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久しぶりの韓国

5年ぶりの韓国

コロナ前、別にそんなにしょっちゅう行ってたわけでもない。
ただコロナの期間に強制的に行けなかったので、すごく行きたかったのに行けなかった!という印象が残っていた。
実際、韓国へ最後に行ったのは2018年で、さらにその前は2015年か2016年あたり(しかもこの時は1泊2日)なのでコロナ期間に韓国に行けなかった!といっても別に自分にとってはそんなに苦痛の日々というわけではなかった。

ただ、旅行は行けるうちにいっておけという言葉を嚙み締めた3年間であったのは間違いない。


タイミングは急かされて

留学していた20年以上前からアシアナのマイルを使っている。当時マイレージプログラムを開始するにあたって規約を穴が開くまで読み込んだが、マイレージの有効期限に関しての記載がなかった。後で知ったが、その時点では本当にアシアナにはマイレージに有効期限の概念がなかったらしかった。
しばらくして有効期限設定のお知らせが来た。(それ以前に取得したマイレージは無期限にしてくれていて助かった。)その後スターアライアンスグループなどを利用しつつコツコツ貯めたマイレージ。コロナの期間は使う事が出来ないので有効期限延長の処置がなされていた。
しかし海外渡航が解禁になり、止まっていたマイレージ有効期限の時計が再び動き出した。6月末で(結構な量の)マイレージが消滅してしまうだと!?その前に行かなければ!っと急遽行くことになった。でも実際計算すると往復できるマイレージ数ではなかった。しかし片道だけだと結構なマイル数を余らせて消失させてしまうという絶妙なマイル数だったので、人生初でビジネスの片道チケットにすることにした。


韓国へ入国

5年ぶりだし、いろいろIT化が進んでるだろうし一抹の不安があった。
まず空港。紙のチケットでいいんだよな?とか思いつつ、せっかくなのでラウンジもちゃんと使った。端っこで本を読んでいたら近くに座っていた中東のビジネスマンですという雰囲気の人がスマホを両手で持って聞き慣れた音を出していた。あ、分かる、ピコーンピコーン、Duolingoだ。なんだか親近感がわいた。

仁川空港。

入国審査まで行って違和感を覚えた。「あれ?前は外国人と韓国人は同じゲートじゃなかったっけ?」日本から発ったのに、成田空港に外国人として入国しようとしている感覚に陥った。

昔も留学中も、それ以降も変わらず仁川空港の入国管理局の人は愛想がいい。いつもニコニコしている。彼らは自分たちが、外国人が韓国という国に入って初めてやりとりをする韓国人であるということを自覚している。みんな誇り高き国家代表の笑顔。今回の管理局の人もとても愛想がよかった。なんだか安心できた。



市内へ移動はやっぱりバス


入国管理局の人は誇り高き国家代表だが、ゲートを出た瞬間からスタッフたちには一気に空港感がなくなる。なんだか早速怒鳴りあってたりして、ザ・韓国だ。まあこれも自分が韓国を気に入っている点だ。国境が空港内のゲートなのだ。

 空港から市内へ移動する。ここ数回の韓国滞在では目新しい空港鉄道を使っていたが、久しぶりに高速バスで移動することにした。自分が仁川からソウルへの交通手段に高速バスを好む理由は2つある。

1つ目は干潟がゆっくり見れる。韓国の干潟が大好きな人間なので、せっかく仁川空港なんて金浦空港より遠い空港使っているんだから、ちゃんと干潟が見たい。というか干潟が見たいから仁川空港を使うという説もあるぐらい。日本と韓国はアジアでも地理的に近いし、そんなに大きく景色が違うものはあまりない。なので干潟のこの景色は貴重な韓国的要素。

2つ目は漢江の景色!今回は昼間だったから相変わらず大きいなぁしか感じなかったが、夜だと高速バスから見える漢江の夜景が本当に綺麗。川の上も、それを写した川面のキラキラも、ああいつものソウルの景色という安心感がある。

この2つは鉄道だと味わえない。鉄道から見えた景色…景色見えたっけ?という認識だ。鉄道の座席が車内内側を見る通勤列車式だからなぁ。旅列車のボックス席だったらいいのに。と思う。

リムジンバスが好きなわけだけど毎回バスのチケット売り場では、発音が通じるかドキドキする。今回は券売機たるものが設置されていて、そんな外国人の不安が解消されていた。しかし団体の外国人が長蛇の列を成していたので結局窓口で買った。

