実録!モラハラサバイバー18

10円はげ

 私の頭は一時10円禿げだらけだった。小さなものから大きなものまで、全部で10個程、気付くと新しいところが禿げているという状態が続いていた。
ちょうどショートカットにしようとしていたが、無理無理と諦めた。
 もちろん、何が直接的な原因かは解らない。むしろ「これがストレス」と解っていないから、身体に出てしまうのだと詳しい人には言われた。
 
 恥ずかしいやら、気まずいやらで誰にも内緒にしていたが、さすがに子どもたちは気付く。「母!ここにも禿げ!」と無邪気な三男などは見つける度に楽しそうに報告してくれた。
 その場面にたまたま居合わせた夫は
「ストレスなんてないのに、どうしたんだろうね?」
とのたまった。

いや、あんただよ。
その時に確信した。
何故私にストレスがないと思っている?
そして、何故そんな台詞を言い放てる?
三兄弟が小さい頃、伯母に言われた言葉が頭の中をぐぁんぐぁんと、大音量でリフレインし続けた。
「ちゃんと伝えないと、あの子(夫)は、あんたの大変さは解らないよ」

 ストレスの原因が判明したせいかどうか、それから徐々に10円禿げは改善した。新しい禿が出来なくなり、禿げていたところに少しずつ毛が戻り、1年半ほど経った頃、中途半端に伸びた元禿部分の毛が、どんなに丁寧にブローしてもぴょこんと立ってしまう為、長さを揃える為にショートカットにした。
 念願のショートだったけど、なんだかちっとも嬉しくなかった。


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