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本当にあったシェアハウス詐欺【ワーホリ】

はじめに

カナダのトロントでワーキングホリデーをしていた時、比較的家探しで苦労した方かもしれません。一番のトラブルが詐欺でした。お金を払う寸前だったので被害額は0でしたが、同じ被害に遭う人が出ないよう出来事をまとめてみます。
(詐欺の手口に焦点を当てるのでシェアハウスの探し方については割愛します。)

シェアハウス詐欺とは

簡単に言うと、存在しないお部屋の入居者を募集し、お金を先払いさせます。留学生はターゲットになりやすいようです。なぜ、そんなのに引っかかるのか。自分でも思いますね。私の場合、早く次を見つけなければという焦り、そして知識のなさと「この部屋がもし本当に存在するなら逃したくないという気持ち」につけ込まれたと思います。

詐欺の見分け方

事前に内見できない場合は詐欺だと思ってください。以上です。
どんな事情を述べられようと内見が絶対条件です。(現在の入居者が住んでいる状態でも内見します。)そして鍵をもらって最後の最後にお金を払うことです。

詐欺の経緯(私の場合)

長くなりますが、何があったかを順番に書いていきます。相手の原文はすごく長いので訳して略します。

お部屋が全然見つからない

ホームステイの終了日が決まっていたので、その日までに次の部屋を見つけなければなかったのですが、案の定難航し、日本人向けのサイトと現地サイトの両方に張り付く状態でした。新規掲載に問い合わせをしても返事など来ない、なのに同じ部屋が何度も再掲載され(あるあるかも)嫌になりそうでした。聞いたところ、基本的に入居者募集の掲載をすると対応しきれないほど問い合わせが殺到し、一番最初の問い合わせに対しお話を進め、そのほかは返信もできないとか。早いもん勝ちのリアルスピード勝負ですね。
そんな時、現地サイトを見ていて3分前に掲載された綺麗なお部屋がありました。とりあえず値段と場所だけ確認し、どうせダメだろうけど、と作業のように問い合わせをしました。

返事が来ました。

やり取り①

問い合わせありがとうございます。返信をいただき次第、さらに何枚か部屋の写真を送りますね。

半ばパニックです。勝負に勝ったのだと。とはいえまだスピード勝負が続いているかもしれないので(他にもやりとりしている人がいるかもしれないので)すぐに「内見させていただけますか?」と返信しました。
改めてサイトに掲載されたお部屋の条件を読むと、他にないぐらい好条件で、値段は希望より高めでしたが条件に対しては安すぎるくらいでした。ここで不審に思いましたが、以降不審な点しかありません。笑

またすぐに返信が来まして、長文と素敵な写真が添付されていました。

やり取り②

契約にあたって合意書を作成するので以下の項目を埋めてください。私の弁護士が書面を作成します。(入居日、現在の住所など)

実を言うと、現在仕事でニューヨークにおり今後5年間の滞在が決まっています。家賃収入を増やすというより、お部屋の管理をしっかりしてくれる方に貸し出したいのです。鍵の引き渡し方法を打ち合わせしたいので、なるべく早くお返事をください。

実際のメールの文章(書き出し部分を抜粋)

長ーいメールが届き、条件から何からツッコミどころは多かったのですが、好条件の部屋を安く貸し出す事情が少し書いてありました。実際はもっと細かく(そんな情報いらんわ、という内容ばかり)色々丁寧に書いてありました。
ちなみに素敵な写真はこちら。モデルルームにでも住んでいるのかと。

住所も書いてあり、調べてみると実在するマンションではありました。

もう色々と怪しすぎるので書面とやらは埋めずに、「NYにいらっしゃるということは内見できないってことですか?」と確認しました。一応「お部屋を綺麗に管理する自信はありますのでぜひお話を進めたいです。」と前向きな言葉も添えて。

やり取り③

>内見できないってことですか?
はい。

ご丁寧に(?)インラインで返答が来ました。
それと初月の家賃の他に費用はかからないこと、早く書面を埋めて返信してほしいことが書いてありました。
私もそこまで馬鹿ではないので、お部屋を借りるにあたってこの流れが普通ではないことはわかっていました。あとは詐欺である確証が欲しい一心でした。今思えば確証なんていらないし、もう返信しなければいいのですが、もしこれが本当の話だったらこの部屋に住みたいと思ってしまう気持ちが消えなかったんです。

肝心なお金(支払い)の話をしてこないので、また書面は埋めずに「支払い方法はどうなりますか?」と聞きました。ついでに身分証明書を見せてほしいとリクエストしました。

やり取り④

最初の返信をもらって以来、シェアハウス詐欺についてたくさん検索しました。こういった詐欺があることは元々知っていましたし、どのケースにも手口として『海外送金を指定される』と書いてありました。それもあって支払い方法を聞いたのですが、答えは異なりました。

e-Transferで送金してください。まずは、書面を埋めて返信していただき、あなたの身分証明書を添付していただければ私の身分証明書もお見せします。

どこからどう見ても詐欺なので、もう迷う必要はなかったのですが指定の支払い方法が『海外送金ではない』ことに動揺し、諦めきれませんでした。e-Transferとは、お互いのメールアドレスを知っているだけで送金ができるインターネットバンキングのシステムです。友達と割り勘の時とかによく使っていました。(Paypayみたいな感じです。)
つまり、犯人は銀行にこのメールアドレスを登録しているということになります。口座とメールアドレスが紐づいているので、銀行側はメールアドレスから口座の持ち主を特定できる状態?ということです。詐欺ってもっと手が込んでいると思っていたので驚きました。詐欺用に口座開設しているとしたら手が込んでいることは間違いないですが。