韓国での電子マネーはT-moneyが便利だが、空港内で現金チャージ出来る場所が出口近くにあって激混みしていたコンビニ1か所しかないと言われて詰んだ。(おそらく鉄道乗り場付近まで行けばそこにもあるだろうが)券売機配置するならT-moneyチャージ機もセットで設置してくれい!と思った。
空港からなら市内までやや高額な交通費だし、いっぱいチャージしてもらえるだろうに。もったいないことしてる!と思った。余計なお世話か。とりあえず現金でチケットを買った。

景色は思った通り最高だった。久しぶりの韓国の干潟を見れて満足、発展著しい沿岸部のアパート群も見れた。途中、開発から取り残された墓地も見れた。自分は韓国の墓地が結構好きだ。山の南側のぽかぽか陽が当たっている一等地にドカンとミニ古墳のような形である。なんだか牧歌的風景だなと思う。これだけ開発が進んでいるのでもしかしたら撤去されてしまってるんじゃなかろうかとか心配していたが、無事に見ることができた。


物価上昇の波は?

聞いていたほどじゃなかった。おそらく旅行者が接しない不動産価格とか、税金とかはすごく上がっているのかもしれない。
留学中に二度値上がりしたソウル地下鉄(バス)の初乗り運賃。
当時の勢いで値上がりを続けていたら3000ウォンぐらいになっているのかなと思いきや2023年の実際はその半分ぐらいの値段だった。よかった。

それでも日本だと定価100円しなそうな感じの板チョコが3000ウォン近かったりと、ちょっと物価感が掴めない印象を受けた。場所によって値段がすごく変わる。おしゃれに振り切ってたり、IT技術をふんだんに使ったようなお店は日本よりだいぶ高い。でも昔から変わらないようなお店は安い。

韓国は博物館とか、史跡とかへの入場料は安い。前は無料だったとこもあるから物価が上がったといえば上がったものの、日本の感覚で訪れるとやっぱり安い!と感じる。旅行者としてはありがたい。さすが学ぶ機会を大事にする社会だ!(と絶賛してみる)


電動のキックスケーター!

東京でも最近話題の電動キックスケーター。ソウルはありとあらゆる場所にあった。ソウルは坂が多い街なので電動で上ってくれるのとても助かる。坂が多いからか自転車が広まらなかったとも言われていた。確かにただの自転車で登るには相当の脚力が必要そうな坂ばっかりだった。留学時代に見かけた自転車はごついマウンテンバイクだけだった。
なので以前は小型のバスかタクシーで行くしかなかった場所でも電動のキックスケーターなら気軽にスイスイ!坂も問題なく進んでくれるし、自転車乗ったことない人にもすぐ乗れて便利そうだと思った。


旧ソウル駅舎が復活していた!

最初の留学時代は現役だった旧ソウル駅舎。いつの間にか新しい駅舎にその役割が移っていて、2~3回前の韓国滞在時に見かけたソウル駅旧駅舎は、誰も立ち入りできない状態で中は埃だらけ、今にも取り壊されんばかりの勢いだった。あぁ日本が建てたやつだしやっぱり壊されちゃうのかなぁと心配していたが、それから数年が経ち、コロナが始まったけど…その後取り壊されたというニュースも聞かないし、どうなっているのか今回の韓国滞在で様子を見に行こうと思っていた。
結果は見事に復活していた!中はギャラリーみたいになっていた。復元をしたときの資料館みたいな部屋もあった。
これでしばらくは安心だ!

20年前、ソウル駅前に激安でまあまあ綺麗な自分の定宿があったが…その建物どころか、区画自体の跡形もない。



人間に優しい社会

たまに韓国を紹介する映像で歩道にパラソルが立てられているのを見たことがあった。きっとおしゃれエリアだけだろうと思っていたけど、今回うろうろして、あらゆる場所に置いてあることを知った。現地在住の知人に聞いたら歩行者の日除け、雨除けと言っていた。確かに昨今の日差しは強すぎるからはこれは本当にありがいシステム。人間に優しい!日本も導入してほしい!


相変わらずの距離感

コロナの期間中、あれだけ言われたソーシャルディスタンス。どう考えてもソーシャルディスタンスの概念は韓国文化と最も親和性が低い。
留学中、常に常に常にいつもいつも韓国では人と人の距離が近いと思っていた。
例えば信号待ち、そんなに混んでないのに10cmぐらいの距離に見知らぬ人がいる圧迫感。行列で気づくと後ろの人が自分の真横にいる恐怖(指摘するとちゃんと後ろへ戻ってくれるもののその後、すぐジリジリ来る)。

むしろコロナ期間中にこの国に来なくてよかったかもしれない。無意識に人に近づいては怒られ続けてしょんぼりする彼らを見ずに済んだし(←これは妄想の域)、怒らずに済んだ。

久しぶりの韓国では元通りの韓国を感じた。他人との距離は近いし、相変わらず談笑する韓国の人たちの声は大きいし、唾もよく飛んでいた。
マスクしている人はまだ多かったけど、外している人も結構いた。ああ、自分のよく知ってる韓国だ。そんな韓国になんだか安心した。


5年ぶりの韓国語は・・・?

