2022年7月に読んだ本
『東京四次元紀行』 小田嶋隆著
6月に亡くなったコラムニストの小田嶋さんが初めて書いた小説で、これが最後の作品だと思われます。コラムはいつも秀逸で、では小説はどんな感じなんだろうと楽しみにしていたところ、あまりにもおもしろくてビックリしました。あれだけの文章を書く人だからビックリなんて失礼なんだけど、本当におもしろい内容です。2022年5月に書かれたあとがきに
とありました。もっと早い時期に…というのが小田嶋さんの素直な思いとして伝わってきて、とてもとても切なくなりました。コラムも小説もそれ以外の活動も、まだまだ続けたかったんだろうなあと。
小田嶋さんの文章と出会ったのは13年くらい前になるかと思います。ものの見方が独特で、ふざけた姿勢で見ているようにも見えて実はとても真っ直ぐ見ていたり、対象を茶化しているようで実はとてもとても深い敬意が感じられたりと、この人から学ぶことは多すぎるといつも感じていた人でした。亡くなられた後、毎週のコラムや本をもう読むことができないのか、Twitterでの小田嶋さんならではのやりとりを見ることができないのか、そんなことを思うととても悲しくなりました。出会って以降、勝手に自分自身の思考を見直す際の指標にしていた方でもあったので、自分でもびっくりするくらいの喪失感がありました。
小田嶋さんの親友であった岡康道さんが亡くなったときの小田嶋さんの落胆した様子も、ラジオ等で話されているのを聞いただけですが、なぜかよく覚えています。その思いが亡くなられる前の行動につながっていたと知りました。
そんなことも思い出したので小田嶋さんと岡さんの対談を聞き直しています。やっぱりおもしろい。だからこそすごい方が亡くなられたのは本当に残念です。そういえば小田嶋さんが出演されたイベントには2回参加しました。結構無理して参加したんですが、無理してでも行っておいてよかったです。小田嶋さんの言葉を直接聞くことができたのはいい思い出です。
『歴史思考』 深井龍之介著
メタ認知を高めるきっかけを提供することを目指している株式会社COTENの深井さん。というよりCOTEN RADIOの深井さんといった方がしっくりきます。COTEN RADIOを聞き始め、歴史はこんな風に活用できるのかと知らされ、その取り組みをしているのが株式会社COTENだと知ったという順番です。島根県出雲市出身ということもあり、そこで勝手に感じた親近感がCOTENへの強い関心につながっていきました。
歴史を学ぶことでメタ認知が高まり、そのことで今の自分を取り巻く価値観が唯一絶対のものだと思い込まず、他の価値観も認められるようになるというのが深井さんの主張で、この本を読んでいてもCOTEN RADIOを聞いていても、その意味はよく理解できます。本で取り上げられている歴史上の人物の話は若い人が読むと自分に自信を持てる人も出てくるだろうし、そのような歴史の活用法が広まってくるとおもしろいと思います。
その取り組みはまだ始まったばかりでまだまだこれからでしょうが、このような新しい動きは自分自身も楽しませてもらいながら応援していくつもりです。
『「自己肯定感」育成入門』 平岩国泰著
放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩さんの講演を聞く機会があり、とてもおもしろい方だったので、本も読んでみることにしました。
講演では自身が放課後NPOアフタースクールを運営している背景について、かなり詳しく説明をされていたので、この自己肯定感についても詳細な説明付きの話だろうと勝手に考えていましたが、実践のためのアドバイスが非常にわかりやすく具体的に書かれていて、なるほどこう表現すると伝わりやすくなるのか!と勉強になりました。
この本を読むと子どものことで悩んでいたことがすっきり人は多いはずです。「このように考えてみてはどうでしょうか」がとにかくわかりやすいです。目次の中のどれか1つでも興味を持ったなら、この本を読む価値は十分にあります。
『看護師僧侶の妙憂さん!「いい死に方」ってなんですか?』 玉置妙憂著
死が人生で経験する他のことと決定的に違うのが、「誰かに経験談を聞けない」「やり直しがきかない」「自由に時期を選べない」ことだと書いてありました。だから死を漠然と怖いと感じるんだと。でも、だからといって死の"わからなさ"を不安に感じすぎることはないとも。こういう言葉を発信してくれる人が周りにたくさんいると安心できる人は多いでしょう。
こんなことも書かれていました。
やってみないとわからないことの代表例でもあると思うけど、コントロールというよりブロックが確かに近いだろうなと。そうしなければ対応できないんだろうし、そのことを周囲の人が知った上で介護や医療に従事している人に接することも必要だと思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?