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点字メニューのあるお店 まとめ

点字メニューのあるチェーン店をまとめてみました。が、調べてもコストの関係か点字メニューが無くなってしまった店があったり、点字メニュー実物の写真が少ないことから、この記事に関しては、記者が確認したお店から詳細を追加していきます。

1 ハンバーグレストラン びっくりドンキー

びっくりドンキーの点字メニューは拡大文字も併記のものです。150グラムと300グラムのハンバーグの大きさがわかる点図が付いているのが特徴です。商品名から内容が推測しにくいメニュー(ビバ!ミートスパなどのサイドメニュー、ミックスベリーソフトなどデザート)については、詳細も説明されています。

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(画像は記者撮影より)

写真のメニューは、ポテラサラパケットディッシュのチーズトッピング、美味しゅうございました。うちの娘もびっくりドンキーのハンバーグ大好きです。学生時代は300グラムのご飯大盛りにしていたのはいい思い出。

またびっくりドンキーはノーマライゼーション活動に取り組まれて、点字メニュー以外にも車椅子対応や手話対応、補助犬の受け入れや障がい者雇用(支援学校の実習受け入れや作業学習教材提供、アビリンピック出場支援)などをされています。

点字メニュー設置店舗は、ホームページの店舗検索で確認できます。

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(画像はびっくりドンキーより)

2 サイゼリヤ

サイゼリヤは全店に点字メニューがあり、通常メニュー裏にも明記されています。

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(画像はTwitter@toiletihirouniより)

目次があってわかりやすく、またフォッカチオ(もちもちパン)、辛味チキン(5本入り)、チョリソー(辛味ソーセージ5本入り)、アラビアータ(辛味のあるトマト味)など、一見してわかりにくいメニューの説明や個数なども表記してあります。

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(画像は記者撮影より)

画像は定番のミラノ風ドリアです。学生時代は大変お世話になりました。

2019年12月のメニュー改訂後に訪問した際は、「まだ改訂メニューに対応した点字メニューはなく、旧メニューのままです」と言われました。対応した点字メニューがどうなるのか楽しみです(墨字の新メニュー裏には「全店に点字メニューをご用意しております。」と変わらず明記されていました)。

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(画像は記者撮影より)

3 ミスタードーナツ

ミスタードーナツでは、視覚に障がいのある方にも商品を楽しくお選びいただけるよう、点字メニューを導入しています。
この点字メニューは、「公益財団法人 ダスキン愛の輪基金」と共同制作したもので、取り扱い品目と価格、商品の主な特徴を掲載しています。新商品、セットメニュー、カロリー、アレルギー情報、その他ご不明な点については、ショップのスタッフまでお気軽におたずねください。
ミスタードーナツより引用)

ミスド(この呼び方は関西限定?)こと、ミスタードーナツの点字メニューは、視覚障がいのある研修生が検証に携わったそうです。点字だと文字数が多くなるため、印刷した文字と位置がズレてしまうことが多いのですが、コミュニケーションを図ることに重点を置くことにこだわり位置を合わせているそうです。

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(画像は記者撮影より)

記者はポン・デ・リングよりもフレンチクルーラー派で、一押しはエンゼルフレンチです。

運営会社のダスキンが設立した、ダスキン愛の輪基金では、「ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業」を行い、障がいのある方の海外研修を支援されています。

4 CoCo壱番屋

CoCo壱番屋は全店舗で点字メニューを用意されているようです。点字メニューは表裏1枚のシンプルなもの。期間限定メニューも掲載されていますが、トッピングなどメニューの全ては掲載されていません。詳しくは店舗従業員にお尋ねくださいと掲載されています。

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(画像は記者撮影より)

写真のメニューはチキンにこみカレー。チーズトッピングをしても美味しいです、というかココイチはトッピングが楽しいですよね。学生時代には、ライス1キロにチャレンジしたり、唇を腫らしながら10辛を完食したりと思い出がたくさんです。

5 ロイヤルホスト

目次があり、次いでメニューについての注意書き、ややこしいセット内容の説明、グランドメニュー、ランチメニューと続きます。

ページ数はなんと32ページ!!メニュー名の後に、平日ランチタイム価格、ステーキやハンバーグのグラム数、サラダや味噌汁付きなどの表示があるため分厚くなっているんですね。

グルマンプレート(*ポテトグラタンのココット、ラタトゥイユ、生ハム、サラダなど1つのプレート皿に盛り合わせた料理です)など、想像しにくいメニューの解説やサラダのドレッシング などの説明があるのは親切ですね。

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(画像は記者撮影より)

画像は、昔いた生徒が好きと言っていた、黒×黒ハンバーグのブラウンバターソース。肉汁が溢れてウマウマでした。

6 デニーズ

デニーズさんの点字メニューは、大判で拡大文字になっていて、点字はUV印刷版。表紙にメニューが載っています。用紙が大きいので点字のスペースにも余裕があります。やはりファミレス、メニューの種類(ソースやセット)が多いので、20ページもありました。

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(画像は記者撮影より)

