中国で部屋探し

2010年代前半、中国のとある沿岸部の都市で一人暮らしをすることになった。仕事で海外に行く自体のことが初めてだったので、留学で海外に行くのとはまた違った感覚の渡航になった。

留学は自分がお金を払ってまでその国に行くこと。仕事は会社からお金をもらってその国に行くこと。100%ではないが、家賃手当も出る。お金をもらいながら海外生活できるなんて夢のようだと思った。

ただ、中国への滞在経験はあるが、初めて行く都市だったので勝手が分からないという少しの不安はあった。

当時、自分が求める部屋の条件は3つ。会社に徒歩で10分圏内(東京でこれやってみたかったやつ。中国なら出来ると思った。)、広くない部屋(広いと掃除が面倒)、騒音がうるさくないところ。

通訳兼不動産屋さんがこの3つを考慮して3つ部屋を紹介してくれた。1つ目は築古な感じの30階だてくらいの高層アパートの25階の部屋、会社からの距離は徒歩10分くらい。外観と共用部が古く、エレベーターが上がっていくとき、まっすぐ力強く登っていくのではなく、こころなしかフラつきながら力弱い登り方をするちょっと怖い建物。部屋の内装はリノベーションされていたっぽくてキレイ。床はピカピカ、角部屋なので大きな窓がふたつ、片方の窓からは広大な公園が見え、もう片方の窓からは会社とか海が見えた。家具もTV、寝台、机、椅子、冷蔵庫、洗濯機がついていた。(暖房は備え付け)

中国のワンルームは基本的に家具付き。1部屋1部屋にそれぞれのオーナーがいるのでオーナーの趣味で家具が付けられている。まあ家具が要らない場合は要交渉らしい。

自分の出した「狭い部屋」「騒音がない部屋」&安いという理由でここを紹介された。部屋自体は8畳くらいであとキッチン兼廊下とシャワールームがある感じ。

騒音のことを聞くと、地上10階くらいまでは道路の車のクラクションとか話声が響くからそれ以上の階が良いとのことだった。これは中国交通事情を知らないと思いつかない発想だったので助かった。中国の街中はクラクションの音が結構うるさいのだ。(朝、クラクションで目が覚める感じ)

2つ目、3つ目のの部屋は会社からは徒歩5分くらいの所で、築は1件目より新しい感じのアパート。エレベーターもちゃんとまっすぐ登っていく力強さがある。こちらは公園が目の前にある部屋で眺望がいい。公園の反対側の窓からは1件目のアパートや他の住宅街が見渡せる感じ。まあまあ新しいので日本人が多いらしく低層階の7階と、20階を紹介してくれた。ただここはどちらもすごく部屋が広かった。体感だと日本の70㎡くらいの3LDKマンションの広さをワンルームにした感じ。この部屋も家具は寝台、机、椅子、冷蔵庫、洗濯機などすべてそろっていた。家賃が1件目の部屋より500元ほど高かったので1件目のアパートで契約することにした。

その後、他の人の部屋にいろいろ行ってみたが個性的な部屋が多くてとても面白かった。二階ずつのめちゃくちゃ広いアパート、バーのある部屋、なぜか庭のような空間がある部屋、エレベーターを乗り換えるアパート、自分が一番好みだったのは窓から車両基地が見える部屋。電車が常にうろうろしてて1日見ていても飽きないんじゃないかと思う。

中国のアパートでちょっと疑問だったのが、玄関土間のタイルがずっと廊下まで続いていて段差が居室の入り口にあること。土間広すぎないか?廊下の端っこまで靴で行くべきか悩んだ。キッチンが基本的に玄関と地続きにあるのでいちいち靴を履いて調理するのか?となった。自分は長い廊下の途中に玄関マットを置いてそこで履き替えるシステムにした。

中国で驚いたのは「いっせい暖房」。建物単位のいっせい暖房ではなく北京以北のエリア全体でいっせいに決まった日に暖房が始まって、半年過ぎて春になるといっせいに暖房が終わるというシステム(それぞれの都市事情とかは分からないがだいたいこういう認識で合ってるとはず…)。決まった日になると、それまでの夏の期間沈黙していた各部屋に取り付けらえた暖房システムがいきなり動きだす。

韓国で住んでいた下宿(ハスク)のように主がケチってボイラー消したりするという心配がない。(夜間ケチって消して凍結して故障させる間抜けさ…。)

パイプにお湯を通して空気を温めるシステムの暖房だが、半年間ただ放置されていた暖房システムは、つまっていたりすることも多い。なのでその日は座して暖房システムの点火を見守る日。自分の部屋の暖房は、壁の一部に半分埋め込まれた形で人が触れないように空気だけを通す柵のようなカバーが付けられていたのだが、点火した瞬間そのカバーが外れて落ちてきた。他の人の家ではつまっていて暖房が効かないので修理に来てもらったりしていた。

正常に部屋に暖房が効き始めると、それまでの寒さから一転してすごく暑くなる。室内では基本半袖でよくなる。乾燥もするので定期的に換気が必要。外の温度は氷点下になっているが、乾燥しているのでそこまで底冷えするという感じではない。暖房も消すことができないので半袖姿で窓を開けてアイスを食べるのがすごい心地よい感じの過ごし方だった。

ただこの暖房付けてくれる期間が11月初め~4月初めというのが意外とネックで、北京は9月でも朝に車に霜が降りることもあったりするし自分の滞在していた町でも10月は結構寒かった。そして4月後半ぐらいまで寒い。10月、耐えられないからっと暖房を買いそうになった。(中国滞在先輩に1か月だけの我慢だからと全力で購入を止められた。)

夏の暑さはそこまで気温も湿度も上がらないし期間も短いので冷房は使わなくても済んだ。(ただし気持ち日差しはすごく強い)

なので中国の北京以北の都市に住むときは日差しがよく入る部屋を借りるのがいいと思う。

あと自分が個人的に中国とか韓国の部屋が好きな理由は二重窓が多いこと。気密性がすぐれているので冬、部屋の暖かさが逃げない。夏の外の暑さからもちゃんと遮断してくれる。日本の家屋にも標準装備してほしい。

これだけ新型コロナでリモートが進められたのち、海外渡航が自由になったら日本の会社に在籍したまま海外に部屋を借りて仕事をするというのもアリな時代がやってくるかもしれない!?そんな淡い夢のため語学勉強は続けていようと思う。(東京の賃貸物件は建物スペック低いのに家賃が高すぎる!!)








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