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フェーズ2

5月18日。今日から事実上外出が自由にできることになった。まだ州を超える移動には制限がかかっているが日常生活を送る上では問題がない。仕事が始まり、社会活動はこれから段階的に広がっていくだろう。

とはいえ新たな感染者は今日も450人。しかし、感染が広がっていた頃には死亡した患者と回復した患者の割合が1:1.2ぐらいであったが、今は1:4くらいになっている。医療機能が回復しているということでもあるのだろう。

振り返ってみるとあっという間のような気がする。大して何も出来なかった。この期間、ポケモンGOのGOバトルリーグにハマり、研究に勤しんだ
時々、日本の知り合いから同じ日にいくつもの安否を確認するメッセージが届くことがあった。おそらくテレビのニュースか何かでイタリアの惨状を報道していたのだろう。

ニュースをあまり見ないようにしていた。出来ないことが多い時には心の平穏が必要だ。今はメディアも必要な情報とそうでない情報を選り分けているようには見えない。売れる情報と売れない情報があるだけのように見える。売れる情報はスキャンダル性が高く、取り上げる内容は人がいかに豹変するかということを伝えていた。

読書をいくつかした。積んでおいてなかなか手をつけなかった本だ。

カフカの『変身』は主人公ザムザの虫への変身から物語は始まるが、そこから始まる物語は家族や彼を取り巻く社会がいかに変わっていくか、豹変していくかを描いている。
ひとたびウイルスの感染者を目の前にした時の周りの人々の豹変もこれと似ていると思った。

それからヴェルヌの『タイムマシン』。時間旅行家が見たものは私たち人類の末路である。モーロックも私たち自身中にある。たまたま自分が置かれた状況によってエロイにもモーロックにもなりうるのだ。至る所にはびこっている人類を見れば、いかに危険な生き物かがわかるというものだ。
そして作者は地球上生物の未来さえ見届けようとする。命の行方とその時間を疑似体験できる。

明日からの生活はどうなるのだろうか。私たちは本質的に何かを学んだのだろうか。それともこれも一時の流行なのだろうか。後から眺めてみれば、マスクをみんなが付けたということで記憶されるのかもしれない。

#ロックダウン #コロナウイルス #イタリア

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