画像はデミ煮込みハンバーグ〜トリュフクリームです。デニーズ初訪問でしたが、カジュアルと高級感の中間っていう雰囲気でした。ハンバーグも美味しくいただきました。

7 キリンシティ

まだ調査できていません。

8 大戸屋

まだ調査できていません。

9 ミライザカ

和民グループの居酒屋ミライザカ。坐和民はほとんど消えてこのお店になってる気がします。

通常メニューが新聞広告風だったので不安でしたが、点字メニューありました。シンプルなデザインで薄手のメニュー。中を見るとなんと飲み物は掲載されておらず、従業員にお尋ねくださいとのこと。うーん、確かに「とりあえず生!」の人は多いかもしれないけれど。

中身もカテゴリとメニュー名と値段のみとシンプルでした。

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(画像は記者撮影より)

画像は突出しと漁師風なめろうと一杯199円のハイボール。ちなみに注文はタッチパネル方式でした。

10 東京ディズニーリゾート

東京ディズニーリゾートの全てのレストランには点字のメニューがあるそうです。また事前に連絡するとパークの触地図を送ってくれます。
地図はエリアごとに分かれていて、そのエリア内のいろいろな施設が掲載されています。

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(画像は記者撮影より)

11 ぎょうざの満洲

ぎょうざの満洲にも点字メニューがあります。実はホームページやネット検索では出てこなかったのですが、日本点字図書館を見学した方のツイートにチラリと出ていたので、点字メニューがあるのではないかと地元のお店を初訪問してみました。

メニューはシンプルなもので、目次がついて検索しやすくなっています。

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(画像は記者撮影より)

美味しかった餃子の写真を撮るのを忘れていたのでネットで拾ったものを笑。僕も食べたダブル餃子定食です。

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(画像は食べログより)

12 味噌煮込みうどんの山本屋

名古屋の老舗、味噌煮込みうどんの山本屋さんが、2021年8月より点字メニューを導入されました。それだけでなく、実際に視覚障がいの方が来店された際の対応についての研修も行われたそうです。

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(画像はfood diversityより)

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(画像はYahoo!ニュースより)

無くなってしまった点字メニュー

ガストでは、以前は点字メニューがあったそうですが、すかいらーくグループになってから、点字メニューがなくなってしまったそうです。

牛角もかつてはあったようですが、訪問したお店にもなく、問い合わせても無いとのことでした。ココスもなくなり、現在は点字メニューを作っていないそうです。

お金も手間もかかるのはそうだと思いますが…無くなってしまうのはちょっと寂しいですね、

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(画像は記者撮影より)

個人店や店舗限定での点字メニュー

盲学校や視覚障害者施設の近くのお店が点字メニューを置いていることはよくあります。

日本点字図書館などのある高田馬場なんかは点字メニューのあるお店も多いんだとか。

後で紹介するボランティアなどの働きで、地域のお店に点字メニューがあったり、博物館など公共の施設の飲食店にも点字メニューが設置されているようです。

なので、例えば「餃子の王将に点字メニューがあった」や「モスバーガーに頼んで点字メニューを設置してもらった」など、Twitterなどの情報をもとに地元のお店に行っても、「点字メニューはありません」と丁重にお断りされることもしばしばです。残念。

しかしそのような地域限定の取り組みが、チェーン店全体へ広がるための大事な一歩なのかもしれませんね。

点字メニュー拡大のための取り組み

点字メニュー設置店の拡大へ向けた取り組みをいくつか紹介させていただきます。

北海道のサンライト・アビリティーでは、点字メニュー表の作成に取り組まれています。

視覚障害がある人に外食を楽しんでもらおうと、札幌市の自営業佐久間信語さんと点字指導員舟崎美奈子さんが、飲食店の点字メニューを作成している。
目が不自由な人は周囲に気を使い、ゆっくり料理を選べないといい、
「何を食べるのか迷うのも外食の醍醐味(だいごみ)」とボランティアで作業を続ける。
佐久間さんは2013年、全盲のバンド仲間の男性と訪れたレストランで、点字メニューを知った。
ハンバーグの大きさを凹凸で表したページもあり、「もうニコニコしながら食事をしてるんですよ」と振り返る。
その後、置いてある店が少ないと分かり、活動に乗り出した。
自らも視覚障害がある舟崎さんは夫の紹介で佐久間さんと知り合い、15年から一緒に取り組み始めた。
(「広まれ、点字メニュー」2018.5.10室蘭民報より)

サンライト・アビリティー以外にも点字メニュー設置に取り組まれているボランティアグループなどもあります。

京都の市民ボランティアグループ・ユニーズ京都では、京都高島屋や大丸京都店、ポルタ、京銘菓、餃子の王将四条大宮店などで点字・拡大文字・音声メニューに取り組まれています。ホームページにはメニュー設置店一覧も掲載されています。

また日本盲人福祉会のお知らせに、福井県の点訳ボランティアグループ「県点訳むつみ会福井支部」が、JR福井駅構内のプリズム福井にあるほぼ全ての飲食店と、焼き鳥チェーン店など福井市中心市街地にある飲食店のメニュー表の点訳に取り組んでいることが紹介されていましたした。

