見出し画像

視覚障がい者向けの奨学金制度

奨学金制度は多数ありますが、特に視覚障がい学生への奨学金制度をまとめてみました。

1 独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)

画像1

(画像は日本学生支援機構より)

日本学生支援機構の奨学金事業には、障がいのある学生へ、採用時と返還時のそれぞれに配慮事項があります。詳細は日本学生支援機構のホームページから確認してください。

なお、奨学金には返還しないといけない貸与型と返還の義務のない給付型の2つがあります。また貸与型にも無利子の第1種と有利子の第2種があります。それぞれ学力(成績)や家計収入などによる基準があります。

JASSOに限らずどの奨学金でも同じですが、特に給付型(支給型)ではなく貸与型(貸付型)の奨学金を利用する際は将来的に返還しなければならないことを理解しておかないといけません。

採用時の配慮事項

①特別控除
家計基準を判定する際に、年間収入金額から、一定の金額を控除する。*大学院は除く

② 猶予年限特例又は「所得連動返還型無利子奨学金制度」適用者の認定
猶予年限特例又は「所得連動返還型無利子奨学金」制度該当者の判定において、年間収入金額から、障害者1人につき99万円、長期療養者について療養費の年額を控除する。

③ 学力特例
奨学金申込者本人が障害者である場合、第一種奨学金、併用貸与奨学金の学力基準を緩和する。*大学院は除く

④ 家計特例
奨学金申込者本人が障害者か、障害者又は長期療養者のいる世帯に属する者である場合、収入基準額を緩和する。*大学院は除く

⑤ 長期履修制度
肢体不自由者など日々の学修に時間を要する者が、長期履修制度を活用する場合を考慮し、大学等の長期履修課程においては、学則上の修業年限について貸与対象とする。
*第二種奨学金のみ

返還時の配慮事項

① 返還期限猶予
願出により返還期限を猶予することができる。*1年ごとに願出する
*当該事由が継続する期間のみ

② 減額返還
1回当たりの当初割賦金を2分の1または3分の1に減額して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長することができる。
*1回の願出につき12か月までの適用
*適用期間終了前の願出により延長可能で、通算適用期間は最長15年

③ 返還免除
返還者本人が精神又は身体の障害により労働能力を喪失又は労働能力に高度の制限を有すると認められる場合には、願出により返還未済額の全額又は一部を免除することがある。

2 公益財団法人 ダスキン愛の輪基金

画像2

(画像はダスキン愛の輪基金より)

ダスキン愛の輪基金では、地域社会のリーダーとして貢献したいと願う障がいのある若者に、海外での実地研修を支援しています。

障がいのある学生全般が対象です。

視覚障がい学生では、アメリカやイギリス、ドイツ、オーストリア、スウェーデン、コスタリカ、フィリピン、オーストラリアなど幅広い地域で研修が行われた実績があります。

ダスキン愛の輪基金ホームページから申し込むことができます。

画像3

(画像はダスキン愛の輪基金より)

3 一般社団法人 大学女性協会(JAUW)

画像4

(画像は大学女性協会より)

大学女性協会の社会福祉奨学金は、文部科学省の認可する大学の学部あるいは大学院に在籍1年以上の、身体に障がいのある女子学生に、学部生は10万円、大学院生には20万円を支給する(*返還の必要なし)ものです。

募集要項や応募は大学女性協会のホームページから確認してください。

4 公益財団法人 ヤマト福祉財団

画像5

(画像はヤマト福祉財団より)

ヤマト福祉財団は、障がいのある方々の自立と社会参加を支援するため、「経済的自立力」を兼ね備えた新しい福祉を目指して活動しています。

ヤマト福祉財団奨学生の応募には、国内四年制大学に通学または内定していて、学長・学部長または卒業校からの推薦があることが必要になります。月額5万円、年間60万円が支給されます(*返還の必要なし)。

詳細はヤマト福祉財団のホームページから確認してください。

5 社会福祉法人 聖明福祉協会

画像6

(画像は聖明福祉協会より)

聖明・朝日盲大学生奨学金は、大学・短期大学に在籍する、身体障害者手帳(視覚障害)の交付を受けている障害等級1級から4級までの障害学生向けの奨学金です。

視覚障がい学生のみを対象とした奨学金です。

月額4万円を、採用された年度の4月から、在学する大学の修業年限の最終月まで借りることができます。貸付型なので返還の必要がありますが、無利息になっています。

詳細は聖明福祉協会のホームページから確認してください。

6 一般社団法人CWAJ

画像7

(画像はCWAJより)

CWAJは、世界各国の女性たちが集い、教育と文化交流を支援、奨学金の支給や版画展を開催している東京の一般社団法人です。

CWAJ視覚障害学生学奨学金は、身体障害等級表による級別1級から6級までの視覚障害者で国内の4年制大学の学生、または海外の大学等へ進学する学生を対象にした奨学金です。

視覚障がい学生のみを対象とした奨学金で、150万円が支給されます(*返還の必要なし)。

詳細はCWAJのホームページを確認してください。

CWAJ視覚障害学生海外留学奨学金は、身体障害等級表による級別1-6級の視覚障害者で、日本に在住する学生を対象にした奨学金です。応募にはTOEFLまたは IELTSの成績も必要になります。

視覚障がい学生のみを対象とした奨学金で、300万円が支給されます(*返還の必要なし)。

詳細はCWAJのホームページを確認してください。

7 一般財団法人 中島拓奨学基金

画像8

(画像は中島拓奨学基金より)

一般財団法人中島拓奨学基金は、中途視覚障がいの方を対象に、訓練や学業への返済義務の無い奨学金を給付されています。

下記の1.〜4.のいずれかに該当し、視覚障害手帳1〜6級を保持もしくは視覚に障害があることを証明する医師の診断書を提出できる方が対象です。

1.視覚障害者を対象とした職業訓練機関に在籍予定もしくは在籍中の方
2.生活訓練(入所・通所・在宅)を実施している施設に在籍予定もしくは在籍中の方
3.盲学校(視覚特別支援学校)の専攻科に在籍予定もしくは在籍中の方
4.国内の大学の大学生ならびに大学院生、短大生の方

奨学金は年間60万円で返済の義務はありません。
(他の財団・民間団体等の奨学金との併給は認められないようです)。

詳細は一般財団法人中島拓奨学基金のホームページを確認ください。

8 国際視覚障害者援護協会(略称、援護協会/IAVI)

画像9

(画像はIAVIより)

国際視覚障害者援護協会(IAVI)は、人材の育成を通してアジアを始めとした発展途上国の視覚障害者福祉の向上を目指している団体です。

留学生が特別支援学校入学前に日本の言葉や習慣を学ぶ「予備授業」(協会の書類選考などで選ばれた留学生は、半年間、協会で寮生活を送ってもらい、日本語や点字、白杖はくじょうを使った歩行などを特訓する)などの支援をしています。

まとめ

今や大学生の2人に1人は奨学金を利用しているそうです。視覚障がい者の大学進学も増えている現在、視覚障がい学生への奨学金のニーズはますます増えていくのでしょう。

視覚障がい学生を対象にした奨学金は多くありませんし、募集人員も数人程度です。

給付型の奨学金が多いのですが、貸与型を利用する際は将来の返還とそのために必要な収入のことも考えないといけないですよね。

この記事が視覚障がい学生への有意義な情報提供になれば幸いです。

表紙の画像は、奨学金なるほど相談所より引用しました。