新型コロナウイルス”FLiRT”について

今日は朝から雨でした。
週末暑かったので、涼しくなっていいんですが、
週明け月曜+雨だと通勤電車の混雑が激しい・・。

例年、5月下旬は雨や曇りの日が多くなり、
「梅雨のはしり」となるようです。

今回は、新型コロナウイルス関連です。
もう食傷ぎみですが、
広くて浅い医療系ブログとしては、
触れておかないと(旬があるから)。

What to Know About COVID FLiRT Variants.
Johns Hopkins Bloomberg school of public health
May 13, 2024

CDCによると、3月末時点では、KP.2亜種は米国内の感染症の約4%を引き起こしていたが、親株であるJN.1はその時点で感染症の50%以上を引き起こしていた。5月初旬現在、KP.2は感染の約28%を占め、JN.1を抜いて優勢な亜種となっている。
KP.2は「FLiRT変異型」と呼ばれるいくつかの変異型のひとつで、遺伝子変異に関する科学的名称から名付けられた。これらの変異型の流行は、専門家が秋のCOVIDワクチンの処方を決定する重要な時期に来ている。

亜種の命名に関し、
最初はオミクロンとかギリシャ文字から名付けていた気がします。
オミクロン株は現在更に多くの子孫系統に分枝し、
Pango系統の命名規則に従って、XBBとかになりました。
今度は、遺伝子変異に関する用語から,
FLiRTになったとのこと。
混乱します。



「FLiRTバリアント」とは何か?
これは、KP.2、JN.1.7、およびKPまたはJNで始まる他の変異体を含む、異なる変異体のファミリー全体を称するために使われている用語である。これは収斂進化と呼ばれる。これらはすべて、過去数ヶ月間米国で優勢であったJN.1変異型の子孫である。

収斂進化(convergent evolution):
異なる系統の生物が,
環境要因などで同様の選択圧に曝されることにより,
似かよった形態へとそれぞれ進化を遂げるような現象.

環境要因、同様の選択圧といえば、
”あれ”ですかねえ?

 

”FLiRT "あるいは "FLip "と呼ばれる特定の変異は、スパイクタンパク質の特定の位置(この場合は456、346、572位)を指している。
SARS-CoV-2のようなウイルスは頻繁に変異し、抗体による認識を回避するために変異すると、感染したい細胞に結合する能力が弱まることが多い。その後、その結合能力を向上させる変異が現れる。これはSARS-CoV-2で何度も見られたサイクルである。これらの異なる変異型が同じ変異を拾っているという事実は、ウイルス学者に、この変異の組み合わせがウイルスが最も効率的にこれらの目標を達成するのに役立っていることを物語っている。

これらの変異は、抗体を回避しながらウイルスが細胞に結合するのをどのように助けているのだろうか?
これらの変異のうち2つ-456と346-は、SARS-CoV-2を中和する抗体の結合部位を無くしている。しかし、これらの抗体結合部位は、ウイルスが細胞に結合して侵入するためにも重要である。つまり、抗体を回避するために、これらのFLiRT変異体はレセプターに結合する能力も失っている可能性がある。同時に、572変異はウイルスがより強固に細胞に結合し、最終的に感染を引き起こすことを可能にするようだ。

スパイク蛋白に対する中和抗体が結合する場所を、
FLiRT変異によって無くした結果、
細胞に侵入する能力も弱まっているそうです。
そこで、さらに変化してより強固に細胞に結合し、
感染が成立するようになっているとのこと。


最近COVIDに感染した人は、FLiRT亜種からの感染を予防できますか?

JN.1に感染していれば、すべてのFLiRT亜種からかなり強く保護されるはずです。JN.1とこれらの変異体との違いは、たった1つか2つのアミノ酸の変化だけなので、抗体が結合できる場所はまだ他にもたくさんあります。JN.1より古い亜種に感染しても、それほどの防御効果は期待できない。

JN.1とそれほど変異の程度が変わらないので、
今のうちにJN.1にかかっておけば免疫ができそうです。
夏休みに遊びにいけますね。
そういえば、
ゴールデンウイーク明けから、
風邪症状の人多い気がするんですけど。


