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体験記事「第1回こどもめがねフォーラム」

2021年8月21日にYouTube ONLINEで開催された「第1回こどもめがねフォーラム」について紹介します。

こどもめがねフォーラムって?

「"子どもの眼を守り育てるために"知ってほしいコト」をテーマに開催されました。対象は、新生児~高校生のお子様をもつ保護者、幼保育園~学校教育現場など子ども教育に関わる方、小児科/保健師などこども医療に関わる方です。

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(画像はみるみるネットより)

主催は以前に「みるみる手帳」について紹介したみるみるプロジェクトさんです。

どんな内容があるの?

第1回こどもめがねフォーラムの内容は以下の通りです。

1 はじめに
2 『子どもの眼の発達と弱視斜視』 視能訓練士 平良美津子先生
3 『コロナ禍で増加?子どもの近視と注意ポイント』 視能訓練士 潮井川修一先生
4 『こどもめがねに大切①〜レンズとフィッティング〜』 株式会社ニコン・エシロール
5 『こどもめがねに大切②〜技術・品質・アフターフォロー〜』 株式会社ヨネザワ
6 『こどもめがねに大切③〜日本製チタンフレームのこだわり〜』 オリエント眼鏡株式会社
7 『こどもめがねに大切④〜乳幼児にも安全トマトグラッシーズとは〜』 名古屋眼鏡株式会社
8 まとめとお知らせ

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(画像はみるみるネットより)

この順番に沿ってフォーラムの内容を紹介していきます。

1 はじめに

みるみるプロジェクト代表の鈴木達朗さんから、このこどもめがねフォーラムの趣旨と必要性が説明されました。

高校生くらいまでの子どもたちは斜視・弱視、あるいは近視・屈折異常などが起こりうるという子どもの「みる力」年代イベントと、子どもたちは自分の見えにくさに気付きにくいので周りの大人が子どもの眼を守り育てる必要があることを確認しました。僕自身も大学生になってから眼鏡をかけるようになりましたが、はじめて眼鏡をかけたときに世界の見え方が一変するのを体験しました。自分と他者の見え方の違いはなかなか気づきにくいものなのです。

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そして子どもの「みる力」を育てるための、みるみるプロジェクトの取り組みが紹介されました。

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2 『子どもの眼の発達と弱視斜視』 視能訓練士 平良美津子先生

視能訓練士でみるみるプロジェクトにも関わられている平良美津子先生からは、子どもの目の発達、弱視治療とこどもめがねについてのお話がありました。

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平良先生はみるみるネットで「視能訓練士平良のみるみる日記」というコラムを連載されています。

まず眼に入った情報が網膜で像となり、それが視神経を通って脳で映像となる「ものが見える(認識する)仕組み」と、視機能は新生児から6〜8歳と身体よりも早く成長して大人と同じ機能になり、その視覚発達期にしっかり見る経験が必要なこと(特に1〜3歳で著しく発達するために、4ヶ月・1歳半・3歳児の乳幼児検診で特に視機能の検査が行われます)が解説されました。

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またみる力は形や文字の認識や運動機能の発達につながります。

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そのため屈折異常や弱視(機能弱視)は、この視覚発達期に眼鏡装用やアイパッチなどの治療をする必要があるのです(眼鏡をかけると度が進むではなく、眼鏡をかけて適切な見え方を経験しておくことが視覚発達のために必要なのです)。

また治療のためには眼鏡のフィッティングや幼稚園や保育園、小学校などにも眼鏡の必要性を理解してもらい、連携していくことも大切です。

最後にそんな背景を知り、眼鏡をかけた子を応援してあげてくださいというメッセージで講演が終わりました。

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3 『コロナ禍で増加?子どもの近視と注意ポイント』 視能訓練士 潮井川修一先生

福岡国際医療福祉大学 医療学部 視能訓練学科 助教でもある、視能訓練士の潮井川修一先生からは、スマホやタブレット端末の普及やコロナ禍でお家時間が増えたことによって増加しているとも言われる、子どもの近視についてのお話がありました。

近視パンデミックと呼ばれるように日本だけでなく、世界中(特に東アジア)で近視が急増しているんですね(確かに中国、台湾、韓国は眼鏡の方が多いイメージです)。このままいけば2050年には世界の半分が近視になるなんて…。

