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目に見えない究極のすみっコぐらし「個にして波」と天才たちの思考法


キーとなる言葉解説:

 クオンタム(量子):個にして波。原子を構成する、目に見えない究極のすみっコぐらし、素粒子や電子のコト。

 干渉縞(かんしょうじま):「個にして波」な量子の性質を証明する実験で、出力される模様。

 クオンタム思考:日常感覚の世界を飛び越えたような比類なき思考。でも古典的な従来の思考を否定するものではない。

 量子コンピュータ:量子アナログコンピュータ(ある程度できてる)と、量子デジタルコンピュータ(開発中)。

 量子力学(quantum mechanics)と量子物理学(quantum physics):量子の性質を調べる学問。

 一知半解(いっちはんかい):細いトコは分からないが、大まかな、分かる部分は理解してる状態。

 リベラルアーツ:実践的な学問の知識や基礎。学校で習うけれど、テスト後に忘れちゃう単語や数式たち。

 古典物理学:量子力学以前の物理。日常感覚から宇宙物理「重力波」も。

 フレーム・オブ・リファレンス:取得した知識や経験・情報を、関連するモノ同士で紐付けて、自分の知識・見識を体系的にまとめておくこと。

 IoT: Internet of Things。家電などがネットにつながるヤツ。

 ICT: Information and Communication Technology。教育の現場でネットとか駆使するヤツ。

 ベーシックインカム:AIなどに労働と収入を奪われるのではなく、必要最低限の収入を公平に支払う制度。幸か不幸かコロナ禍で給付金として一時的にあったヤツ。

本の要点:

 日常感覚にとらわれない視点、天才たちの未来を先取りする思考を「クオンタム思考」と定義して、彼らの思考方法を会得しよう。という本。優しい口調で書かれ、サラっと読む人のために黄色いラインだけ読んでいく「クイックルート」を整備しているビジネス書だが。
 難易度は鬼。でもこれをマスターすれば、ポケモンGoみたいなゲームが自分でも思いついちゃうかも。

 未来を先取りするのは、画期的な真新しいサービスだけではありません。二者択一の状況下で、第三の選択肢を提示できる能力も含まれます。「著作権を守る」か「表現の自由を守る」か。この二択ではなく「著作権を守りつつ、表現の自由も守る(順番大事)」という第三の選択肢と、それを解決できる技術やその知識がある(当然、下請け丸投げじゃない)。その技術力と柔軟な思考が必要なのですね。クオンタム思考があれば、できてしまうのです。欲しいですね!

クオンタム(量子)って?

 原子の中心にある原子核を構成する、陽子(proton)や中性子(neutron)。それらは素粒子と呼ばれます。コレらが量子です。
 また原子の周囲にある電子も、量子です。つまり量子は、原子を構成する物質の最も小さな粒のコトです。電子はただ電子ですが、素粒子は、クォークとレプトン、ゲージ粒子、ヒッグス粒子の4つに分けられます。

[究極のすみっこ、量子たち]
 
・クォーク:たぶん主原料(6種)
 ・レプトン:電荷(プラスかマイナスの電気)持ってる(6種)
 ・ゲージ粒子:糊。量子たちをくっつける(?)っぽい役割の粒(5種)
 ・ヒッグス粒子:最近観測された重力を持つ量子。(え?それってゲージ粒子じゃないの?という疑問は、私に聞かないで)

量子は「個にして波」

 両国国技館の相撲と、紙相撲の力学が違うように、量子は、両国のルールが通用しないようです。彼らは彼らなりのルールがあるようのなのですが、まだ完全にわかっていません。
 その最たるルール「個にして波」は、個として存在しつつ、同時に波でもあるので、違う場所にも到達する。意味が分からない。私もよく分からない。小さすぎてブレて見える的な感じで、とても不思議な(とでも言わないと、理解できない)性質です。

 実際に、ゲージ粒子を1個ずつ発射して、細長い2つの穴があるフィルムを通してみると、現代の物理学では説明できない文様になっちゃうんです。これを干渉縞(かんしょうじま)といいます。こんな究極のすみっこ性質の研究を「量子力学(Quantum mechanics)」や「量子物理学(Quantum physics)」と言ったりします。
 筆者は、この性質をきちんと数式を使って解説してくれています。しかし古典物理すらおぼつかない私には、解釈のしようがない。数学大好き、物理大好きな方々には、ぜひ挑戦してほしい。

フレーム・オブ・リファレンス

 常人ではなかなか理解できない量子のような性質を、天才たちは学問からスムーズに理解し、思考に活かしているのではないか。
 その領域に凡人が近づく為には、何を意識的にしたら良いのでしょうか?