社会が目まぐるしく変わる韓国。きっと言葉も全然変わってるだろうし、自分は5歳ぶん年齢を重ねて顎の力が落ちているだろうし、全く韓国語が通じる気がしなかったが、意外と通じた。

もちろん5年前に出来なかったことは5年後の今も出来ない。そう!英語の韓国語発音とか。自分はだいたい英語の発音で外国人バレする。あの最大限に顎周りを力ませる発音が出来ない。発音しようとするとヒャッヒャッヒャって笑ってしまって発音できない。

今後の課題だ。でもきっと自分は怠惰な性格なので、あの発音が必要な時は回避方法を考えて発音をせずに済む道を選ぶだろう。


韓国の街中で日本語を使う


留学時代、学校の外で日本語を使うこと、日本人だと知られることが怖かった。留学生ネットワークを通じて街中で日本語を喋って危害を加えられた人がいたとか、お店やタクシーで日本人バレして値段を上げられたとか,タクシーでは遠回りされたとかいう話を聞いていたからだ。怖いからタクシーに乗る前には行き先の地名の発音を繰り返し練習したり、電車では電話が来ても受け取らないとか工夫して過ごしていた。
街中で通話する時はビルの影とか他人に声を聞かれないように話したり。
まあその緊張感のおかげで今でも発音だけは上手いと言われていたので、この恐怖に怯えていたのは別に悪いだけの経験ではない。むしろ怠け者の性分である自分はそんな状況にならなければ必死に勉強しなかっただろう。

久しぶりの韓国では、そこまでの恐怖を感じなかった。
自分がそれなりに年齢を重ねて変わったのもあるけど、
おそらく韓国(ソウル)の街の雰囲気が変わったのも確実にあると思う。
韓国は変化する国だ。

今回、やんわり緊張が解けた気持ちでカフェでくつろげて、なんだか怯えていた学生時代の自分を懐かしく思いだした。ジブリの『おもひでぽろぽろ』みたい。
あの時、頑張って良かったんだなっと思えることって人生で何回あるだろうか。そんなにないと思う。でも今回の“久しぶりの韓国”でそれを感じた。

留学時代からどこか韓国に対して抱いていたモヤモヤがやっと晴れた気がした。これでやっと韓国の歴史や日本との関係だったり、エンタメや文学とか真っ直ぐ向き合える様な気がしていた。

久しぶりの韓国は第二の故郷だった。



おまけ

ー変わったかな?と思ったこと。(※以下、極めて個人的な意見。)

・男性の髪の毛が全体に長くなった気がした。前は全員地肌見えるぐらいの刈り上げしていたのに。少しでも伸びると気持ち悪いって言って2週間に1回床屋行くぐらいの勢いだったのに。みんなちょっと襟足が長い!前髪も長い!芸能人の影響かな?

・体当たった人に謝られた!前は雑踏で肩がぶつかっちゃうのは仕方ないねって感じで無言だったのに、今回結構な頻度で雑踏、満員電車で体当が当たってすみませんね的に言われた。
20年前に日本へ旅行した韓国の学生が「日本って体がぶつかったら謝るんだよ!」と言っていたのを思い出した。
今や日本では人にぶつかっても謝らないし、電車で他人を何か押しのけて降りるなんてことも当たり前だ。
この20年で韓国は日本化し、日本は韓国化したんだなと思った。


・値段、“0.5” なんなん!0.5って。聞いたら5000ウォンのことらしい。物価の上昇の中で少しでも安く見せたいのか?学生の時にはなかった。ここ最近に始まったものだと思う。

・バス停でいくつもバスが同時に来た時、後続のバスの路線番号が見えづらくて困っていたが、バスの入り口が開くとパタとバスの路線番号の札が立ち上がるようになっていた。視力はある程度必要だが、3−4台先のバスまで何番のバスが来ているか分かりやすくなった。

他にもお店のセルフ会計機が増えてたとか、インスタ映え狙ったようなカフェががやたら増えていたり、2018年の時にも少し思ってたが韓国車以外がすごく走る様になってたりとか。鐘路の大通り、ピンマッコルが広く綺麗になっていたとか。
自分の記憶との間違い探しがとても面白かった。
国が豊かになるってこういうことなのかなぁとふと思ったりした。



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