病に倒れた先生が教えてくれた「今を精一杯生きることの大切さ」

ごきげんよう。

皆さんは、この記事をご存知でしょうか?

福島県立福島東高校の、日高郁子先生のお話。

癌に侵されながらも教壇に立ち続け、生徒たちと向き合い続けた先生です。実は、自分が癌であるということは、ごく一部の同僚の先生にしか伝えていなかったそうです。生徒たちには知られまいと気丈に振る舞い、最後の最後まで先生であり続けたのです。

卒業式当日は今まで以上に体調が悪かったそうで、壁伝いでないと歩くのも難しい状態。ですが、卒業式本番を迎えると、嘘のように状況が一変します。教え子を目の当たりにすると気力が身体中からみなぎり、しっかりとした足取りで先導したと言います。椅子に座りながらではありましたが、生徒一人一人の名前を読み上げ、無事に卒業式を終えることができたのでした。

教員としての高い意識や矜持、誇りを抱いて、全身全霊の力を振り絞って式に臨まれていたのだと思うと鳥肌が立ちます。式後の様子が記事に載っているので、引用します。

『式後は保健室で体を休めた。教室に戻るのは難しいため、最後のホームルームは保健室で開いた。そこで初めて、がんを患っていると告げた。皆が言葉を失い、涙する生徒もいた。生徒が下校後、体調が悪化して吐血し、救急車で福島市の病院に運ばれた。翌日午後、安らかに眠りに就いた。』(福島民報記事より)

これを読んで、神様が先生のためにと力を貸してくれたとしか思えませんでした。日高先生自身も「絶対に卒業証書を手渡す」と強く心に決めておられたそうなので、その意思に神様が応えてくれたのだと思います。この卒業式が、生徒たちの前で先生が見せた、渾身の「最後の授業」と言ってもいいでしょう。

私自身の経験ですが、高校三年生の時にクラスメートが不慮の事故で亡くなりました。知った時は悔しくて涙が止まりませんでしたが、そんな時に担任の先生からかけてもらった言葉が今も残っています。「○○さん(亡くなったクラスメートの名前)のためにも、これからの人生を精一杯生きることが恩返しになるんですよ」と言われ、ハッとしました。過去を振り返らず、前を向いて走り続けることこそが、その子にとっての一番の供養になるのだと感じました。

今こうして、何事もなく日々を過ごせていることが当たり前なのではなく、ありがたいことなのだと思います。竹内まりやさんの歌「いのちの歌」の歌詞のワンフレーズに、こんな一節があります。

生まれてきたこと 育ててもらえたこと

出会ったこと 笑ったこと

そのすべてにありがとう

この命にありがとう

生きていること、生かされていることはありがたいことなのです。こうして何気ない日常生活を過ごす中で、どこか忘れてしまいがちです。命の尊さ、今を精一杯生きることの大切さを教えて下さった日高先生に尊敬の念を込めて。







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