 その答えの一つが、フレーム・オブ・リファレンス。自身の経験や知識を、体系的に関連付けて構築される脳内データベース(?)。学生生活で、テストのために覚えて忘れるような、「あの」知識をフレーム・オブ・リファレンスに組み込んでおけば、思わぬ分野や経験と結びつき、日常感覚を超えた発想となる起点となるかもしれません。
 筆者はリベラルアーツと呼んでいます。テストに出るから覚えて、その後に忘れ去っていった、あの「一夜漬け」たちです。必要だったのか。でもテスト後も、卒業後も覚えてるって、難しい。

 クオンタム思考は、意識的に作り上げられた質の良い(量子分野も含む)フレーム・オブ・リファレンスを土台として、その上に築かれる思考、ということになります。(本文抜粋)


どうやっても、学校のお勉強と「個にして波」からは逃れられない。

[筆者流、フレーム・オブ・リファレンスの構築方法]
 ・一知半解で、8年間に1500冊の専門書を読んで有る程度理解知識同士が、餅のようにくっつき始めるらしい。
 ・専門分野を超えた、周辺分野の知識により、今後の展望や方向性まで視野を広げることができる。

[イーロンマスクの、フレーム・オブ(以下略)]
 ・電気自動車は、ガソリン車よりもPCに近いのではないか。という発想。
 ・PCだったらDELLじゃね?→DELLの生産スタイルをテスラで採用。
 ・バッテリーが重要な競合要素になると考え、パナソニックに力を借りてバッテリー工場を作る。

 PCとガソリン車は、皆様よく見知っていても、電気自動車がPCに近いという感覚はないですね。これが日常感覚にとらわれない「非日常感覚」なんですね。
 イーロンマスクのフレーム・オブ・リファレンスでは、約20年前から「電気自動車はマッキントッシュにタイヤついて走ってる」感覚だったのでしょうかね。

[一般的なフレーム・オブ・リファレンス 作り方]
 
(1)書籍、動画などのインプット
 (2)リベラルアーツを学ぶ
 (3)量子力学を学ぶ
 (4)英語を身につける
 (5)財務3表と契約書を読めるようにする(英語で)

。。。さぁ難易度「オ二」に入って参りました。(1)(2)は問題なさそうですが、(3)以降は。

(3)量子力学を学ぶ
 Google米国本社の3棟のビル(当時)の名前
 ①「π」…円周率
 ②「i」…虚数単位 (え?!なに?なんだって??)
 ③「e」…自然対数の底 (ファ?!ソコってなに?天井もあるの?)

円周率までしか分からない自分。
[調べました:虚数単位②]
 
虚数単位 i は −1 の平方根の一つ。i=√-1
良かった。平方根なら、単語見たことある。(その程度)

[調べました:自然対数のソコ③]
 
「対数」は、こんなの。 log[2]8 = 3
 なにコレ?!

 何故コレが必要かというと、大きい数の計算を簡単にしたかった。という動機があるそうです。電卓もない時代の16~17世紀、主に天文学者が困っていた問題だと。。。

 log[2]8 = 3 →2を何乗したら8になる?
 ・[2]は底。
 ・8は真数(しんすう)。
 ・3は対数。

「対数のソコ」は、ネイピア数と呼ばれる自然対数の底
 e = 2.718281828459045…

 ビルの名前だけで「あー。アレね」となるGoogle社員の凄さと、私たちの日常感覚から程遠いということが、大変よく分かりました。

 ともかく、「π」「i」「e」から、オイラーの公式と呼ばれる公式が成り立ち、そのうち量子力学に結びつく値なのだそうです。(もう許してください)

(4)英語を身につける [フレーム・オブ・リファレンス 作り方]より

  世界のわずか1%ほどの人間しか使っていない、日本語というローカル言語で高等教育が受けられるというのは、もはや恩恵ではなく足枷に転じた
(本文抜粋)

 ぐぅの音も出ない、正論です。
 日本語を捨てろとは言いませんが、せめて「高校出たらバイリンガルでしゃべれます。海外?パスポートないけど、日常会話できるから、困らないと思いますよ」
 コレが現代において、本当に必要とされてる高等教育だと思います。特に古文・漢詩などは大学でこそ、社会人的な教養となるのでは?

