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【挿管】酸素化のイチ手段に過ぎない話。

この記事は 1500文字程度 約2分半 で読めます。

挿管とは?

患者さんを眠らせるために鎮静薬を投与すると、
その副作用で呼吸が止まります。

呼吸を補助するためは様々な手段がありますが、
その一つが挿管です。

口からのどの奥、肺の手前まで管を入れていきます。

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麻酔中は人工呼吸器に管をつないで、
自動的に酸素を出し入れします。

確実な気道確保ともいわれ、
呼吸の止まった患者さんによく使われる手段です。

最近コロナでも話題になっていますよね。


まず伝えたいこと。
挿管はあくまで酸素化のイチ手段である。

ちょっと専門的な話をしていきます。

「挿管できるようになるのが目標です!」

麻酔科研修に来てくれた研修医の先生がよくいうセリフです。
わかりやすい目標で、麻酔科医も指導しやすい内容です。
もちろん、挿管ができるようになるのは重要なことです。

なぜ重要なのでしょうか?
麻酔科以外の道に進む先生にとって、
「挿管」を求められる場面は基本的に緊急事態です。

外来で診察中の患者さんがくも膜下出血で突然倒れた。
呼吸が弱い。
当直中に入院患者さんが心肺停止した。
他の医師が手を離せない。

なんとかしなければいけない状況で、
挿管をせまられるのです。
だから挿管はできるようにならなければならない。

でもちょっと待ってください。
なにがなんでも、その患者さんは挿管をしなければなりませんか?
本当に必要なことはなんですか?
喉頭鏡をにぎりしめる、その前に考えてみてください。

挿管そのものに意味はあまりありません。
管を声帯越しにつき立てるだけのものです。

挿管は酸素化のイチ手段に過ぎません。

本当に必要なことは患者さんの「酸素化」です。
(換気=二酸化炭素のコントロール が目的のこともあります。)

手段にとらわれて、目的を見失わないようにしましょう。
挿管ができないとき、
それはあくまで手段の一つが使えなかっただけです。

他にも手段はあります。

マスク換気、声門上器具挿入、輪状甲状間膜穿刺・切開、気管切開、ECMO。

挿管の他にも酸素化をする手段がある、
手術室でもその他の現場でも同じです。

このことを頭の片隅に置いておいてください。

挿管にこだわりすぎない。

挿管にこだわりすぎるあまり、
患者さんの酸素化がおろそかになってしまう事態は
避けなければなりません。

挿管にこだわり、
周りが見えなくなってしまうのは麻酔科医でも同じです。

動画を一つ紹介したいと思います。

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「Just a routine operation」
イギリスで実際に起きた手術室の気道トラブルの動画です。
挿管にこだわり、患者さんの酸素化ができず死亡してしまう話です。

本題は手術室内でのコミュニケーションなのですが、とても有益です。

15分弱とちょっと長めの内容ですが、
ぜひみてください。

(日本語字幕つき)
https://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/home/hp-cqm/ingai/instructionalprojects/teamperformance/index.html

(オリジナル)
https://youtu.be/JzlvgtPIof4


とはいえ挿管は気道確保の基本。

そうはいっても、挿管はやはりできないと困りますよね!
ひとりでECMOをまわせるわけではないですしね、、。

挿管というタイトルなのに
一切挿管手技の話をしませんでした(笑)

挿管の学習自体は、たくさんの書籍・動画が
でているので学習にはことかきません。

ちなみにオススメの一冊はこちらです。

この記事では手術室で挿管を学ぶときに、
麻酔科医のどこに注目したらよいか解説していこうと思います。

(長くなってしまったのでまた次回!)


まとめ

●挿管はあくまで酸素化のイチ手段である。
●挿管にこだわって患者さんの酸素化をおろそかにしないこと。

最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回もよろしくお願いします。

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