感動した話1

はつゆき

普段はどうでもいいとか、鬱陶しいとか、遠い親にわざわざこんな話をするのも面倒だと思うのをわざとやめてみた。写真を撮って、「これだけ積もったよ」と、「昨日は連絡ありがとう」と一言繋がってみよう。
そう決めた途端、「あれ、最近ニヤニヤしてる人街にいるな」とか、「怒りん坊のあの先輩、なんであんなにニヤニヤしてるんだろ、幸せなのかな」と変化に気付いた。「絶縁してしまった彼、なんだかんだ隣に座れるしお話もできるなあ」と気付いた。1人の祈りが本当に世界に広がっている。私は奇跡を抱えている。
見た目が変わって褒められた!凄い。たった一晩で見違える可愛さになった。凄い。

目の前にびゅうびゅうふく雪と、縮こまって首を隠す人たちと、私の水玉になったコート。コンビニからは肉まんの湯気と、お兄さんのタバコの煙。「これからどうしよう」とぼーっと降り積もる雪を見ていた。こんなに降るとは、地球もびっくりだろう。子供達はわーいわーいと口を開ける。あかいほほ、かじかむ指、血色あるしたべらに雪が溶けていく。「ママ!あの車見て!かっこいい!」と女の子がいう。「どうして?雪だから?」とママが言う。女の子が「そう!」って言う。黒い車、オレンジのランプ、走るたびに避けて線路を作る雪。平なところと凸凹なところが出来ていく。なるほど、本当に綺麗だ。今日のスープを飲む瞬間も、痛いか分かんないって霜焼けで痒くなった足を溶かすのも、一段と素晴らしい時間になるだろう。
人が歩くところは凸凹になって、誰も歩いてない、猫も犬もいないところは静かに平らに積もっている。
雪はみんなで「私はこっちだから」「じゃあ僕はあっち」って話し合って降り積もるのだろうか。
みんながバラバラに好きに積もって、なだらかに白いベットになるのだろうか。
今日はきれいだ。とても感動した。

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