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【備忘録】透明性が高い情報機関から金正恩さんにメッセージ「やるなよやるなよ~」

 「情報機関」というとじとっと後ろぐらーい秘密のかたまりといったイメージがありまして、ちょっと夢見がちな男子のワクワク感を伴った想像力を刺激するんですが、大露西亜会の悪行暴露をはじめ近頃は「透明性」に大層気を使っているようです。情報機関とトランスペアレンシー、意外な単語の組み合わせですが、別に納税者の批判に応えようというわけではありません。

 こんなことを思ったのは、ウクライナ戦争に先立つ米情報機関の情報公開出血大サービス(ロシア軍がこんなにウクライナ国境にたまってますね危険ですね、侵攻するならシナリオは恐らくこうですよ大変ですよ)に加え、われわれにとって身近な白頭山王統会の動向も同じ伝で公開されちゃったからです。それがこちら↓

 【要約】カービー国防総省報道官の声明
 北朝鮮は2月26日と3月4日(米東部時間)に弾道ミサイルの発射試験を実施した。米政府は分析の結果、一連の発射について、2020年10月10日の朝鮮労働党の軍事パレードで公開された開発中の大陸間弾道ミサイル(ICBM)システムを用いた(involve)ものだったと結論した。試験はICBMの飛行距離に達しておらず、その目的は、将来の宇宙衛星打ち上げを装ったフル射程試験に先立つ新システムの性能評価だった可能性が高い。米政府としては、国際社会が一致してこれ以上の北朝鮮によるこのような兵器の開発・拡散に反対する声を上げなければならないと信じていることから、情報を一般に公開し、同盟各国とも共有する。

 ちょっと付け足しますと、声明にある通り、北朝鮮が行った弾道ミサイル実験は、2月のは最高高度約600キロ・飛行距離約300キロ、3月のは最高高度約550キロ・飛行距離約300キロで、数値だけでは射程5500キロ以上のICBMだと考えられていませんでした。米政府やそれと連携した日韓両政府の発表がなければ、ICBMだとは分からなかったわけです。

 少し前なら、カービーお父さん(ちなみに息子さんも米軍人で、艦船用の原子炉の専門家だったような)がこんなプレスリリースを出す代わりに、ワシントン・ポストとかウォール・ストリート・ジャーナルとかCNNとか(あと朝日新聞の牧野愛博大先生とか)、どっかのメディアが「国防当局者が明らかにしたところによると、北朝鮮が2月と3月に実施したミサイル試験が実はICBM実験だったことが分かったうんぬん」と報じて、世間の皆さんが「はえ~そうなんだ~」と何となく了解する、というパターンが一般的でした。

 それが今回は堂々とプレスリリースです。ウクライナでのロシアの悪らつな企てを本来なら機密だったはずの情報を基に先手先手で暴き、その結果ロシア側の選択肢を狭めることに成功した、と評価してるんでしょうかね。この積極情報公開戦術を白頭山王統会にも適用し、「やるなよやるなよ~」と国際社会のけん制圧力を高めると同時に、もし実際にICBMがフルレンジで発射された場合の衝撃をあらかじめ軽減しておく、ということなんでしょう。

 こういうのを何て言ったらいいのか。軍事・安全保障のプロの方々の解説記事を惜しみもなく掲載している米サイト「War on the Rocks」で、「積極的prebuttal戦略」(prebuttalは「予想[事前]反撃。特に政治で,相手の攻撃を予想してその反撃を用意しておくこと」という意味だそうなby goo辞書)と呼んでいる記事を目にしましたが、専門用語としてもっとちゃんとした名前が付いてるんだろーか。


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