見出し画像

特別支援学校からの発信「ちょっと先を見据えた関わり方」

先日、外部の関係機関の方とお話ししていて話題になったことです。

いつか乳幼児期から児童期の発達についてまとめて紹介したいなぁとも考えているのですが…子どもたちの今の実態だけでなく、次のステップ、発達段階を意識した関わりって大事だなぁという話になりました。

今回はそんな関わり方について紹介します。

言葉かけの例

「タオル かけて」「ファスナー しめて くださいは?」

助詞(いわゆる「てにをは」)の理解が難しい子に対してこんな二語文・三語文で言葉のやり取りをしていませんか?僕は仕事の上でも、子育ての中でも経験があります。

もちろん子どもたちが将来どうなるのか、その子のゴールがどこになるのかはわかりませんが、次の助詞を理解するステップを目指すのならば、「タオル|《・》取ってください」「ハサミ|《・》切ってください」と言ったような助詞を含んだ文章をこちらがあえて伝えていくことも大事なのではないでしょうか?

助詞を含む文章でやり取りすることで(「ファスナーをしめて欲しいんだね?」「(うなずき)」「じゃあ、ファスナーをしめてください」「ください」「オッケー、しめるよ…はい、ファスナーをしめましたよ」)、助詞の使い方を徐々に理解していくのだと思います。

(画像はドクターサーチみやぎより)

スケジュールカードの例

例えば1日の見通しを子どもたちが持てるように写真絵カードで示したスケジュールカード。別の記事でも紹介しています。

文字の認識がまだ難しい子には写真や絵のみのカードを使うことが多いのかもしれませんが、将来いろいろな人が関わる中で活用していくことを想定するなら「学校」「バス」「デイサービス」などの誰が見てもわかるよう文字が掲載されているものの方がいいかもしれません。

(画像はコバリテより)

始まりと終わりが意識できるような個別課題

僕の息子もそうですが、やることはわかっていても途中で気が散って、あるいは別のものに興味が移って課題が途中で終わってしまい、最後まで終わらないということがあります。

そんな子には例えばマッチングやパズルのような最後まで取り組むことで完成した達成感を味わえるような個別課題に取り組んでもいいかもしれません。

今は気分がその瞬間その瞬間で移り変わってしまうかもしれませんが、目的を持って取り組み、完成した達成感を重ねていくことで見通しを持って取り組むようになっていくかもしれません。

そのためには「何をすればいいのか」「どうすれば完成なのか」がわかるような課題が必要です。

個別課題の見本になるような取組み例をいくつか見つけたので掲載しておきます。

(画像はきっずぱれっと西富井より)

(画像は放課後等デイサービス子笑より)

またこのような個別課題に1人で取り組めるようになることは、周りの支援の手を減らしていくフェーディングの視点にも繋がりますね。

まとめ

今回は以前に紹介したトップダウンの視点に繋がる内容でした。

将来のことを考えると学校よりも職員配置の人数は少なくなります。なので、支援の手を減らし、1人でできるよう環境や道具を工夫する関わり方を考えることも、本人が1人で取り組めた経験を重ねることも必要になります。

また職員の入れ替わりもあります。そんな場面を想定すると、多くの人との関わりを経験しておくことも、はじめての人でもわかるような道具にしておくことも大事ですよね。

ただ先のことばかり考えすぎて、その子の現在地の何段も先の遠すぎる課題を提示するのも考えものです。できない課題ばかりに取り組み続けるのは…僕も嫌です。ちょっと先を見据えた関わり=適切な課題を設定するためには、発達の道筋を知り、子どもの実態をきちんと把握しておくことが前提になります。

話をしていて、僕自身も発達の道筋をもう一度学び直したいなと思いました。ちょっと先を見据えた関わり方の紹介でした。



表紙の画像はDomaniより引用しました。