近視の全ていけないという訳ではありませんが、どこまで進行するかコントロールできず、強度の近視は失明に繋がるというのは覚えておこうと思いました。

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近距離で見るスマホやタブレットに対する眼の負担の大きさもグラフで見るとよくわかります。近視が増える訳ですよね。

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眼のレンズ、水晶体を毛様体筋が調整することでピントを合わせる働きをしていることも丁寧に解説されていました。

近視急増の裏側にある環境要因、スマホやタブレット使用時間増はなんとなく推測できましたが、外出して日光に当たる時間が減ったこと(強い光を浴びることが近視の予防になること)は知りませんでした。

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近視などの屈折異常について丁寧に確認できた講演でした。

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4 『こどもめがねに大切①〜レンズとフィッティング〜』 株式会社ニコン・エシロール

株式会社ニコン・エシロールEPS本部長 兼 株式会社ニコンメガネ取締役の加藤宏太郎さんからは、レンズメーカーと眼鏡販売店の立場からレンズとフィッティングについてのお話がありました。

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「めがねの正体ってなんだろう?」からお話が始まります。そしてメガネの正体、レンズについて話が進んでいきます。

眼の仕組みはよくカメラに例えられますが、カメラでいうフィルムにあたる網膜に映る像のピントが近すぎてぼやける近視と遠すぎてぼやける遠視をレンズで調整して網膜に結像し、はっきり見えるようにするのがメガネの役割なんですね。

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虫眼鏡の原理の話から、レンズによって光が集まったりモノが拡大して見える理由と大事なポイントであるレンズには中心があることがよくわかります。

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だからレンズはただハメればいいってものじゃないんですよね。レンズの中心位置や焦点距離のことも考えてミリ単位でフィッティングする眼鏡店のお仕事、特に子どもの治療用の眼鏡の場合はフィッティングによる適切な見え方がそのまま治療効果に反映されますから、とっても大切なんだなと改めて確認しました。定期的なフィッティングの調整も欠かせませんね。

僕は仕事柄、子どもにメガネを取られたり投げられたりすることもあり、仕事用につくった眼鏡フレームはユルユルになってしまってるんですが笑…それとは別に普段使うメガネのフィッティング調整してもらおうかなと思います。

5 『こどもめがねに大切②〜技術・品質・アフターフォロー〜』 株式会社ヨネザワ

メガネのヨネザワ本店県庁通りの米澤孝樹さんからは、子ども向けメガネ専門店の立場からどんなことに気をつけてメガネを販売されているのかというお話がありました。

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まず「小学生までのお子さんには眼科での受診をお勧めしています」「眼科の処方箋を基にメガネを作成しています」という言葉は、これまでのお話の内容との繋がりを感じます。

眼鏡処方箋だけでなく、弱視等治療用眼鏡等作成指示書なんてものもあるんですね。

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常時300本のメガネがあると言うことで、メガネ好きとしてはお店の様子も気になります笑。子ども用のメガネも乳幼児用から大学生まで幅広く取り揃えられているんです。

大事にしているポイントは度数で、まずは度数をもとに、レンズの厚みなどを考えてフレームを提案されているそうです。

乳幼児向けにはトマトグラッシーズがおすすめだそうです。ツルが柔らかい樹脂素材で、フレームが軽いのが特徴だそうです。

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(画像はみそのめがねより)

小学生向けには軽量化されたチタンフレームで、ズレにくいモダン(つるの先の部分)のものがおすすめだそうです。

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(画像は富士メガネより)

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中高生向けには樹脂製の軽いフレームが、特に女性は流行りの丸眼鏡フレームがおすすめだそうです。JILLSTUARTのフレームちょっとお高そうですが…笑

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スポーツ用にはゴーグルタイプのメガネなんてあるんですね。確かにズレにくくてボールが当たっても怪我しにくそうです。

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フィッティングについてのお話もありました。一人ひとり耳の位置や鼻の形が違うのでフィッティングが必要になるんですね。

フィッティングは、メガネとツルをつなぐヨロイを工具を使って曲げたり、鼻あて部分の向きを変えてといった工程で、顔の幅に合わせて調整するんですね。

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フィッティングの大切さはもう何度も確認しましたが、米澤さんの「(フィッティングは)もうめっちゃくっちゃ大事です」「正しい位置で見えるようにすることが我々の使命です」というお言葉に集約されていると思います。

定期的なフィッティングの調整が必要なのはもちろんですが、特に小さいお子さんの場合はフレームを曲げたり、踏んだり、鼻あてがズレたりがあるので、メガネのヨネザワさんでは月1回の来店をお勧めされているそうです。

