「早期の抗生物質使用が子供の喘息リスクを高める可能性がある」という記事

昨日までは、蒸し暑いながらも、
それほど気温が高くなかったようですが、
今朝は朝から気温高めです。
猛暑日地点が急増しそうとのこと。
週末にかけて梅雨明けの予報となっていますが、
梅雨明け後は猛暑が戻り、
熱中症の危険度がさらに高まります。
少なくとも月末までは猛烈な暑さが続くようです。
水分(塩分)摂取を心がけましょう。

発熱外来とかやってると、
抗生剤希望のかたがちらほらいます。
あきらかな溶連菌感染疑い等なら話はかわるんですが、
若くて元気な人には、
ウイルス性疑われる場合だと効果ないと説明するんですが、
根負けして少しだけならと処方してしまうことも・・

今回は抗生剤についての話題です。


How Early Antibiotic Use Could Raise Kids' Asthma Risk.

Health Day.
2024年7月16日

マウスを使った新たな研究で、早期に抗生物質にさらされると腸内細菌が変化し、子供の喘息リスクが高まる可能性があることが判明した。
Immunity誌に、抗生物質が特に腸内でのインドールプロピオン酸(IPA)の生成を低下させる可能性があると報告された。IPAは喘息に対する長期的な予防に不可欠な生化学物質である。
「抗生物質治療の結果、IPAを生成する細菌が枯渇し、喘息を予防する可能性のある重要な分子が減少することを発見した」とオーストラリアのモナシュ大学の免疫学教授で主任研究者のベン・マースランド氏は述べた。

もちろん、
医学的に必要な時は抗生剤飲むべきです。
なんとなーく処方しと(飲んど)くかなあ、
という場合はやめましょう。

本の論文はこちらのようです。
Antibiotic-driven dysbiosis in early life disrupts indole-3-propionic acid production and exacerbates allergic airway inflammation in adulthood.
Immunity. July 15, 2024



研究者らは、幼少期に抗生物質を投与された実験用マウスは、ダニに対するアレルギー反応を起こしやすくなることを発見した。人間の喘息は、ダニにさらされることで引き起こされることが多い。
研究者らによると、マウスの腸内細菌叢とIPAレベルが正常に戻った後も、ダニアレルゲンに対するこの感受性は長期にわたって持続したという。
これは、IPA が健康な免疫反応を確立する上で特に幼少期に重要であることを示唆していると研究者らは指摘した。
さらに、マウスの食事にIPAを幼少期から補給したところ、ダニアレルギーと喘息が効果的に治癒した。
生後1年目に抗生物質を使用すると、健康を促進する細菌が意図せず減少する可能性がある」とマースランド氏は大学のニュースリリースで述べた。「この研究から、抗生物質がIPAの減少につながることがわかった。IPAは肺細胞が成熟する幼少期に非常に重要であり、アレルギー性気道炎症の幼少期予防の候補となることがわかった。」

IPA(indole propionic acid)という物質は、
普段あまり耳にしませんが、
腸管内細菌叢に、
クロストリジウム・スポロゲネス種が存在する場合にのみ、
生体内検出される化合物で、
人間の酵素によって合成される、
最も強力なヒドロキシラジカル除去剤であるメラトニンよりも、
さらに強力なヒドロキシラジカル除去剤とのことです(wikipedia)。

青魚に含まれる、
IPA:イコサペンタエン酸(icosapentaenoic acid)とはちがいます。


アルツハイマー型認知症の管理とか、
2型糖尿病発症リスク低下や、
慢性腎臓病リスク低下に有望な可能性があるとかないとか。



この研究結果は、子供の腸内細菌叢を安定させることの重要性を裏付けるものだとマースランド氏は述べた。
さらに、IPA を豊富に含む栄養補助食品は、子供の喘息予防に役立つ可能性がある。しかし、動物実験が必ずしも人間でうまくいくとは限らないため、これは人間でテストする必要がある、と研究者らは述べている。
腸内細菌叢は、まず食物摂取(牛乳と固形食の両方)と遺伝、環境曝露によって形成される」とマースランド氏は述べた。「アレルギーや喘息のリスクが高い乳児は、腸内細菌叢の成熟が乱れ、遅れていることが分かっている。」

IPAを含む食品?はググってもでてきませんが、
ポリフェノールが豊富な食品をとると、
IPAが増えるようです。
下記の論文ではザクロジュースを使ってるみたいでした。
A Polyphenol-Rich Diet Increases the Gut Microbiota Metabolite Indole 3-Propionic Acid in Older Adults with Preserved Kidney Function.
Molecular nutrition food reserch.


マウスと人間では、
免疫などの複雑さが全く違うので、
マウスの実験結果が、
人間には応用できないことは普通にありますね。
たまにニュースで、
「(マウス実験で)画期的発見!」とか報じられても、
その後パッとしないなんてよく見ます。


ただまあ、
子供には不必要な薬や添加物はなるべく避けたいなあ、
と思う今日この頃です。


自分が子供のころは、
添加物まみれのお菓子を食べてた気もしますけど。


ニンニクも要注意です。
ニンニクに含まれるアリシンはとりすぎると腸内細菌が死滅するので、
1日の摂取量として、加熱した場合は20g程度(3~4片)、
生の場合は半量の10g(1~2片)程度までにしておきましょう。


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