コロナ嵐の中、郵便物を出しに行く。
本日のイタリアの累計感染者数は119827名。昨日から4%の増加です。
こんな中行きたくはないが、どうしても郵便局に行かなくてはならない用事がある。駅前の郵便局は3月12日から閉まっている。もう一つ別の郵便局が開いていることを願って向かう。
実は昨日無駄足を踏んでいた。局内の消毒をするためということで、休業だったのだ。
さて、郵便局に着く前から開いていることが見て取れる。マスクを付けた人の長い列が見えたからだ。30人くらい居ただろうか。誰が最後の人なのか確認して、その人の後ろに並ぶ。もちろん建物の中には自分の順番が来るまで入れない。
誰が最後かを確認するのはイタリアでは普通に行われること。自分の前の人と後ろの人を確認する。皆がそうして大まかに並んでいる。イタリアに来たばかりの頃はこのやり方が謎であったが、今はこの方式の方が確実だと感じる。みな意外と誰が誰の次なのが認識している。少なくとも列の最後が誰なのか分かっている。なぜなら、皆んなが来た時にかならず聞くからだ。
ゲームやメッセージのやり取りをしながらただ並ぶ。普段だったらなんとなくおしゃべりが始まるが今はそういう事態ではない。途中で中から職員が出てきて注意喚起。中に入って書類に書き込んだりするから一人15分近くかかるとも。お金を引き出すだけならATMを使ってくれと。日本だったらきっと入り口近くに申請用の書類と小さなテーブルぐらい出てるだろうなと思うが、こちらではそういうのは見たことがない。ひたすら並ぶしかない。
途中で痺れを切らす人、列をはみ出す人、それを咎める人、言い合いをする人、それを眺めてため息をつく人、色々だ。
みなそれぞれにフラストレーションを溜めている。そして傷ついてもいる。感染者の増加に医療が追いつかなくなっているイタリアの不名誉にイタリア人だって忸怩たる思いでいるのだ。なんとか自己アイロニーで切り抜ける以外にないだろう。
1時間以上経って、ようやく自分の番が来た。二重の扉を通って中に入る。３つの窓口が開いていて、その前には職員と距離を取るための紐が張られている。手にはゴム手袋。私も自分のを持参した。
書留郵便を送る手続きをするだけで、今日1日の仕事は終わりだ。一仕事終えると、昔、滞在許可証を更新するために並んだことを思い出す。どんよりと曇った天気が多い北イタリアの12月は五分だって外に立っていたくないものだが、どうやったら何時間も並ぶことができたのだろうか。たぶん若かったのだろう。
あれに比べればこんな行列などなんということもない。今日は天気も良く、春の日差しは柔らかい。それに今はイタリア語に不自由もなく習慣も分かっているから不安もない。
帰りにちょうどポケモンGOのレイドに集まっている仲間達に出くわす。数日前から新しいポケモンが出ていて人が集まるのはグループチャットで把握していた。
一応散歩は認められている。外出申告書も携帯している。もちろん、郵便局の帰りだ、問題はない。しかし注意深く行動しなくてはならない。トリノでポケモンGOをしていて、職質を受けて捕まった輩がいたらしいのだ。
久しぶりに会う面々。髭を伸ばし始めたという友達。こういう時でもないとなかなか伸ばせないものなのか。軽くレイドをし、ポケモンの交換をして別れる。まるで秘密結社の一員になった気分だ。
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