またメガネのヨネザワさんでは度数の変化の大きい小中学生向けのキッズクラブ・ジュニアクラブといった保証制度もあるそうです。

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鈴木さんの解説にもありましたが、購入後のフィッティング調整やレンズ交換などのメンテナンスも含めて長いお付き合いができるというのは、眼鏡店さんを選ぶときのポイントになりそうです。

以前紹介したみるみる手帳には、眼鏡店で調整した記録をつけるページもあります。

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6 『こどもめがねに大切③〜日本製チタンフレームのこだわり〜』 オリエント眼鏡株式会社

オリエント眼鏡株式会社代表取締役社長の梅田将臣さんからは、メガネフレームのメーカー、子ども眼鏡の作り手という立場から、チタンフレームについてのお話がありました。

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実は鯖江のめがねミュージアム一度行ってみたい場所なんです。

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(画像はめがねミュージアムより)

チタンが実用化されてからそんなにたってないなんて知りませんでした。まだ定年前なんですね…技術の進歩の速さを感じます。

強くて軽く、腐食しにくい、金属アレルギーを引き起こしにくいのがチタンの特徴です。

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長時間使用し続けても疲れないし、耐久性が高くてある程度復元できる(結構曲がったところからも折れずに復元できるんです)ところがチタンフレームが薦められるポイントなんですね。

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日本製の特徴は、安価な海外製と比べてコストは高くつきますが、安全性とある程度の年数は壊れたときにパーツを交換できたり、パーツがなくても修理できる可能性が高いといったところなのだそうです。

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子ども用メガネもチタン製でいろんな種類があるんですね。鯖江のチタンフレーム…個人的にもかなり気になってきました。

7 『こどもめがねに大切④〜乳幼児にも安全トマトグラッシーズとは〜』 名古屋眼鏡株式会社

もう一つのメガネメーカーの立場として、名古屋眼鏡株式会社の金子和幸さんから子どもの眼についてと、乳幼児用眼鏡のトマトグラッシーズについてお話がありました。

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冒頭の問いかけから、子どもがメガネをかけることにマイナスのイメージをもつ方についてのお話がありました。

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…確かにそういう「子どもなのにメガネをかけるのはかわいそう」と言われる方は一定いらっしゃるのかなと思います(このフォーラムはそんな偏見をなくしていくためのとても大切な役割をされているんだと同時に思います)。

もちろん子どもたちのメガネにはとても大事な役目があるのは、今まで読んでこられた方には言うまでもないことだと思うのですが…。

そんな子どものメガネに求められることは、①安全であること、②子どもが気に入っていること、③顔にきちっとフィッティングできることの3つだそうです。

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ファッション性もありつつ、壊れにくさやメンテナンスやフィッティングのしやすさなど、トマトグラッシーズが保護者や眼鏡店、眼科医から好評な理由なんですね。

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トマトグラッシーズは、本当にカラフルで見ていてワクワクしてきますよね。

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(画像は光子堂メガネより)

口に含んでも安全、軽い、形状記憶なので曲げてももどる(壊れにくい)、カタチ×カラー×サイズが485バリエーションという豊富な種類(子どもの年齢に合わせたサイズを選べる)、鼻あてが3段階に調整できる、ツルの長さを何段階にも調整できるといったトマトグラッシーズの特徴は子どものメガネに求められる条件に合ったものだなぁと感じました。

8 まとめとお知らせ

最後に、みるみるプロジェクト代表の鈴木達朗さんから「周りの大人が子どもたちの見えにくさや見えているのかな?といったことに気づいてあげる社会をつくる」という熱い想いが伝わってきました。

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個人的な話ですが、みるみるネットの紹介では、メガネくんの紹介記事が掲載されている様子が一瞬写り、ビックリしました笑

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北海道南幌町のSVS導入に向けたクラウドファンディングの紹介もありましたね。

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「みるみる伸ばそう、みる力!」の合言葉を叶えるために、子どもたちが見る力を伸ばすための適切な見え方の必要性やそのためのフィッティングやアフターケアの大切さを確認できたフォーラムでしたね。そんな社会の実現を応援しています。

次回のフォーラムやみるみるネットの更新が楽しみです。

気になった方は是非動画を視聴してみてください!



表紙の画像はみるみるネットより引用しました。