またボランティアさんの取り組みにより、島根県松江市内のモスバーガーには点字メニューが設置されているそうです。

合理的配慮の一環としての自治体による点字メニュー作成補助

障害差別解消法をきっかけに、合理的配慮の一環として兵庫県明石市で点字メニュー作成補助などの取り組みがはじまりました。

障害者差別解消法施行に伴い、兵庫県明石市が同日から全国初の助成制度を始めた。段差を解消する折り畳み式スロープを買う商店などに市が最大で20万円助成する。同法は合理的配慮の提供を民間事業者には努力義務としたが、同市は条例で義務化。費用負担を減らすことで民間事業者の合理的配慮を後押しする。
泉房穂市長は本紙の取材に対し、「助成は障害者だけでなくみんなのためでもある。これまでの当たり前を刷新し、まちの風景を変えたい」と回答。今年6月8日には、手話言語法の制定などを働き掛ける全国市区長会を立ち上げる方針だと語った。
HUFFPOSTより)

この明石市の取り組みが、茨城県つくば市に広がり、さらに兵庫県西宮市香川県高松市東京都世田谷区山口県山口市北海道札幌市兵庫県加古川市埼玉県さいたま市などなど多くの自治体へと広がっています。

点字メニューだけでなく、コミュニケーションボードや車椅子用スロープの設置なども含まれるこれらの取り組み、社会の当たり前が変わるよう、どんどん広がっていってほしいものです。

音声でのメニュー検索

点字メニューだけでなく、音声でメニューを聞けるものもあります。

ユーメニューjpはスマホやパソコンから音声で登録されたお店のメニューを聞けるよう、テキストデータが掲載されているサイトです。

またそのアプリ版の「きけるおしながき ユーメニュー」もあります。

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(画像はAppStoreより)

先に紹介したユニーズ京都さんは点字・拡大文字メニューだけでなく、音声メニューの普及にも活動されています。

それ以外にもいくつか紹介します。

アプリGoogle Mapsの飲食店のメニュー写真を解析して人気の品をハイライト表示したり、文字だけでは分からない料理を翻訳や画像で見せてくれる機能が加わりました。具体的には、店舗情報のメニュー写真で「レンズ」のアイコンを押せば、写真内の文字をタップして追加情報が見られるようになるようです。認識されたメニュー項目をタップすれば、Google検索で料理の概要や、外国語のなら翻訳などが参照できます。

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(画像はengadgetより)

またマクドナルドモスバーガーなどではネット注文ができる飲食店で、ホームページのメニューもVoiceOverに対応しているところが増えているようです。

まとめ

見えている僕たちは、当たり前のようにメニューの写真や文字を見て、どんな食べ物か想像しながら注文します。でも、見えない人は一緒にいる人にメニューを読み上げてもらわないといけない。そのやり取りがコミュニケーションの1つになるということもありますが、1人だけだとそうもいかない。

健常者と言われる障がいのない人たちが自分でできる当たり前が、目えない人も含めた誰もが当たり前にできる世の中を作っていく。大きな話ですが、点字のメニューも、それ以外のきけるおしながき「ユーメニュー」なんかも、そのための一歩なんだと思います。

この記事が点字のメニューを見たり触ったり読んだりして、世界を広げるきっかけのひとつになればいいなぁと思います。

まあある人のツイートを読んで、点字メニューはもちろん、きけるおしながき「ユーメニュー」、ホームページでの点字データの公開とダウンロード対応、音声読み上げなどのアクセシビリティ対応などなど、いろんな選択肢を選べるのが理想かなぁと思います。点訳データだけならチェーン店の場合、コストは下がると思いますし。

もしここに載っていない点字メニューがあるお店を知っている方がいれば、こちらまで教えていただけるとありがたいと思います。

ネットで調べてこないお店の情報も、日本点字図書館さんなんかを訪問すればわかるんじゃないかなぁと思っています。行って聞いてみたいなぁ。

あとせっかく点字メニューがあるのにホームページに掲載していなかったり、視覚障がい者の中で認知されていないのはもったいないなぁと思います。全国の盲学校へ一部配布なんかすると、末長くいいお客さんになってくれたりするんじゃないかなぁと思ったり。また点字メニューの認知度が高まれば、設置を検討するお店も増えるんじゃないでしょうか。

お店に置いてあっても、「点字メニューありませんか?」と訊ねると知らない店員さんが奥に探しに行き、5分後くらいにようやく出てくるということもよくあります。点字を読む人も読めない人も、これを機会に点字メニューを手に取ってみてください。そうすれば認知度がもっと高まるんじゃないでしょうか。

なんにせよ点字メニューがもっと広がればいいなぁと思います。


参考にしたサイト

EYELINK バリアフリーリポート特集点字メニューのある飲食店

社会福祉法人 日本盲人会連合 青年協議会「全国の点字・拡大文字メニュー設置チェーン店」


表紙の画像は富山市ボランティアセンターホームページより引用しました。