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絵画や家をお財布に入れる人々

タイトル:

 NFTの教科書

キーとなる言葉解説: 

 暗号資産:通貨的な価値を持つ暗号。国に保障されない。

 ブロックチェーン:暗号資産を支える「管理人が存在しない台帳(本文抜粋)」システム。改ざんできない&コピーできない、価値そのものを他者に移転できる。ちなみに価値の移転には手数料(ガス代)がかかります。

 ビットコイン:ブロックチェーンという考え方を使った「Fungible Token」つまり為替できる価値(デジタル資産)。通貨のように「価値」を他者に「移動」させることができる技術(コピーじゃなく)。

 イーサリアム(イーサ):ビットコインの友達。他にもいっぱいいる。ビットコインがUSDなら、イーサは日本円みたいな関係。NFTは主にイーサ。

 NFT:Non-Fungible(代替え不可) Token(トークン)の略。トークン(代用貨幣などの意)。代わりになる価値が存在しない貨幣ということですね。
 現金化を拒否してるニュアンス、な気がする「すげぃ素晴らしい価値だけど、現ナマじゃ買えないぜ!」みたいな。

 ウォレット:暗号資産を管理するアプリ。色々な種類がある。更に「NFT対応」と「非対応」があるらしい。
 (参考:https://coinpost.jp/?p=287397)

 マーケットプレイス:NFTを扱う会社さん達。それぞれ特色あるNFTを出している。NFTによっては会社間では移動ができないものもあるらしい。

[マーケットプレイスさん](2021/10/31発行時点)
・OpenSea:世界で最も利用されるNFT 。
・Rarible:アート系。
・Foundation:アート系。
・BinanceNFT:大手暗号資産取引所がリリースNFT。
・VIV3:NBAとアート系。
・Atmic Market:WAXのファン。
・miime:初めて円決済導入。
・nanakusa:今年(2021)リリース。
・coincheckNFT: 筆者のトコ。

[NFTを使って盛り上がっている分野]
 ・コレクティブル:トレーディングカードなどの収集アイテム。モンスターでも、選手でも、アイドルでも、キャラクターでも。

 ・スポーツ:選手のトレカ、スペシャルマッチの記念品、選手の契約金、応援チームのサブスクリプション的な?またサッカーなど、アマチュアからプロまでのルートが出来上がっている分野からは、選手自らがアマチュア時代からファンとして応援してくれた人たちに「何かお返しをしたい」という気持ちがあり、NFTを選択肢にする例があるらしい。
(ただし国内で実際に通ったかどうかは、知らない)

 ・アート:芸術という、専門じゃない人々からすると、価値の評価が曖昧になり得る分野。NFTのご祝儀相場のように言われるし、高額を叩き出せるので、新旬のシャインマスカット的な存在。ただしそれはパトロンが存在すれば(芸術はパトロンに左右される。NFTでも、そうじゃなくても)。
 社会問題を扱って、話題性で高く売るのも良いかも知れない。

 ・ゲーム:最も親和性が良いと思う。既存のゲーム内でもこの概念が存在するので。ガチャなどでレアアイテムをゲットして、ユーザー間で取引する。その流れを、ゲームNFT内で合法的に取引できる。NFTで一元化するというもの。

 ・メタバース:かつて漫画ワンピースのスカイピア編でゴットエネルが「バース」「バース」言ってた、あのバースです。平たく言えば、土地です。
 オンライン上にあるので「空間」の方が正しいかも知れません。誰かと会う(オンライン上で)。自分の好きな家を建てる(オンライン上で)。みんなで集まってゲームする(オンライン上で)。その「空間」こそがメタバースです。NFTの売り買いの対象になるんですね。だからNFT対応「ウォレット」に「お城+城下町セット」持ってるユーザーさんもいるかも知れないですよ。

[似てる単語:マイクロバース]
 例:「あつ森」「Roblox」など。技術がメイン。メタバースとの違いは「オープンじゃない事」。
 個人的には何で、オープンじゃないとダメなのか分からない。
 NFT以前に、完結する世界線にしちゃったのが問題なんでしょうか?
 →「あつ森」などでは、かわいい住人やファッショングッズなど、このマイクロバースでとっても流行ってましたよね。

