エピソード12:中3の春の始業式

今思えばクラス替えで誰と同じクラスになるかなんて大したことじゃないと思うのだけど、あの頃はそれこそがその1年の成否を決める一大事だと信じ切っていた気がする。

ひと学年6クラスのクラス替えなので、誰かと同じクラスになる確率は1/6。当たりを引くにはとても心許ない数字だけど、その難関を乗り越えて自分は彼女と同じクラスになった。

中2の冬の終業式のあとに何かやりとりをすることもないまま過ごした冬休み。彼女とは年賀状のやりとりをしたくらい。
年賀はがきが余っていたので、年明けにおかわりの2枚目を送ったら、その返事が来るくらいのタイミングで3学期が始まった。

お互いの好意を感じつつもお付き合いだとかはとてもとても遠い先にそびえるハードルのように感じていた自分は、逆に意識をし過ぎて彼女にちょっかいを出せなくなり、ほんとに何もないまま数日が過ぎた。

すると、彼女が手紙をくれた。

内容はあんまり覚えてないけど、途中に「付き合ってくれますか? はい いいえ」の項目がある回答式のラブレターだったから手許に残ってないし、内容をあんまり覚えてないのも仕方がないと思う。

そんな勇気ある彼女のおかげで彼氏彼女となった自分と彼女だけど、ではここから一気に進展してデートを重ねたりしたのかというと全くそんなこともなく、学校の外で待ち合わせて何度か一緒に下校したくらい。
半分帰宅部のようなゆるい運動系の部活に所属していた自分に対して、彼女は毎日遅くまでみっちりとやる合唱部だったので、そもそも下校のタイミングが合うことが少なかった。

形としては付き合っているものの、うっすい内容のままに時は過ぎていき、あっという間に季節は流れて迎えた中3の始業式。
冒頭に書いたように1/6の難関を乗り越えて彼女と同じクラスになった自分は、今年こそは何かアクションを起こそうと密かに燃えていたのだった。

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