←どこかで見たはず
「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)←いつか見てみたい

学問の神様が書いたと言われる「白紙文集」平安貴族がこぞって勉強したのだとか

肉筆浮世絵いいですね

重要文化財「雪月花図」勝川春章
清少納言・紫式部・小野小町に見立てて描かれた作品

どことなく西洋画ふうのヌードは歌麿

「寒泉浴図」喜多川歌麿

こっちは北斎

重文「二美人図」葛飾北斎

焼き物でもこんなに綺麗なグラデーションが出せるんだ

重文「色絵桃花文皿」鍋島

綺麗な仏像・・・奈良時代に1本の木から掘り出された 曲線が美しい

重文「十一面観音立像」

頭を見るとちょっと大変!


慌てていたのか曲がってしまったけど、富士山と自然、動物の様子が素敵だなぁ

「富士の巻狩」菱川春草

思えば私の日本画への興味は横山大観から始まったかも。それはそれでいつかまた記事にしたい

「瀟湘夜雨」横山大観

この絵はとても気に入った! 光と風を感じる。空をふと見上げて、木漏れ日が透けたときのキラリとした感じ。今年の秋は竹内栖鳳展が京都であるらしい。東京に来るのかな・・・?

「翠竹野雀」竹内栖鳳

昨年夏からなんとなく気になっていた板谷波山
回顧展が行われていたけどよく知らなかったから見に行かず、
その後あちこちで出会うことになり、しまったと・・・

「金紗釉蕗葉彫刻花瓶」板谷波山

こんなふうに使ったんですよ、という写真も展示されていた。やはり使われている姿が美しいし、生き生きして見える。

展示を大満喫した後は、美術館とは別棟になっている和食・蕎麦屋・茶店へ。
混雑具合を見て、和食の地魚フライ定食をいただく。その後茶店で抹茶・干菓子を。

こういう時は床の間にピントを合わせて撮影したほうがよかったかな

美術館のあとは伊豆山方面へ歩いて行ってみようかと思いつつ歩いていたら、
敷地内の桜山へ思わず入り込んでしまった。適当に歩いていたら熱海駅方面の道に向かってしまい、戻るには上り坂になるのが面倒に感じて、結局熱海駅まで歩いた。

椿がたくさん咲いている 右のちょっと色が違う一輪がワンポイント


河津桜かな

熱海駅からもう一度バスに乗り、MOAの近くをかすめつつ伊豆山神社へ。
源頼朝と北条政子が座って愛を語っていたという石も残るパワースポット。
階段登っていると「足腰の無事を守る神様」も祀られていて、これからもあちこち出掛けられますようにとお祈り。奥の本院まで行くのはまた次の機会に。

パワーをいただいてきました

また熱海駅にバスで戻り、駅前のカフェで休憩。なぜかというと・・・

もう一つの旅の目的は「Fuua」という日帰り温浴施設。茶道も好きだけど、
サ道のほうも週1ペースでサウナに行く私。熱海に泊まらなくても温泉やサウナが楽しめないか・・・と探したところ、2019年オープンと比較的新しく、東京は後楽園にある「ラクーア」の系列ということで間違いなさそうとチョイス。土日祝日は入館料が高く設定されているけど、夕方17時以降だとちょっとお財布に優しくなる、ということで熱海駅前からシャトルバスに乗るまで時間があったのでした。

この記事の見出し写真はFuuaの入り口に行くまでの看板でした。
ここの自慢は 海を見ながらサウナに入れて、立って入れるインフィニティ露天風呂があること!夜は熱海の街の夜景を見ながら、波の音を聞きながら深さ130cmの露天風呂に入る、って新鮮な体験でした。
サウナの方は温度45度と低めですが、汗はしっかりかけます。とはいえ低温サウナはやはりちょっと物足りないのよねぇ。。。と思い、申し込んだのは「ロウリュ・キャンプ」こっちは体感温度100度!との触れ込み。館内着を着て入るので男女一緒に楽しめます。
最初はまぁそれなりの温度かな、と思っていたら 係のお兄さんがアロマ水をサウナストーブに掛けて水蒸気発生させ、大きなタオルをバッサバッサと振り回し始めます。サウナ室内の空気をかき混ぜているうちに心地よく熱くなってきましたが、最後には手の爪のあたりがアチチ!ここまで熱い思いは初めてでした。

結局夕食はFuua1階にあるレストランでシーフード入りのリゾットやビールを楽しみ、シャトルバスまで少し時間が空いたので、タイミングよくお客さんを乗せてきたタクシーに乗って熱海駅へ。大満喫だった〜と帰宅したのでした。


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