 ・ファッション:ファッションNFT。試験的に、ハイエンドなブランド様もすでに数社参入している。ただ、ファッションNFTだけでは存在自体が難しい。だって誰も居ない自分のお財布アプリの中で、最先端のカバン持っててもねぇ。。。
 他者が存在する、共有の空間「メタバース」が必要になる(と思う)。ただし強力なメタバースが存在すれば、とても輝くNFTだと思う。

 ・音楽:固定ファン(スポーツよりも流動的だけど)がいれば、売り方によってはプレミアつくし、価値が下がらないと思います(ファンが最強だから)。このアーティスト、この音楽好き!という感情はとても理解できる。限定盤CDや聞かないCDやDVDを山ほど買うよりも、シリアル管理されて、購入先も転売先も全てクリアになるNFTの特性は、転売ヤー撲滅を本当に掲げるならば、最強に良いと思う。ただファンの資産を、どうNFTに優しく楽しく誘導するのかが、安易で安全でなければならない(ファンは大切にしてくださいね)。


[間違いやすい単語]
 NFTアート: デジタル化されたアート作品。
 アートNFT: 価値。

ちょっとした言いまつがいが、大惨事になるケース。皆様気をつけましょう。NFTは価値と値の単語が別なのです。


[NFTの法的な位置付け&インフラ]
 NFTの法的な位置付け:NFTより以前に、暗号資産には、日本の法律の中で明確な定義が出来ていません。
 市場で価値として認められつつも、その「価値、対価」を芸術作品などに依存する「この存在」を、法的に保証・定義できていないんです。法律は国や組織に帰属して作られますが、暗号資産は帰属する依代がありません。だから日本政府がどこまで規定し、どこまで規制すべきかが、まだ曖昧なんですね。

 ガス代かかりすぎ問題(インフラ):そもそも「暗号」なんです。もしも使用する時には、解読してやりとりしていきます。つまりシステム上、現行の為替のようにスピーディな取引ができないという特徴があります。価値を担保する為に、解読しづらい暗号にしてるから、取引が盛んになってくると、システムが渋滞してガス代が高くなるという欠点があるそうです。
 決済にかかるパケット代(ガス代)がベラボウに高くなるそうです(と書いてあるけれど、実際の金額はよく分からないです。きっとケーブバイケースんなんですね)。

[ガス代を下げようね取り組み]
 話題性のあるNFT商品が登場するたびに高騰しがちなガス代の応急処置として、イーサリアムの上に、プログラミング的なレイアー(階層)ができました。L2(レイアー2)と言います。このL2システムによって、ガス代の高騰を抑えるのに成功したようです。

 ガチャと賭博罪:ゲームNFTのガチャは、ユーザーの欲しい商品(価値)じゃないかもしれないので、賭博罪に引っ掛かってくる(可能性がある)そうです。この本の中にある賭博法についての条例などの文章を初めて読みましたが、とても難しい(古文か?)。いちいち一般人は読みこなしてられないよね、って文面でした。ゲーム会社の企業法務な方々は、こんな文面と毎回、相撲してるんでしょうか。つくづく彼らの仕事が高度すぎて、縁の下の力持ちキャラなんだなと感じました。

 NFTの儲けっていつ計上?:NFTは円やドルに還元できない通貨です。イーサには戻せると思うけど。
 じゃあ、いつ儲けにできるのでしょうかね?

[例]
 ・NFTアートが取引された毎に著作権的な利益が生まれる?イーサで?それを円換算するのかしら?
 ・チーム選手のトレーディングカードを販売して、その分の利益をチームの運営に還元?イーサで?それを円換算するのかしら?

 個々のNFT化される商品によって変わってくるようです。まだまだ分かりづらいですね。
そしてマーケットプレイスさん達は、システム利用料とかで儲けるのでしょうか?(そっちは書いてなかった気がします)。いったい何パーセントくらい取るんですかね。

[NFT未来予想図]
 NFTが生活費になる:コロナ禍も手伝ってか、フィリピンではそういう風に稼いでいる人々が一定数存在しつつあるそうです。日本では夫婦共働きが一般的な時代です。
 いつか子供のゲームが、家計に打撃ではなく、貢献する日がやってくるかも知れませんね。

本の要点:

 タイトルの通り、NFTについての一通りの知識がギッシリ、売る気満々で入っています。


 NFTの前に、昔は仮想通貨とか色々な単語で言われてた「暗号資産」。そのシステム「ブロックチェーン」。暗号資産のパイオニア「ビットコイン」。そのライバル兼お友達の「イーサリアム」。そしてイーサから、のれん分けした「NFT」にたどり着きます。


