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点字に触れよう、学ぼう「点字に興味を持って、もっと知りたい、学びたいと思う方へ」

点字について知りたい、学びたいと思ってもなかなか機会がない方も多いのではないでしょうか。地域の福祉施設や点訳団体、カルチャーセンターや図書館などで点字教室や点字体験会なども行われていますが、今回は気軽にウェブ上や書籍で点字を知って学べるものを紹介していきます。

1 まず点字のことを知ろう

1.『点字にチャレンジ!マンガで覚える点字の仕組み』(日本点字図書館)

小学生向けに日本点字図書館が作成された冊子が『点字にチャレンジ!マンガで覚える点字の仕組み』です。PDFデータが無料で公開されています。

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(画像は日本点字図書館より)

■あらすじ
小学4年生の男の子・新堂瞬(しんどう・しゅん)くんのクラスに、今川あかねちゃんという女の子が転校してきました。あかねちゃんは、白い杖を持ち、目が不自由です。特に気にせずにいた瞬くんですが、ある日、先生の用事で急いで廊下を移動していたとき、あかねちゃんにぶつかってしまいます。
あかねちゃんに、あやまりたい瞬くんが、目の見えない人についての本を調べていると、突然、妖精が現れました。この妖精は、瞬くんに点字のことを教えてくれるようです。そして、瞬くんは、あかねちゃんに点字の手紙を書くことを思いつくのでした。
はたして、瞬くんは、あかねちゃんに手紙を渡せるでしょうか?
日本点字図書館より)

国語の教科書で点字に出会う小学四年生が主人公になっていて、点字の基礎的なルールを学ぶことができます。
また日本点字図書館には点字一覧表もアップされていますし、日本点字図書館わくわく用具ショップでは、冊子と点字用紙、小型点字器(プラスチック製)などがセットになった、「点字にチャレンジ!バラエティセット」も販売されています(使い方の動画も公開されています)。

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(画像は日本点字図書館より)

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)

またマンガ冊子には掲載できなかった特殊音や、アルファベットの書きかたから、ホームページやEメールの書きかた、点字で手紙や名刺を書くときの見本までを掲載した実用的な点訳の入門書『点訳のしおり』もあります。

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)

2.ひとりで学べるたのしい点字(全視情協)

全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)の運営するサイト「ひとりで学べるたのしい点字」は、点字を普及させるために開発されたロボットG-10(ジーテン)と小学生のマナブくんと一緒に点字の仕組みから自己紹介の書き方までを楽しく学べます。

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(画像はひとりで学べる楽しい点字より)

またサブテキストとして使用できる書籍『G-10(ジーテン)とマナブくんの点字教室』もあります。

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(画像は全視情協ブックストアより)

3.点字のしくみ(全視情協)

「点字のしくみ」は全国視覚障害者情報提供施設協議会(全視情協)ホームページにある、点字のかんたんな歴史から仕組み、読み方までを学べるページです。

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(画像は見えない人・見えにくい人のための全視情協より)

こちらのサイトで興味を持たれた方向けに、書籍『初めての点訳』が紹介されています。点字についての概要と、点字を使う視覚障害者について理解を深めることを目的としたテキストで、専門学校・大学・短大の福祉コースで行われる点字の授業や、社会福祉協議会などが開催する短期の点訳講習会などに適しているとのことです。

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(画像は全視情協ブックストアより)

4.点字について(桜雲会)

社会福祉法人 桜雲会は東京盲唖学校の同窓会から始まり、点字教科書の出版などをされている団体です。ホームページには、「点字について」「点字図書のできるまで」「小学四年のための点字の話」などのページがあります。

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(画像は桜雲会ホームページより)

5.書籍の紹介

図書館などで探してみてはどうでしょうか。

『もっと知ろう! 点字(社会福祉法人 日本点字図書館 和田勉』

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(画像はポプラ社より)

『しらべよう!りかいしよう!点字の世界①〜③(こどもくらぶ編集部/桜雲会)』

「点字って、なに?」「たのしい点字」「町の点字を調べよう!」の3冊シリーズです。

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(画像は岩崎書店より)

『点字はじめの一歩①〜③(黒崎惠津子/朝倉めぐみ)』

「①点字のれきし〜ルイ・ブライユと石川倉治、そして今」「②読む、書く、きほんの「き」」「③点字とくらす」の3冊シリーズです。

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(画像は汐文社より)

6.点字について紹介するサイト

分かりやすい点字教室(平瀬徹さんのホームページ)

「みずほ流」点訳入門教室(みずほ点訳のホームページ)

『点訳のてびき』第4版改訂のため一時閉鎖中です。


2 点字を書くための道具

1.点字器

点字を手で打つためには専用の道具が必要になります。携帯点字盤(小型点字器)、点字盤、点字タイプライター(パーキンスブレイラー、テラタイプなど)があります。

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)小型点字器

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)点字盤

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(画像はえこちきゅうより)テラタイプ

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)パーキンスブレイラー

この中で点字盤は1万円ほど、点字タイプライターのテラタイプは7万円ほどパーキンスプレイラーは14万円ほどなかなか高価です(日常生活用具になっているので、対象の身体障害者手帳を持っていれば原則一割負担になります。またヤフオクやメルカリなどでもたまに見かけますが)。

まずは携帯点字盤(小型点字器)がオススメです。点筆もセットでついてきて、値段も千円ほどとお手軽です。

本格的に点字を学ぶ方は点字盤や点字タイプライター

2.点筆

点字器で点字を打つためには点筆が必要になります。プラスチック製や木製など、色々な種類があります。

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

3.点字用紙

普通のコピー用紙だと点字を打ってもすぐに消えてしまうので、専用のB 5サイズの点字用紙を使います。厚手と薄手の2種類があります。

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)