 本編では英語「で」、情報収集とあります。その通りですね。絶対量が日本語の比ではありませんよね。その分、色々なサイドの情報があり注意する必要がありますが。
 交差点で例えるなら、英語は常に渋谷のスクランブル交差点にいるような。日本語のみだと、離島の押しボタン式信号な感じですね。
 筆者は中学3年間の英語を1年やるだけで、十分だと言ってます(国際線の飛行機乗るくらいなら)。そして言語はアップデートが基本。英語にも日本語にも、ゴールなんてありません。泣いちゃいそう。

(5)財務3表と契約書を読めるようにする(英語で)
 [フレーム・オブ・リファレンス 作り方]より

 英文会計・簿記も英語「で」、契約関係も英語「で」勉強すれば、英語も上達するし基礎教養もバッチリ。

 これで、グローバルスタンダード(つまり、国際的にフツー)。

 改めて言われると、何という衝撃。コレが基準なら、日本で教育を受けてきた私達って、大卒でもスタートライン以前の以前じゃないですか。努力の方向が間違ってる。日本語教育は、縮小する1%のマーケット内に人材を留めておく呪いに見えてきました。

 英語「で」会計、ちょっと見てみたいです。


 つまりフレーム・オブ・リファレンスは、テストの点数取りに消えてった努力と、アルファベットからできているようです。
「グローバルスタンダード」までの距離感もわかったけれど、逃避したい衝動に駆られる。


そして、その先にある量子コンピュータ

[2つある量子コンピュータ]

 1. 量子アナログコンピュータ
 ・量子アニーリング方式:量子アナログコンピュータ(いわば自然の法則を活用して最小エネルギー状態を探索する量子計算機)

 ・量子ゲート方式:量子デジタルコンピュータ(現在の計算機の処理単位である”bit”を”量子bit”で置き換えた計算機)

2.量子デジタルコンピュータ

 ・まだない。(2022年2月)

 これまでのコンピュータは「0」と「1」で情報を取り扱うが、「個にして波」な量子は「0にして1」という重ね合わせた状態になるそうで、従来型で1000億年かかる処理を数時間に短縮できる性能になるそうです。

2019年10月、Googleが量子デジタルコンピュータがスーパーコンピュータの計算能力を上回ったと発表しました。


 量子デジタルコンピュータの完成は、そんなに遠い未来の話ではないですね。

AIと「個にして波」な量子

 開発が進む人工知能AI。今開発されているのは「犬か猫か」といった差異を見つける領域ですね。実はこれまで、自己の司令塔となる「意識の主体」を開発しようとして、失敗しているのだそうです。
 「AIの自己(意識の主体)」とは、一体何でしょうか?

 受動意識仮説:意識の主体となる「私」は、単なる観測者で、能動的な主体と思い込んでるだけ。という仮説。

「自己」ってハンドル握ってるドライバーじゃなくて、助手席にいるヒト?!

 意識の司令塔ではなく、観測者AIを作るのに、量子力学が大きく関わる可能性がある。ココでも宇宙の量子とオイラーの公式が登場して数式が展開されるが、説明が何もわからない(オイラー、もうやめて〜)

 現段階で開発されているAIは、能動的な主体「司令塔」ではなく「観測者」を作っている。ということらしい。
 現代科学が解き明かせない領域の正解は、すべて量子の世界にあるのではないか?ということらしい。つまり古典物理学の延長線上に、量子力学が存在する。

 「クオンタム思考」は日常感覚の世界を飛び越えたような思考であるが、古典的な従来の思考を否定するものではない。最新の量子物理学では、相対性理論との融合を目指す研究が行われている。なのでフレーム・オブ・リファレンスに、古典物理学セクションを追加するのは、とても良いこと。


クオンタム思考と現代の取り組み

 IoT、ICT、ベーシックインカムについて触れていき、制度的な問題にも触れていきます。AIは労働者の仕事取っちゃうかもと言われていますが、まずは「フレーム・オブ・リファレンス」と「グローバルスタンダード」を構築するべく高等教育改革で、問題は改善しそうな気がします。

 ぼんやりと受験を前提とした教育問題を捉えていましたが、1%の言語の「とめ」「はね」にコダワってるより、中学高校から英語「で」数学と簿記を教えてあげた方が、有用な人材を排出できるんじゃないですかね。

ターゲットとしてる人達:

 ビジネスな方々
 若い発想を潰してまわってる、老兵な方々
 素粒子物理学系のポスドクな方々
 数学が人一倍できる方々

心に刺さった内容:

 アダルトスーパービジョン(Adult Supervision):大人による見守り。若いスタッフ放牧主義。若人が困った時、同じ失敗をしそうな時に少し助ける。

機械学習や深層学習の研究者に要請される素養としての高等数学のレベルが高すぎるため、人材不足(p266)

素粒子物理学界隈のポスドクさん、筆者がニコニコしながら待ってますよ。

読了日:

 2022年2月

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