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書籍紹介『特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方』

『特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方(平熱)』という本の紹介です。

みなさんご存知の平熱先生の本が出ましたよー!!!

Twitterをやっている支援教育関係の人はきっと平熱先生のツイートを見かけたことがあるでしょう。ゆるさとユーモラスを兼ね合わせた、それでいて支援のあり方の核心に迫るような平熱先生の投稿に僕も魅了され、以前からフォローさせていただいていました。

そんか平熱先生の本が出版されるなんて…秒でAmazonに予約しました。

ザ・ゆるくてわかりやすい

そうして手元に届いた平熱先生の本ですが、ゆるくてわかりやすいがポイントです。平熱先生のコンセプト通りですね笑

最初の駐車場の白線の話から始まります。何もない駐車場と白線を引いてある駐車場、「どこに停めたらいいのかがわかりやすい」のはどちらか…一目瞭然ですよね。

(画像はAmazon.co.jpより)

だだっ広いアスファルトに、「駐車場」と書かれた看板が置いてあるとします。
たしかにこんなところでも、車は停められます。
でも、とても停めにくいし、効率も悪いです。
事故を起こす確率も上がりますよね。

では、アスファルトに白線を引いて、駐車スペースを区切るとどうでしょう。

「駐車場に空きはあるか」
「左右の車とはどのくらい距離を取ればいいか」
「あと何台停められるか」


そんなことが、多くの人に
「パッと見」でわかるようになりました。

この白線を引く作業こそが「特別支援教育」です。

わからないことはないけれど、あればわかりやすいサポート。
できなくはないけれど、あればやりやすいサポート。
できなかったことが、あればできるようになるサポート。

発達になんらかのつまずきがあったり
障害をもっていたりして、
困りごとを抱える子どもたちのために
わたしたちが白線を引くことができれば、
彼らの「困った!」がグッと軽くなります。

今のままじゃ車を停めるのがむずかしいあの子が、
どんな線を引いたら駐車できるだろう。

そんなことを考えながら、一人ひとりをよく見て考えて、サポートをする。
それが、「特別支援」です。
これは「特別支援」ではありません。
形や態度を変え、わたしたちの身のまわりに、
いくらでも転がっているサポートです。

この本では、
発達につまずきのある子と、そのまわりにいる大人のみなさんのために、
特別支援教育をベースにした「困った!」を小さくするヒント
をまとめました。

お子さんが社会に出たとき、たくさんの人の助けを得ながら、
少しでも自立して生きていくために。
いっしょに生活する大人たちができるサポートや知っておいてほしいことを、
むつかしい話やきれいごとは一切なしで、
今の自分に伝えられることを精いっぱい書きました。
その中のひとつでと、だれの生きづらさを少なくする手助けになりますように。

前書きより

ね、わかりやすいでしょ。

そんな全人類に有効な特別支援教育、その具体的な内容と例によるわかりやすいお話が続いていくのですが…難しい語句は本当に出てきません!笑

実態把握もアセスメントも、構造化も課題分析も、ABAもSSTもPBSもUDも、アンガーマネジメントも氷山モデルも提案交渉型アプローチも、そんな専門用語は出てこないのです。でも、僕が今まで発信してきた、そんな語句に関連する支援教育のエッセンスが平熱先生の文章からにじみ出てくるんですよ。

すごいなぁ…。こればっかりは本を読んでもらわないと伝えられません。

気になった部分を紹介

子どもが「自立する」ってどういうこと?ついて書かれたところです。

…そこで、わたしが特別支援学校の先生として子どもたちに対して考える「自立」は、つぎのようなものです。

 今の自分が「できること」と「できないこと」
を知ったうえで「できること」を増やし、「できないこと」を多くの人やものに助けてもらいながら生活する力。


 少し解説しますね。
「できること」と「できないこと」に分けましたが、ここは「わかること」「わからないこと」もそうですし「得意なこと」「苦手なこと」もあてはまります。
「したほうがいいこと」「しなくていいこと」や「助けが必要ないこと」「助けが必要なこと」なんかもいいですよね。
 状況によって使い分けて考えます。
 あたりまえですが、わたしたちは「全部をひとりでできる」必要なんてありません。
 というか、無理です。そんなこと。
……
 つまり、「できる」は多いほうがいいけれどらなんでもかんでと「できる」ことが「自立」ではありません。
「できない」ことを知り、それを伝え、助けてもらえる力だっておなじくらい大切です。
……
 子どもたちが社会で生活していくうえで、なにが「できる」のか、「できない」のかを本人やまわりが理解し、必要なら伝え合い、支え合う。
 そして、「できない」ことの中から「できたほうがいいこと」を探す。
「できたほうがいいこと」の中から「できそう」の種を見つけてくる。
「できそう」の種に「教育」や「サポート」の水をあげる。
 小さな「できた」の花が咲く。
 それでも「できない」ことは、まわりに伝えて助けてもらう。

 これを繰り返していくことで、少しずつ「自立」した大人に近づいていきます。もちろん、人によって目指すべき「自立」はちがいます。
「できること」を小さく重ねましょう。

第1章 子どもの「自立」をどう考える?より

とっても素敵な文章ですよね。

僕自身は「自立」という言葉を考えるときに熊谷晋一郎さんの「自立とは依存先を増やしていくこと」という言葉が浮かんできます。

それと僕は自分の教員という仕事は「子どもたちに種を蒔く仕事」だと考えています。

僕の勘違いかもしれませんが、平熱先生の考え方に近いような気がして、勝手に自信を貰いました。ありがとうございます。

他にも「苦手なこと」は「できなくてもなんとかなる」と思っておくとか、「好きなこと」は、こんなに人生にプラスになる!とか、「またやりたくなる」があれば「できること」を増やせるとか、魅力的なお話が盛りだくさん…これ以上は本を手に取ってみてください。

まとめ

みなさんもうお気づきかもしれませんが、今回は本のみならず平熱先生自体を紹介しにかかっています笑。

平熱先生ファンとしてその魅力をぜひみなさんと共有したいのです。

もちろん本も支援教育のエッセンスをシンプルにわかりやすく具体的に伝えられています。シンプルにわかりやすく具体的にってまさに支援教育そのものですよね!

という訳でおすすめ本の紹介でした。気になった方はぜひ手に取ってみてください。

主にTwitterで発信されることの多い平熱先生ですが、今回の書籍関係のことはnoteでも発信されています。

もちろんTwitterも要チェックですよー。



表紙の画像はAmazon.co.jpより引用した本の表紙です。