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【麻酔科研修】人によって言っていることが全然ちがう話

こんにちは、cooking_meganeです。
麻酔科医になって10年目くらい。
中規模の病院に勤めているため、研修医の指導をすることも多いです。

この記事は麻酔科を初めてまわる研修医や、
麻酔科のことを知りたい一般の方に向けて書かれています。

「麻酔科ってどんな感じなのかな?」
「知っておいた方がいいことってなにかな?」
「何から手をつけていったらいいのかな?」
「麻酔科医って何を考えてるんだろう?」

そんな疑問にお答えします。
教科書やマニュアルには載っていない、
現場で話しているようなこと・考えていることを記事にしようと思います。
学術的なことに興味がわいた場合は、ぜひ教科書を開いてください。
何回かに分けて投稿する予定なので、フォローしていただけると嬉しいです。
この記事は 1500文字 程度で 2分半 くらいで読める内容です。
最後にまとめと、ぶっちゃけトークもあるので、ぜひ最後までお楽しみください。
それでは麻酔科研修 人によって言ってることが全然ちがう話 をはじめていきます。

麻酔科研修ではいろいろな指導医から教わる

麻酔科研修は、期間中同じ麻酔科医がずっとつくマンツー・マンの指導スタイルではありません。
麻酔症例それぞれに研修医の先生と麻酔科医が割り当てられます。
なので、いろいろな麻酔科医から研修医の先生は指導を受けることになります。

指導の現場をのぞいてみよう

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麻酔科医4人に登場してもらいます。
フルストマック(胃内容が多く、逆流して誤嚥の可能性がある状態)の患者さんに全身麻酔をどうかけるか、研修医の先生に指導しています。

麻酔科医A
「マスク換気は絶対するなよ!クリコイドプレッシャー、迅速導入、無換気、挿管だ!カフはすぐ入れるんだぞ!」
麻酔科医B
「低圧でマスク換気はしようか。ヘッドアップして十分に酸素化、迅速導入、低圧換気、挿管ね。クリコイドプレッシャーはなくてもいいよ。」
麻酔科医C
「胃管を先に入れよう。胃内容を吸引して、それから急速導入しよう。」
麻酔科医D
「この手術なら全身麻酔じゃなくてもいいだろ!脊椎麻酔+硬膜外麻酔だ。」

さて、指導を受けた研修医の先生はどう思うでしょうか。

研修医A
「今日の先生は、この間教わったことと違うことを言ってくる。なにを信じたらいいんだ?!」
研修医B
「なんでみんな違うことを言うんだ!」


麻酔の目標は同じでも手段が違う

当然ですが、研修医の先生たちを困らせるのが目的ではありません!

なぜ人によってこんなにも言っていることが違うのでしょうか?
ちなみに指導医たちは、みな間違ったことは言っていません。
達成したいゴールは一緒でもたどり着き方が違うだけなのです。

今回の例ではどうか。
解説していきます。

麻酔の目標「誤嚥を防ぐ」

は、みな共通です。

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麻酔科医Aは徹底して胃に空気を送り込まないことをコンセプトにしています。
麻酔科医BはAと似ていますが、より「低酸素血症を防ぐ」というコンセプトがみえます。
麻酔科医Cはそもそもの状況を変えてしまえばいいという発想です。
麻酔科医Dは麻酔方法の見直しをしました。

それぞれ状況に応じてベストな選択は変わります。
今は「フルストマックである」というたった一つの状況を考えているにすぎません。
実際にはもっと多くの状況、
例えば「高度肥満である」とか「心機能が落ちている」とか「肺炎を合併している」とか
患者さんによって事情が全く異なります。

麻酔方法はそれら全てを総合して決めていくものです。

なのでこの問題に正解はありません。
結果的に良かった、悪かったということがあるだけなのです。

研修医としてどうしたらいいのか

麻酔科医の行為には必ず理由があります。
やっている手技はもちろんですが、
その背景について考えることが大事です。
「行為」ではなく「考え方」を学びましょう。

「人によって言ってることが違う!どうしたらいいんだ!」

ではなく、

「いろいろな考え方に触れられた!ラッキー!」

と考えられれば、麻酔科研修はもっと楽しいものになると思います。
「考え方」をストックしていくことで応用がどんどんきくようになります。

私はそうでした。
ポジティブすぎでしょうか?(笑)

まとめ

●麻酔科研修では指導医によって言うことが結構ちがう。
●目的は一緒でも手段がちがう。
●「行為」を学ぶのではなく「考え方」を学ぶ。
●さまざまな考え方に触れられる「チャンス」と考えよう。


*ぶっちゃけた話
なかには本当にテキトーなことを言っている麻酔科医もいるでしょう。
その場合には、
なぜそれで大丈夫なのか?あるいは、なぜそれでダメだったのか?
を考察するといいです。
それはそれで学びがあります!


最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回もよろしくお願いします。

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