詐欺の確証を得た瞬間

信じたい気持ちが捨てきれず、不意に犯人のメールアドレスを検索してみました。
詐欺被害の書き込みがありました。

やっぱり。。。と思う気持ちがありながら、なぜかショックでした。少しでも信じたかった自分が情けない。最初からメールアドレスを検索しなかったのは、先にも書いたように詐欺は手が込んでいると思っていたので、メールアドレスは詐欺ごとに変えていると思い込んでいたからです。

「どう思いますか?」と被害の書き込みがあったページのリンクを犯人に送ってみました。返信はそこで途絶えました。

不審な点のおさらい

  • 物件情報(家賃が安い/写真が綺麗すぎる/内見できない)

  • やり取りが長い(通常は、問い合わせ→内見の日程決め→内見の場で「住みたい!」「いいよ!」→支払と鍵受け取りというシンプルな流れです。書面とかありませんし、オーナーさんがそこまで労力をかけるメリットがないです。)

  • サイトの掲載の削除(入居者募集サイトにオーナーが投稿したあと、入居者が決まっても投稿は放置されるのが普通です。掲載をクローズするシステム等はありません。それにも関わらず、私とやりとりを始めてすぐにわざわざ掲載が削除されました。)

  • 部屋を貸す理由(仕事でカナダからアメリカに赴任するなら就労ビザが必要で、普通すぐに用意できるものではありません。赴任が決まってから行くまでに十分な期間があったはずなので、ネットで急遽入居者を募る理由が無いです。「5年滞在」とのことでしたがその間一切帰省しないつもりなのか?それなら部屋を売ったほうがいいはずです。当時物価が上がっていましたので十分高く売れたはず、という背景もあります。全てが不審なのですが、当時の私にそんな知識はありませんでした。)

  • 犯人の文章(文中の「I」が小文字「i」になっていたり、「Regards」の後ろに「,」がなかったり、文章も今思えば少し変でした。当時の私にその辺の感覚は分かりませんでした。)

  • 犯人のお名前(同姓同名が死ぬほどいそうな【Josh Taylor】さんでした。書いちゃう。もちろん最初にGoogleでもFacebookでも検索しましたが多すぎて確認になりませんでした。いい名前ですね。)

  • 弁護士の存在(書面に記載する情報を求められましたが、そもそもお抱えの弁護士がいるなら私とのやり取りも委託すればいいのに。笑)

最後に

被害に遭わないために

とにかく「内見をしてオーナーに会ってからお金を払う」ということだけです。
内見できない=詐欺
会ったことのない人に支払い=詐欺

と思ってOKです。(もしかしたらオンライン内見詐欺とかあるかもしれませんが。)手口は広がっていくと思うので、少しでも怪しいと思ったらその勘は無視しないでください。

お金を払ってしまったら

返還は不可能です。この詐欺は、スキミング等と違って盗まれる訳ではなく、あくまで自らの意思でお金を渡しているので補償も何もありません。
オンライン送金の際にパスワードを設定することができ、受け取る側がそのパスワードを入力するとお金を受け取れる仕組みがあるのですが、「送金して鍵を受け取った後にパスワードを教えてくれればOK(=パスワードを教えなければお金は動かない)」と誘導するパターンもあるようですが、実際にはパスワード関係なく送金されてしまいます。詳しくはわかりませんが、「パスワードなしで自動で送金を受け取る」設定がありますので、似たような設定でしょう。気をつけてください。

詐欺の後どうしたか(余談)

結局ネットでのお部屋探しはうまくいかず、ホームステイ終了日までに次が見つからなかったのでAirb●bでお部屋を予約しました。偶然、ルームメイトが帰国する予定がある友人がおり、その後入居させてもらうことになりました。感謝しきれないです。(実はその数ヶ月後に物件の売却が決まったとオーナーに告げられまた引っ越しを余儀なくされ、次のお部屋も見つからずまたAirb●bで繋ぎ、友人宅に数日居候したり、荷物だけ置かせてもらったりと友人にはとことん恵まれましたが、お部屋については割と運がなかった方です。)

お部屋探しは、これから始まる楽しい海外生活の序盤の出来事になりうると思うので、いきなり悲しい出来事に出くわす人が一人でも減りますように。

アメリカのスポーツリーグが好きすぎてワーキングホリデーで留学。(2019年秋に帰国) 英語を学び、スポーツ観戦に明け暮れ、そんな経験をシェアしていきます。 英語学習についてと野球観戦記を中心に更新しています。