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他人にとても無関心だった発達障害の弟が2歳の甥っ子にいなりずしをあげて涙が止まらない!

発達障害の弟がいる。

障害と言っても軽いレベルであり、
まだ発達障害に対する定義があいまいだったころ、
普通の生徒として弟は扱われていた

弟の特徴として、僕らがいろいろ尋ねても「うーん」

うーんと言いながら何も答えを言わない。
この傾向は今もあるが、昔に比べて良くなっている。

良くなっているとは、ちゃんと受けごたえできる。

弟のエピソードとして、僕が弟に初めて仕事を教えたとき、
弟にまず日記を書いてもらった。

弟はゲーム動画をよく見る。
だからゲーム動画を見て「この動画が面白かった」
という部分を上げて、適当でいいから書いてほしいと。

800字くらいは行くだろうと思っていた。

甘かった。

2時間経過しても、弟は一つの文章すら書けなかった。
800字くらいの日記など、当たり前に書く僕としてはびっくりだ。

そこで僕は指定した動画を一つ用意し、
「これで思ったことを自由に書いてくれ」と頼んだ。

1時間後、何も書いていなかった。
さすがに僕が怒ったら、弟は「うーん……」

頭を、体をぽりぽりかき、時に立ち上がり、
ものすごくまじめで困った顔をして、パソコンとにらめっこしていた。

「マリオすごい」くらいでいいから書いてといっても、
弟はマリオすごいも自分で記述できなかった。

もちろん、弟はパソコンをやっているし、タイピングもできている。
それでも「自分の意見」を述べるという作業すらできなかった。

あなたの身近に障害者がいるなら、僕の話は信じられるだろう。

いない場合は「また冗談を、障碍者をバカにしてんのか」と、
僕に突っ込んできそうだけど、本当の話だからね。

弟は結局一文すら書けないまま、いつも寝る時間の3時間前に眠りについた。さすがに僕らはびっくりした。母はただただ笑ってた。

それから数年。今や弟も普通に日記をかける。
仕事場であった出来事もスラスラ記述できる。

弟は現在、発達障碍者などが働く施設にて、
一応社員として毎週月から金まで勤務
している。

弟と同じような障害を持つ青年数人をはじめ、
優しい職員、そして昼ご飯を創ってくれるおばちゃんたち……

僕も弟に仕事を提供している。
僕があれこれ伝え、時に叱ったけど意味はなかった。

むしろ叱っても全く意味がないという事実を教えられた。

弟は必死なのだ。必死に物事を吸収しようとしているが、
脳内にある神経のつながりに何らかの異常があって、
うまく要素がつながらない

僕がまず率先してあれこれ行い、
弟にきちんと見せてから、弟にやらせる。

もちろん弟だって戸惑う。
そこで僕はさらに率先してあれこれ行い、
弟は何とかできるようになる。

弟がスラスラできるようになれば、
後は僕がちょっと簡単な頼みを送るだけで、
7割はきちんとやってくれる。

残り3割は僕が仕上げねばならぬ。
7割だけでも労力が減るだけで、とってもありがたい。

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さて、姉貴に子供が生まれ、僕の家で家族一同そろって食べた。

甥っ子は2歳になり、いたずらもして色々怒られる一方、
姉の育て方がよかったおかげで、すごく愛ある子に育っている

甥っ子のお気に入りは「はたらくくるま」だ。
最近リズムをとって歌うようになり、僕も一緒に歌っているw

今日のご飯はいなり。弟の前にいなりが置かれた。
甥っ子は弟に何かしらの親近感を抱くのか、弟になついている。

弟は口下手ながらも「うん、ほら、いいよ」と受けごたえをしている。

弟は昔なら僕の子にも姉の一番目の子にも、
「自分が第一、自分最大関心主義」であり、
あまり子供に接しようとしなかった。

子がいなりをとろうとしたら「うう(怒)」とやらなかった。子に対し烈火のごとく怒った出来事もある。

しかし今日、僕はびっくりした。

弟が「いなり、どうぞ」といって自らいなりをあげたのだ!

今まで取らなかった弟の愛ある行動に一家は感心した。
いや、びっくりしたし笑い(驚いて)もした。

そして僕を含め「弟は順調に変わっている」と結論付けた。

昔なら「やらなかったこと」を、
職場との付き合いや僕の仕事手伝いなど色々な理由が絡み合い、
「これあげる」という行動を行った。

大人になったら小さな子に自分の食べ物の一部をやるのが、
当たり前と思っているかもしれない。

しかし違う。絶対にやらない人だっている。


◇人が変わるには伏線がある

僕は作品を書いている。
だからこそ、作品の視点から思ってしまう。

弟は今日、いきなり甥っ子にいなりを上げたのか?

今まで僕の子を含め、いなりをとろうとしたら、

「うう!」怒る弟が、いきなりいなりをあげるのだろうか。

もしかしたらあがるかもしれない。一度なら。
しかし継続してあげるかと言ったら違う。

やっぱり「積み重ね」だ。

僕が弟に依頼した仕事、日記の記述が一つ。

弟と似た境遇の人たちと働き、他人と会話を通して、
「いろんな立場」を学んだのが二つ。

僕が弟に教育させたこととして、質疑応答がある。
仕事中ゲームの話だろう何だろうと、
あれこれ僕が質問を思い浮かべ、弟に答えさせる。

コミュニケーションの基本は質疑応答だ。

色々こっちから尋ね、弟が答えていく。
「うーん」な時もあるけど、訓練は積み重なるもので、
だんだん普通に受けごたえできるようになった。

最近は弟のほうから話題を振りかけるようになってきた。

積み重ねの成果が「いきなり」やってきた。

今までの弟なら取らないであろう行動を、
一家そろって「まさか」という時に現れた

今日の感動は僕にとってもびっくりだし、
ビジネスやクリエイター目線で見たら、

「伏線はこういう形で回収されるのか」

ちょっとした分析にもなった。

あなたも今、何かしらの積み重ねをしている。

いつあなたの伏線が回収されるかわからないが、

「え、そんなときに?」という状態で一気に回収されるだろう。

ともに伏線をきちんと積み重ねていこう。

支援していただきありがとうございます。支援は僕の作品作りを含め、子供へのお小遣いや楽しいことに貢献します。ありがとうございます