エピソード13:芝生の上でのんびりと

「ほんとに幸せな時間だねー♪」

新緑が勢い良く芽吹き始める少し前の、朗らかな陽気に包まれた4月の下旬。
キミは公園の芝生の上に敷いたシートの上で転がりながら嬉しそうに笑っている。

ゆっくりと会うのは3ヶ月ぶりくらい?
ひと月からふた月くらい会えなくなる期間が年に何度かあるのと、会えてもちょこっとの時も多いので、キミとこうしてのんびり過ごせるデートは意外と少ない。

この地域ではかなりメジャーな緑地公園で、春先には梅やら桜やらがやたらめったらと咲き誇るのだけど、その頃を過ぎると意外と人出は控えめ。

木陰がある端っこに陣取った我々の近くには誰も居らず、園内の小道を挟んでかなり離れたところからは子供たちが騒ぐ声が聞こえてくる。保育園児たちが遊びにきているのだろう。

冬にチョコをくれる約束を守ってくれたキミは、次におべんとデートの約束も守ってくれた。

「ほんとは腕によりを掛けたかったけど時間が無かったから、常備菜ばっかりの地味なお弁当になっちゃった。」

おべんとの中身はちくわの磯辺焼き、空豆と蓮根のきんぴら、ナスとパプリカのマリネ、牛肉と舞茸の時雨煮、きゅうりの浅漬け、甘めの出汁が利いた厚焼き卵、昆布のおにぎり。

これで手が込んでないというキミ。
本気を出したら果たしてどんなおべんとを作るのだろうか。

ボクは甘いもの担当で、お気に入りのお菓子を用意。セブンイレブンのシュガーバターの木とレーズンサンド。どこぞの名物的な美味しいお菓子のジェネリックを作らせたら、セブンイレブンに勝る者は居ないと常々思っている。

おおもとの方のシュガーバターの木しか知らなかったキミは、こんなに本家と遜色ない味のものがお手軽に買えるなんて、コンビニってスゴい!となっていた。

まるで通販番組のようにいつもしっかりと喜んでくれるキミに色々と教えたくて、日課のコンビニ通いの際の新商品リサーチに一層力が入っているのはここだけの話。

アウトドア好きのキミは、大きくて丈夫なレジャーシートの他にフリスビーみたいな遊ぶものも車に常備していて、それも持ってきてくれたのだけど結局使わなかった。

ただただのんびりして、おしゃべりして、コロコロと転がって、ケラケラと笑って、おべんと食べてお菓子も食べて。

あっという間に3時間ほどのデートが終わってしまった。

ギリギリの時間までのんびりしていたのでテキパキと片付けをして、いそいそと車の方に戻るまでの数分の間、キミの方から手を繋いできてくれた。

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