 NFTの特徴は「自分の価値は自分で決める!」という、思春期にありそうな独立心です。だからNFTの価値は「絵画」「建物」「トレカ」など様々。同じ「トレカ」でも価値は全く違います。だから「うまい棒10円」が優しい世界に見えてくる程に「その価値をどれだけの人が欲しいのか?」という相対的なニーズ(引力)が、そのNFTの価値となります。(私の理解では)


 このNFTを管理する「ウォレット」アプリがあり、そこに買った「アイドルの限定盤の歌」や「デジタルな絵画」や「お城+城下町セット」などなど色々な種類のNFTの「価値」が入ってくるのです。

 またNFTは、当然ながら国家を持ちません。だから取り扱う会社(マーケットプレイス)単位で発行・管理されています。NFT会社間の「国交」的な何かがなければ、価値は移動できません。極端ですが、会社がなくなると、自分のNFTもろとも消滅の危機に瀕することもあるかも知れません。

 さらにNFTの取引する際は、パケット代のように「ガス代」という費用がかかってきます。ガス代は、ラッシュアワーで満員電車になり、帰省ラッシュで高速道路がジャムるように、話題性のあるNFT商品登場によって一気にガス代が高騰しちゃうという、ざんねんな性質を持っています。

 同じ「限定トレカ」を買ったのに、ガス代が倍。そんなの悲しいじゃないですか。暗号の解読に時間かかるように、暗号資産の取引にも時間がかかるんです。そこはメリットでもあったのですが、ガス代が安定しないデメリットにもなっちゃったと。このオイルショック的なバグを少しでも無くそうと、L2というシステムをイーサの上に立ち上げて、ラッシュとなってもガス代が高騰しないように対策を講じているそうです。

 この事例からも空気読めちゃうかも知れませんが、NFTはその勢力を拡大しつつも、何らかの問題が発生し、その都度インフラを整えてスケールアップしていってます。システムが未熟なんです。それは会計業務や税制についても言えます。暗号資産の法的な定義すらまだ曖昧です。そしてアート系などには著作権も絡んできます。同じアーティストが違うマーケットプレイスに同じNFTアートを出しているケースもあります。転売されて、その先の著作権について曖昧なケースもあります。
 これからは、様々なケースと司法的な判断が必要となってくる、まさにこれからルール作ってる真っ最中なんですね。

 ただ、それは暗号資産を含めてNFTがモリモリ成長している分野で、伸び代がある魅力的なフロンティアとして多くの企業やアーティストから認識されている証拠でもあります。すでにNFTの引力圏は、爆発的に拡大しつつあります。その引力は、クラファンやサブスクの違う形式としても進化しつつあるようで、NGOやチャリティーの団体も乗り出してきているそうです。

 ユーチューブから「ユーチューバー」が誕生したように、ゲームNFTでお金を得ることで、ゲームはただ時間を消費するツールでは無くなってしまいます。そんな価値変遷のトリガーとなりそうなNFT。今後が楽しみですね。

 いつの日か、PayPayとNFTが並び立つ日が来るなら、レジの決済確認画面で、PayPayの銀行口座とNFTの「デジタル絵画」「ブランド物のパンプス」「お城+城下町セット」で、どれを選びますか?って、コンビニで問われる日が来る、、、かも知れませんね。

ターゲットとしてる人達:

 ・NFT、暗号資産に興味がある人々
 ・NFTで新たな分野・資本・ファンが獲得できそうな、芸術・音楽・スポーツ・ゲーム・ファッションなどで活路を求めている方々
 ・NFTと企業法務について関心・興味のある方々
 ・アプリ開発者

心に刺さった内容

 あとがき「NFTは可能性の塊」

 お馴染みの「高度経済成長」は、テストの点を取るための教科書に載ってる単語の一つで、今や何の恩恵も感じた事のない世代が、既に「普通」ですね。「ITバブル」ですら、彼らは学生であって、実感した事ないジェネレーションが今、社会に出てきています。

 彼らの唯一の好景気な印象は、コロナ前の「インバウンド」だけです。
 このコロナ禍で、彼らの希望の一つがNFT、暗号資産なのです。NFTに夢を追うのは、高度経済成長を免罪符に馬鹿やってきた世代の情熱と、同じように思います。

読了日:

 2021年12月

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