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一年のはじめに

初詣の帰り道に寄ったスーパーの休憩コーナーでストゼロ片手に項垂れていたおじさんの姿が頭から離れない。

今年の初詣は1人で、40分ほど歩いた先の神社に行った。
屋台は4つほどで、地元の方が集まっていてこじんまりとした雰囲気だった。
御家族連れの方がほとんどで、熱心にお祈りするおばあちゃんから、こどもにおみくじの意味を教えるお母さんまでいる温かな空気感。
覚悟はしていたが独りな自分と比較し少し寂しくなった。

まるで別の場所に家族が待っているかのような顔をして私もおみくじを引いた。
今年は「末吉」…なんとも言えない。

「今までの苦しみ煩いもいつか消え心楽しい時が遠からず来ます 唯御助を祈って心平かに授けられた自己の職務を熱心につくしなさい」

おみくじには、そう書いてあった。
年末に体調を崩してから気持ちが沈みっぱなしだったが、今のわたしにできることをしていこうと顔を上げさせてくれる言葉に出会えた。
身体健固の御守りを買って神社を出た。

せっかくお外に出たしと思い、近くのコメダ珈琲店に寄ろうと思ったら満席だったのでピーク時間を過ぎるまで近くのスーパーを見ていた。
そこで冒頭に書いたおじさんを見た。

神社はあんなに幸せそうな人で溢れていたが、彼は1人だった。上下セットの青ジャージは新品に見えた。

当たり前だが、同じ世界に、全く違う表情をした人が生きていることを目の当たりにした。

年末年始、1人でバイトばかりな日々に他人を羨んでばかりだった私とって彼はただ衝撃だった。

きっと普段は気づかないだけで、世界はいつもこうなんだろうと思う。

私自身も、持っているものがあれば持っていないものもあって、新しく出会うものもあれば失っていったものもあって。
普段その一つ一つに一喜一憂してしまうが、過度に落ち込む必要はない、今の自分にできることを積み上げていきたいと感じさせられた。

777文字!

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