現在のCOVID-19ワクチンがFLiRT変異体に対してどの程度有効か、まだわかっていないのですか?
JN.1に対しては、XBB.1.5を中心にデザインされたワクチンで交差反応性抗体がいくつか生成されます。これらの新しい変異体についての研究はまだ行われていませんが、これらの変異体では交差反応性はもう少し低いと思われます。また、多くの人が最後にワクチンを接種してから数ヶ月が経過しており、免疫力は時間とともに低下します
CDCは2月、秋に接種した65歳以上の成人に対し、現行のCOVIDワクチンの追加接種を推奨しました。今、夏に向けてどのようなガイダンスが出されるか疑問があります。このような追加ブースターが推奨された場合、高リスク集団であってもその摂取率はかなり低いことが分かっています。症例数が比較的少ないままであれば、接種は必要はないかもしれない。

自然感染であれば、
JN.1以前の亜種だと感染防御期待できないと、
前の段落に記載がありました。
XBB対応ワクチンも同様じゃないのかなあ。
アメリカでは高リスク集団でも、
追加摂取は摂取率が低いようです。
「あんまり流行らなければ追加摂取もいらないかも」ってどういうこと。


この夏、これらの亜種によって症例が急増すると予想すべきなのだろうか?
確かにその可能性はある。FLiRTの亜種は、米国で再び感染の波を引き起こす可能性のあるウイルスのリストの上位に入るだろう。

これらの変種は、秋に更新されるCOVIDワクチンの処方の計画にどのような影響を与えるのだろうか
この時期は、WHOやFDAのような管理機関が、秋口に展開されるCOVIDワクチンの更新処方を推奨する時期である。昨年、ワクチンはXBB.1.5型をベースにしていたが、わずか数カ月後、米国ではJN.1型が主流となった。
4月末には、WHOのCOVIDワクチン諮問グループが、今後のワクチン製剤の抗原としてJN.1系統を使用するよう助言すると発表した。これらのFLiRT変異体はすべてJN.1ファミリーの変異体である。
ここ米国では、FDAは2024年秋のCOVIDワクチンを決定する会議を5月中旬から6月上旬に延期した。これにより、FLiRTのどの亜種が主流になりつつあるかを確認する時間が増え、秋に最も顕著になると予想されるものにWHOの推奨を微調整することができる。
昨夏と同様、決定後もCOVIDの新しい変異型が出現する可能性はあるが、秋になれば、循環している変異型とできるだけ一致するような製剤を選択することが目標であることに変わりはない。

去年はXBB対応ワクチンが出て間もなく、
JN1が主流になりました。
今年も同様でしょう。
FDAは秋のワクチンを決定する会議を延長したそうですが、
いくら延長しても、また新しい変異種がでそうな気が。

FLiRT 変異型の通常の症状と感染経過は?
症状に関して言えば、これらの亜種に目新しいものや変わったものは見られない。しかし、それはウイルスが軽くなったからではなく、私たちの免疫が非常に強くなったからでしょう。ワクチン接種と感染を何年も繰り返してきた結果、ほとんどの人は重症化の心配をすることなく感染を撃退できるようになったのだ。
これらのFLiRT変異型の感染力は、JN.1や以前のオミクロン変異型と変わらない: 感染後、症状が出るまでに5日以上かかるが、もっと早く症状が出ることもある。感染力は症状が出る1~2日前から、症状が治まってから数日後まである。また、以前の亜種と同様、症状が現れてから1週間は生きたウイルスが検出されることがあり、リバウンド症状を起こす人もいます。

症状や経過に関しては、
おそらく以前の亜種と同様とのこと。
「感染で免疫が強くなったから」とかいいだすと、
ワクチンって何?


パクスロビドのような抗ウイルス剤はFLiRT亜種に有効ですか?
はい、良いニュースとしては、パクスロビドは依然として高リスクの人に推奨されています。パクスロビドはJN.1までの変異型に有効で、FLiRT変異体の塩基配列から、パクスロビッドだけでなく、モルヌピラビルやレムデシビルなどの抗ウイルス薬にも感受性があるはずです。これらの薬剤を製造している企業は、常に新しい変異体に対する試験を行い、薬剤の効果が持続することを確認している。

もう、突っ込むのも疲れたので、
ここらへんで終わります。

「収斂進化」という用語は、
覚えました。


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