見出し画像

人生はいつだってマルチタスク|映画「セイント・フランシス」

30代女性の主人公。女性にありがちな苦悩ー結婚、妊娠、仕事、恋愛などなどの問題ーを抱えてもがく、そんな物語、だろうと思って観に行ったら、いい意味で期待を裏切られた。

冒頭は主人公ブリジットの「ありがちな苦悩」から始まるのだが、ブリジットの経験を通して、ここに女性の身体にまつわる様々な困難、そして現代社会に存在するさまざまな課題が散りばめられていることに気づく。

人種差別、Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)、中絶禁止問題、女性蔑視。映画を観終えて正直、2時間に満たない映画のなかでここまで多くの問題をごく自然に取り上げていることに圧倒された。

だけど考えてみたら、これが人生なんだ。

自分ひとりでも日々いくつもの課題に直面するけれど、家族や親しいひとたちにもそれぞれ向き合うべき問題があり、一緒に考えたり、ときに戦ったりしている。
大小さまざまな課題をマルチタスクでこなしながら、何とか生きていく。それが人生なのかもしれない。


主人公ブリジットに感情移入しつつ、少女フランシスに癒され励まされる、わたしにとってはそんな映画でした。
物語の終盤で初めて、この映画のタイトル「セイント・フランシス」の意味に気づかされます。(ちなみに原題も「Saint Frances」)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?