「ワクチン未接種ではコロナ後遺症を発症しやすい?」日刊ゲンダイ について

蒸し暑い天気が続きます。
水分摂取はこまめにおこないましょう。

コロナネタから離れようと思い、
ネットをみていると、上記タイトルがヤフーで出てきて、
お茶をふきだしてしまいました。
恐らく論文の要旨(まとめ)だけをみて、
そのまま記事にしたんでしょうけど・・・

論文著者らは「ワクチンを接種していなかった人の最大で18%が、感染から2年までに後遺症を経験しており、未感染者と比較して過剰な症状リスクがあった」と結論しています。

確かに、要旨の結論ではそうなってますけど・・・
本文読むと強調するところはそこではない。

記事では、
元論文タイトルすらもふれてませんでしたが、
Recovery and symptom trajectories up to two years after SARS-CoV-2 infection: population based, longitudinal cohort study.
Published 31 May 2023.
です。

この研究は現在進行形のコホート研究(前向き研究)です。
コホート研究というのは、

特定の要因に曝露した集団(コロナ陽性)と曝露していない集団(コロナ陰性)を一定期間追跡し、研究対象となる疾病(コロナ後遺症)の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察研究の一種である。要因対照研究とも呼ばれる。(wikipedia)

ヤフコメでも、疑問感じている人が多かったですが、
ワクチン未接種でコロナ後遺症がリスクあるっていうなら、
比較するのは、ワクチン接種でどれくらいリスクあるかじゃない?

研究デザインをみてみると、

2020年8月6日から2021年1月19日の間にPCRでSARS-CoV-2感染が確定診断された人を、診断後できるだけ早く登録した。参加者はすべて野生型(Wuhan-Hu-1)SARS-CoV-2株に感染しており、covid-19ワクチン展開前に登録された2728人で、過去に感染したことのある者はいなかった。

まだコロナワクチンが始まってないころに登録開始となったため、
「ワクチンは未接種」
です。
しかも「武漢型」の時期です。

ワクチン打ったから、打たないから、どうのこうの言う研究ではないです。

目的は、

本研究では、SARS-CoV-2に感染した集団ベースの縦断的コホートにおいて、CoV-19感染後の経過を包括的に明らかにすることで、既存のエビデンスの限界に対処することを目的とした。24ヵ月間にわたる症状の回復と持続のパターンを明らかにし、過去に感染した形跡のない一般集団コホートと感染者の有病率を比較することで、関連症状の帰属リスクを明らかにすることを目的とした。

コロナに感染したあと、24か月にわたって、症状がどのように持続するか、回復するか、感染したことがない集団と比較することです。
コロナ後遺症とそれぞれの症状が、時間経過でどのようになるかを研究した点で興味深いと思います。

繰り返しますが、
ヤフーの見出しのように、
ワクチン打ってない人は、コロナ後遺症になる?
とういうものでは、
ありません。

結果は、

1106人の参加者のうち、951人(86.0%)が症状を呈し、48人(4.3%)が急性感染時に入院した。研究への参加に同意しなかった人と比較して、参加者は平均年齢が若く、covid-19で入院した割合が低く(1106人中48人(4.3%)、2079人中211人(10.1%))、有症状者の割合が高かった(1106人中951人(86.0%)、2079人中1652人(79.5%)

健康状態が悪化または不変の参加者と比較すると、改善した参加者は65歳未満の割合が高く(55.6%対40.1%)、6ヵ月後に労作後倦怠感があった割合は低かった(27.3%対40.6%)

すべての時点で症状がなかった人、または24ヵ月までに改善した人に比べ、すべての時点で症状が悪化した、または症状を訴えた参加者の割合は、65歳以上併存疾患を有し既存の疲労呼吸困難を有していた。さらに、6ヵ月後に労作後倦怠感を訴えた人の割合が高かった(改善した人では39.1%vs27.5%)。
1ヵ月後までには、有害な転帰を示した参加者の割合は減少し始め、24ヵ月後までには感染前のベースラインと同程度になった

コロナ後遺症は24か月を目安に、
ベースライン(感染前から症状ある場合あり)と同程度になるそうですが、65歳以上で既往症があり、
もともと疲労や呼吸困難がある方は、
改善しにくい傾向があるようです。

もともと苦しいので、コロナにかかった後、
以前より良くなることはないでしょう。


この手の統計学的研究には、
つきものですが
バイアス(偏り)も避けられず、

・症状とcovid-19との関係は、参加者の自己申告に基づいて決定された。自己報告による測定値の臨床的検証は行われなかった。したがって、他の疾患の存在や悪化を反映しているかもしれない症状や健康状態の変化による情報の偏りを完全に排除することはできない。
入院した65歳以上の人の割合は、参加しなかった人に比べて低く、これはcovid-19後の病態の有病率の過小評価につながったかもしれない。
入院した参加者はごく少数であったため、最も重症の急性疾患患者には一般化できないかもしれない。

症状などは自己申告なので、他の病気が存在、悪化したのかもしれない。
重症者が少なく、一般化できないかもしれない。
等々。

SARS-CoV-2に感染した人の最大18%が、感染から24ヵ月後にcovid-19後の状態に罹患していることが示された。感染していない人と比較して、過剰な症状リスクがあることを示す証拠が示された。持続的な健康問題は、感染者に重大な問題を引き起こし、集団の健康と医療サービスに重要な負担をもたらす。このことは、感染予防の価値を強調し、covid-19感染後の状態に対する効果的な介入策を確立するための臨床試験の必要性を強調している

「感染したら、感染してない人よりコロナ後遺症になるのは当たり前」、
と思われるかもしれませんが、
どの程度の人が、
同様な症状で、
どのような期間症状がでるか、
を示すのは重要だと思います。

武漢型、コロナワクチン未接種者の検討ではありますが、
65歳未満、既往症なしの方では、
多くの方で、コロナ関連の症状は2年位で改善する、
というのは希望がもてる結果ではないでしょうか?


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