またタックペーパーという様々なところに切って貼れる透明のシールも販売されています。

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)

4.点消し棒

打ち間違えた点字の点を消すためのもの、点字版の消しゴムみたいなものです。僕はツメで消しちゃうこともありますが笑

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

それぞれ、日本点字図書館わくわく用具ショップや日本ライトハウス情報文化センターなど視覚障がい関係施設で販売されています。

また点字器と書籍、点字用紙などがセットになったものがあります。

日本点字図書館わくわく用具ショップでは、「点字にチャレンジ!バラエティセット」(小型点字器・点筆・点消棒、点字用紙10枚、名前カード、タックテープ10m巻、点字一覧表、学習冊子「点字にチャレンジ! -マンガでおぼえる点字のしくみ-」、マンガ「本間一夫の生涯 ―見えない人の『読めるしあわせ』を叶えるために」、ロクホシくんいっぴつせん、ロクホシくんはがき(5枚セット))が販売されています。

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(画像は日本点字図書館わくわく用具ショップより)

日本ライトハウス情報文化センターでは、「点訳学習7点セット」(教本『初めての点訳』、携帯型点字器、点筆、点消棒、点字用紙40枚、タックペーパー1枚、点字一覧表)が販売されています。

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

3 点字を本格的に学んでいくために

名前やモノや部屋名などの言葉だけや名刺に点字を打ったりするくらいなら、今まで紹介したもので対応できるかと思います。

ただその先、文書や自作のプリントなどを点訳したいとなると、分かち書きやレイアウトといった点字のルールを学ぶ必要がでてきます。そのようなルールを学んだり、確認するものを紹介していきます。

1.点字のルールを学ぶ

①『日本点字表記法 2018年度版』

点字ルールの基本となる書籍です。内容は解説書といった感じでちょっと硬い感じですが、点字技能試験を目指すなら必読の本です。

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

②『点訳のてびき 第4版』

点字を学びたい人や、点訳ボランティアを志す人たちのためのテキストです。『日本点字表記法2018年度版』に準拠しています。
具体例も多くわかりやすく解説されていますのでおすすめです。

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

③『点訳のてびき 第3版 Q&A』

点訳のてびき 第3版に対応したQ&Aが掲載されていて、気になることや疑問の多くが解決します。

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

2.分かち書きなど語句の書き方を確認する

①『点字表記辞典 第7版』

「日本点字表記法 2018年版」の発行に合わせて、改訂された辞典です。語例が第6版より増え、16,441語収録され、この数年で盛んに用いられているiPhoneやiPS細胞などの言葉も掲載されています。

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

②点訳ナビゲーター 点訳者のための点字表記検索システム

全国視覚障害者情報提供施設協議会の運営する語句を検索して点字表記を確認できるサイトです。関連する語句も表示され、便利です。トップページのURLは<https://ten-navi.naiiv.net/>です。

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(画像は点訳ナビゲーター 点訳者のための点字表記検索システムより)

③点訳フォーラム

点訳に関する資料集や点字・点訳の用語解説、パソコン点訳Q&A、点字表記の語例(検索できる)などが掲載されているサイトです。トップページのURLは<https://tenyaku.jp/>です。

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(画像は点訳フォーラムより)

3.問題を解く

①点訳問題集

「点字問題集1―語の書き表し方・分かち書き」「点訳問題集2―記号類の使い方・書き方の形式」「点訳問題集3ー例文集」の3冊がありますが、絶版になっているそうです…点訳のてびきの内容に合わせて個人でも学習しやすかったのに…残念です。全視情協ホームページの各種資料に、「点訳のてびき第3版指導者ハンドブック」用例・問題集として類似の問題集が掲載されています。

解答(点字データ)は、「サピエ」に登録されています。また

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(画像は全視情協ブックストアより)

②点字技能検定試験の対策 過去問題の正答と解説

点字技能試験の過去問題集です。毎年分販売されています。正答だけでなく関連する内容の解説や抑えておくポイントの紹介なども掲載されています。

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(画像は日本ライトハウス情報文化センターより)

4.習う

①視覚障害者支援総合センター点字通信教育

視覚障害支援総合センターでは、点字通信教育を受講できます。基礎編、応用篇の他、英語や音楽点字のコースもあります。

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(画像は視覚障害支援総合センターより)

②点字図書館や視覚障害者福祉協会などの点訳ボランティア養成講座

各地の点字図書館や視覚障害者福祉協会などで点訳ボランティア養成講座が定期的に開催されていますので、お住まいの地域で探されてみてはどうでしょうか。

まとめ

僕自身もまだまだ点字勉強中の身です。

盲学校勤務なので、全盲の子の授業を受け持つと点字の教科書を使用することも、自作プリントを点訳して配布することもあります。もちろんテストも点字です。

点字の宿題をチェックします(正誤は丸シールを貼って示しています)し、配布文書や通知表なども点訳するなど点字に関わる機会はあります。

また幸いにも校内で点字の学習会が行われていて、そこでも読み、書きや点訳、校正などの練習をしています。

ですが、それがなくなったときにどうやって点字の勉強をしたらいいのかなと考えてこの記事を書いてみました。

もちろん独学ではなく、地域の点訳サークルや施設の点字講習会に参加するのも1つの方法だと思います。点字技能師協会のチャレンジ講習会もあります。

視覚障がいの方が対象になりますが、各都道府県の視覚障害者福祉協会などで、写し書きや聴き書き、速読みなどを競う点字競技会も開催されています。

学べば学ぶほど奥の深い点字の世界へ手を伸ばす方のための何かのお役に立てば幸いです。


表紙の画像は富山市ボランティアセンターホームページより引用しました。