体験記事「点字のあるもの、触ってわかる工夫のあるユニバーサルデザインのものを集めて思ったこと」
別の記事『点字のあるもの まとめ』や『触ってわかる工夫 まとめ』でも紹介している、いろいろなものの実物を仕事の関係で集める機会がありました。そこで気づいたことをまとめたいと思います。
どこにあるのか
主に探したのはスーパー、ドラッグストア、百均、コンビニ、百貨店です。百均やコンビニは意外かもしれませんが、いくつかありました。逆に百均の商品には点字がついているのに、もうちょっと高い他のメーカーの商品には点字がついていないなんてものもありました。コンビニはプライベートブランド商品に点字が多いイメージです。
駅や郵便局などにも点字はたくさんあるのですが、収集はできないため今回は割愛します。
お店に行ってもなかなか見つからない
まずスーパーへ。僕は『点字のあるもの まとめ』という記事を書いている身ですので、検討はつきます。が、そもそもその商品が置いていない場合もあります。
そもそもスーパーには1万2千種類からの商品があるそうですし、学校の調べ学習で、近隣のスーパーに行ったときに見つかったのは「11種類」でした(下調べや知識なしだと全然見つかりませんし、ユニバーサルデザインのものはそうだと気づきません)。
(画像は123RFより)
店員さんに「点字のある商品はいくつですか?」とインタビューしても、答えは「わかりません」でしたし…。
点字付きのものは見つかったけれども…
例えば有名なビールや酎ハイなどのお酒の缶のフタには「おさけ」と点字が表記されています。これは、ほぼどこのメーカーも同じですが、他の商品だとそうはいきません。
(画像はKIRINより)
例えば、ふりかけにも点字のあるものがあります。「ふりかけのゆかり(三島食品)には点字があります」と聞くと、多くの方が「そうなんだ、ふりかけには点字があるんだ」と思われるかもしれません。
(画像はニッポン・ロングセラー考より)
でも実際にスーパーの売り場で確認してみると、三島食品のゆかりには点字が確かにあります。でも、他のメーカーのふりかけには点字はありませんし、三島食品でも他の菜めし、あかり、かおり、ゆかり梅肉入りには点字がないのです。数えてみたら売り場にあるふりかけ75種類の内、点字があるのは1つだけでした。
ドレッシングはキューピーのものに「どれ」という点字がついていますが、蓋が丸みのあるタイプにはありません。確認してみたら66種類の内23種類に点字がありました。これは結構高い割合でしょうか。
また点字のついている商品はあっても、そのメーカーのその種類の商品は置いていないということも多々ありました。
郵便局へ行ってくぼみ入りはがきを求めても販売しておらず、結局メルカリで入手しました笑。
(画像は筑波技術大学より)
メーカーや販売店の人も知らない
先程、スーパーの店員さんに「点字のある商品はいくつですか?」とインタビューしても、答えは「わかりません」だったという話を紹介しました。
さらに、近所の百貨店の化粧品売り場へ行き、「その化粧品会社が百貨店の売り場で視覚障がいの方へ提供しているシールや冊子を販売してもらえないか」と尋ねるとなんだそれはみたいな反応で、販売員さんにも周知されていないケースもありました。
みんなに知られないのはもったいない
点字付きの商品を販売しているメーカーさんのホームページにいっても、その商品に点字が付いていることをPRされていないことがあります。というか多いです。
小学4年生の国語の時間に点字を習うのですが、多くの学校で点字のあるもの調べ、探しをされています。
そのときに、ホームページに点字のあることを掲載されていれば…、検索してすぐ見つかるようになっているなら、多くの小学生とその保護者に「点字付きの商品を販売しているメーカー」と認知されるチャンスになると思うのです。
メーカーさんだけでなく、点字メニューを作成されている飲食店さんもそうですが、点字があることやユニバーサルデザインであることをもっと世間にアピールしてもいいんじゃないでしょうか。
探すことは別の疑問をみつけるきっかけ
今回点字のあるものやユニバーサルデザインのあるものを探してみて、新たな疑問にもぶつかりました。
例えばシャンプー、リンス(コンディショナー)、ボディソープを区別するために本体の蓋や側面にはそれぞれ異なるしるしが付いています(シャンプーはギザギザ、リンスはなし、ボディソープは縦線です)。
(画像は日本視覚障害者団体連合より)
最近は詰め替え用ボトルにもしるしがついています。
(画像は花王 シャンプーのきざみについてより)
では質問です、リンスインシャンプーのしるしはどうなっているでしょうか?
また1リットルの牛乳のパックには開け口のわかるよう切欠き(きりかき)というものが付いています。
(画像はJミルク牛乳パックの切欠きより)
じゃあオレンジジュースにはついているのでしょうか?低脂肪乳やキャップタイプの牛乳のパック、500ミリリットルのパックや200ミリのパックはどうでしょうか?
また点字のあるもの集めで、ケンタッキーのドリンクの蓋を持ってきてくれた方がいました。
その方と話していて出てきた疑問ですが、ケンタッキー以外のファーストフード、マクドナルドやモスバーガー、ロッテリアなどはどうなっているのでしょうか?
(画像はColor for Invisible Man【カラホM】色と心理効果-⑤派手な色・地味な色-より)
今回の記事ではあえて答えは掲載しません。
気になった方は探してみてください。こんな疑問に出会うのも自分で探してみたからでしょうか。
まとめ
今回点字のあるものやユニバーサルデザインのもの探しをしてみて思ったことは、そういった商品がもっとアピールされたり、認知されたり、称賛されたりしてもいいんじゃないかということです。
日本ではそういった配慮があればスゴイねという感じですが、例えばアメリカでは有名歌手のホームページが視覚障がいの音声ユーザーに対応していない(アクセシブルでない)という理由で訴訟される時代です。
(画像はYahooニュースより)
今の日本は、アメリカのように配慮があるのが当たり前、ないのが問題に社会が変わっていく過渡期なのでしょう。でも、今の日本でそんな取り組みが当たり前になるためにも、もっとアッピールするべきだと思うのです。
今回の記事が、そのような配慮を知る機会になり、さらにその取組みが社会全体に広がっていくための役に立てれば嬉しいなと思います。
表紙の画像は富山市ボランティアセンターホームページより引用しました。