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教材紹介【性教育】『ワークシートから始める特別支援教育のための性教育』

『ワークシートから始める特別支援教育のための性教育(松浦賢長/千葉県立柏特別支援学校)』という本の紹介です。


小学部から高等部まで特別支援学校で使える内容

ジアース教育新社ホームページより本の目次を引用します。

第1章 解説編 本書の使い方
解説編(1) 本書の新しい考え方
解説編(2) 略案の記載と考え方
第2章 実践編 指導略案&ワークシート
実践編(1) 指導略案 おとこトイレ、おんなトイレ どっちにはいる?
実践編(2) 指導略案 おふろにはいろう
実践編(3) 指導略案 みずぎにきがえよう
実践編(4) 指導略案 ひとりでおふろにはいろう
実践編(5) 指導略案 おともだちとの「あいだ」
実践編(6) 指導略案 「おすし」で自分を守ろう
実践編(7) 指導略案 大きくなったわたしたちの体
実践編(8) 指導略案 「かくすところ」の決まりと約束を守ろう
実践編(9) 指導略案 月経(生理)について知ろう
実践編(10) 指導略案 「いかのおすし」で自分を守ろう
実践編(11) 指導略案 異性との関わり方を学ぼう(1)
実践編(12) 指導略案 異性との関わり方を学ぼう(2)
実践編(13) 指導略案 異性との関わり方を学ぼう(3)
実践編(14) 指導略案 「ちかん」に間違われたら
実践編(15) 指導略案 思春期の心の変化について知ろう
実践編(16) 指導略案 思春期の体の成長を知ろう
実践編(17) 指導略案 妊娠・出産について考えよう
実践編(18) 指導略案 現実的な家族計画を考えよう
実践編(19) 指導略案 健康な生活を送るために
実践編(20) 指導略案 身近な性に関する情報と向き合うために
[コラム]
二次性徴
子育てと子離れ
カタカナ言葉にご用心!
あいだと距離感
ルールとマナー
プライベート・ゾーン
理念と理想
思春期とは何か
教師と教員
第3章 資料編 学校で指導、保護者との連携
特別支援学校での性に関する指導
保護者との連携
初経指導と月経指導
第4章 素材編 CD-ROM収録イラスト一覧

小学部でのトイレやお風呂についてから、中学部でのプライペートゾーン、月経の処理、第二次性徴、高等部での異性との関わり方、妊娠・出産などの家族計画など、小学部から高等部までの特別支援学校の12年間を通して使える幅広い内容が掲載されています。

(画像は子育てタウンより)

(画像は東京新聞より)

(画像はLEEより)

(画像はACイラストより)

(画像はランドリーボックスより)

(画像は働く主婦の独り言より)

(画像は養護教諭の小ネタの小部屋より)

それぞれの単元についてはインターネット上にワークシートや指導案、記事、イラストなどがたくさんありますが、系統的に網羅された内容で同じテイストのワークシートが1冊にまとめて掲載されているので、とても使いやすいです。

すぐに使えるワークシート

ここでワークシートの中身は紹介できませんが…どの単元にも授業ですぐに使えるワークシートがついています。全てコマザキ先生のかわいいイラスト付きで視覚的にもとってもわかりやすいんです。ぜひお手元に取り寄せてご覧ください。

コマザキ先生のイラストはこんな感じです。別の本の表紙を掲載しておきます。

『コマザキ先生のほけんだより(駒崎亜里)』

(画像はAmazon.co.jpより)

さらにCD-ROM付きでワークシートやイラストのデータを取り込んですぐに印刷できます。めちゃくちゃ便利で重宝しています。

さらに全ての単元で指導案も掲載されているんです。なんて親切で使いやすいんでしょう。

保護者向け案内文も

日本肢体不自由教育研究会のサイトでもこの本について紹介されています。その中から保護者に関する部分を引用します。

本書では、新しい考え方として、「保護者も性教育のカウンターパートに!」を提案しています。「性教育の授業の一端を担っていただく存在」として、保護者との連携を大切にしています。本書で紹介されている事例で作成されるすべのワークシートには、保護者との連携部分が設けてあります。授業で使用したワークシートを保護者が読み、感想や家庭における工夫、悩みなどを記入する欄を設けることで、学校と家庭が一緒になって、子どもの自立を目指す取組を目指しています。

日本肢体不自由教育研究会より

そうなんです。この本には保護者向けの案内文の雛形も掲載されています。「性教育」という言葉自体に過敏に反応されてしまうこともあるのですが、性に関する教育は家庭生活や社会生活での人との関わりや自分自身を考えるときにとっても大切で根幹になるものだと思います。

僕自身が授業で取り扱う際も、「授業で学んでお終いではなく、とっても大切なことなので普段の生活の中で使えるようにこれからも意識しようね、練習していこうね」と繰り返し伝えています。そして性に関する学習には家庭での協力が必要不可欠です。

保護者の方々になんのために、具体的にどんなことを学習するのか、またお家でどんなふうにフォローしていただきたいのかなど学校と家庭とで協力することの大切さも再確認させてくれました。

まとめ

以前にも性教育に関する書籍の紹介をしたことがあります。

そこでもお伝えしたのですが、性は生きていく上で必要不可欠なものです。性といってもその内容はば幅広く、身体の清潔も、第二次性徴での変化も、異性を含めた他者との距離感も、他者の気持ちを考えた言動も、性に関する学習に含まれます。

性教育に際して「寝た子を起こさないで」と言われたことは僕自身にもあります。でも、個人差のある性の欲求を「ダメだ!」と禁止し、抑えるだけでは解決になりません。早い段階から自分の身体の変化やルールなどの枠組みを押さえておくことは必要だなぁと感じる場面が支援学校で働いていて度々あります。

記事でも紹介しましたが、この本はそんな大切な性についての学習を進めていく上で、また保護者の方と共有し、協力してもらうためにもとても役に立つおすすめの本です。

よければ手に取って、そしてぜひ活用してみてください。

おまけに性教育に活用できるサイトをいくつか紹介しておきます。


性教育に活用できるサイトの紹介

1.性教育いらすと

性教育に特化した無料イラスト素材集が掲載されています。

2.命育(めいいく)

医師専門家が監修しているサイトで、性に関する記事や教材が多数掲載されています。

3.ランドリーボックス

子どもだけでなく、大人も知っておきたい性教育に関する記事が一覧でまとめられています。

4.桑びょんの特別支援教育マラソン5.0学習プリント編「銀の龍の背に乗って」

性教育編では、小学部から高等部まで活用できる教材が掲載されています。

5.花王 ロリエ「からだのノート」

「からだのノート ~おとなになるということ~」や「からだのカレンダー」、授業用資料データのダウンロードができます。またロリエ初経教育セットの配布を行っています。

初経教育セット

(画像は花王より)

6.東京都 性教育の手引き

東京都が平成31年に学習指導要領に合わせて改訂したもので、「基礎編」と小・中・高・特別支援学校の「実践編」とがあります。

7.福岡県教育委員会「性に関する指導資料」

校舎別の実践事例では単元計画や指導案、ワークシートなどが掲載されています。


参考にしたサイト

1.日本肢体不自由教育研究会 図書紹介「子どもが変わる 保護者が変わる ワークシートから始める特別支援教育のための性教育紹介」

2.東京新聞「<ひとキラリ>性教育の方法 全国へ発信 千葉県立柏特別支援学校の元養護教諭・高瀬初美さん 障害児向け教材制作 家庭との情報共有訴え」



表紙の画像はAmazon.co.jpより引用した本の表紙です。