余談 2022年8月15日


余談①

塞翁が馬、という中国の諺があります。

身に起こった幸運や不運に一喜一憂しなさんな、的な使われ方をする言葉です。

塞というおじいさんが馬を飼っていたのですが、ある日その馬が逃げてしまいます。
おじいさんの家族はその不運を嘆きますが、おじいさんは「そんな事もあるさ」と平気な顔。

数日後、逃げていた馬が、もう一頭の馬を連れて戻ってきました。おじいさんの家族は「なんて幸運なんだ」と喜びますが、おじいさんは「大した事ではないよ」と、また平気な顔をします。

連れて来られた馬はかなりの名馬で、おじいさんの息子はたいそう気に入り、それに乗って野山を駆けていました。ところがある日、息子はその馬から落ちて足を折ってしまいます。
家族は「なんて不運なんだ」と嘆き悲しみますが、おじいさんはまたも平然としています。

そんなとき、隣の国との間に戦が起きました。
おじいさんの住む村にも、戦のための徴兵が義務付けられ、各家家の若い男は皆、戦争に連れて行かれました。しかしおじいさんの息子は足を折っていたため、徴兵を免れることができたのでした、というお話。

似たようなことが、私(メガネをかけた研究家)の身にも起こったという話を、ここで紹介しようと思います。

(この話は、夢見屋鮫太郎という名前のアカウントでも紹介したものです。)

5年程前、私は右手に大怪我を負ってしまいました。
医大に入院し、2度の手術によってなんとか怪我のほうは完治したのですが、その後の後遺症に苦しむ日々が続いていました。

右手の握力が弱くなり、調子が悪い時には、箸やペンを持つこともままならない状態にもなります。

退院してから2年経っても3年経っても、後遺症は良くなりませんでした。

仕事もできず、世間に対して肩身の狭い思いをしながら鬱々とした日々を過ごしていたある日、占い好きな友人から「前世占い」についての話を聞く機会があり、興味を持ちました。
怪我の後遺症に悩んでいた私は、気晴らしになるだろうと思って、自分も前世占いをしてもらうことにしたのです。

それからすぐにネットで調べて、近場の占い館へ行きまして。
そこで、占い師さんから前世についてのいくつかのヒントやキーワードになるものを教えてもらいました。
国や時代、何をした人なのかなどを、ざっくりとだけ。
あとはご自分で調べて下さい、と言わんばかりに。

私は家に帰って、早速占い師さんから言われたキーワードに当てはまるような歴史の出来事を調べ始めました。

キーワードは、

中世ヨーロッパ
オーストリアの近く
民衆が武器を持って戦う戦争
宗教色の強い戦争

ということ。

そして、調べ始めて間もなく、私は見つけるのです。
「フス戦争」というものを。

その時は、まさかこれが自分のライフワークになるものだとは思いもしませんでした。

しかし気づけば、フス戦争について調べ続けてもうすぐ3年にもなります。

怪我をして後遺症に悩み、藁にもすがる思いで占いに走った結果、「フス戦争」というものに出会ったということになります。

そしてこのフス戦争を研究することにより、私の鬱々とした気持ちがいつの間にか晴れていました。
右手は相変わらず箸も持てなくなる日もありますが、そのおかげで、研究の手助けをしてくれる若い人材とも巡り逢うことができました。

まさに塞翁が馬のようです。

ちなみに、私はすでに自分の前世が誰なのか、ほぼ解明できております。もちろん、フス戦争の時代に生きた人物で、歴史書にも名前が出てきます。

フス戦争の研究をしている、と人に言うと、「なんでそんなマイナーなのを研究してるの?」と聞かれることも多いのですが、その理由がまさか「自分の前世を調べたかったから」なんて、あんまり言えないですよね(笑)。

過去を振り返るな、とか、いつまでも過去にとらわれるな、とかの言葉もよく聞きますけど、600年も前の過去の話になると、振り返るにも程がありすぎて逆に楽しいものです。

皆さんも良かったら、過去世の話とかコメントして下さいませ。


今日のお話は、中国の諺から前世の話になった、ということでした。おしまい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?