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If you are…#2 Workbook(外垣秋)

画像:彩雅介様より(https://www.pinterest.jp/pin/559009372482618807/)

正直、入学式については好きになれない。学校なんてのは勉強だけやってればいいしそういう学校に入学したつもりでいる。個人的にはそんな形だけのお祝いなんてあっても時間の無駄なのだ。さっさと終わらせて教科書群を買いたい。どうせ大荷物なのは分かっているのでボストンバッグもすでに用意してしまった。

さて、自分のクラスである1−1の教室に案内されたわけであって、担任が帰ってくるまで時間がありそうなので私は自前のワークを開いた。

「それ、説明めんどいからやめた方がいいと思うよ。」

横からそんな声が聞こえたものだから左を見ると、なにやら見覚えがあった…あ、入学式で祝辞みたいの読んでたわ。

もうみんな聞き飽きているであろう言葉のはずなのに女子はみんな真剣に聞いている。それは彼が洗練された容姿だからであろう。しかし、彼の声に覇気というものは全く感じず『早く帰りたい』と聴こえてきそうである━それが私の覚えている範囲である。

それを行ったということはさしずめ学年主席ってところであろう。私は素直に感謝を述べることにした。

「ありがとう。」

「てか書店で試し読みとかしなかったの?それで買っちゃうとか時間と金の無駄じゃん。」

私はその言葉にカチンときてシャーペンを眼球、或いは彼が今飲んでいるプラスチック製の水筒に刺してやろうかと思った。見た目や能力と性格は別問題なことが多いけど、こいつについてはその典型例って言っても差し支えない気がする。

その怨みが叶ったのかはわからないけど、彼の机に誰かがぶつかった衝撃で開けっ放しだった水筒が倒れた…あろうことかワークに。その中身が水だったら良かったのだけど、残念ながら嘔吐物のような見た目をしている。

その状態だというのに彼は「あっ」とだけ呟き水筒を戻しては何事もなかったかのように振る舞った。私はそれに腹を立ててしまった。

「謝るくらいしろや!」

「いいでしょ。どうせそのワーク買い換えるんでしょ?」

「その言い方はないでしょ!というかそれ何⁈めっちゃ嘔吐物なんだけど!」

「完全栄養食。知らないの?まだあんな非効率な食事してるとか考えられないんだけど。」

「そんなこと考えてるアンタの方が考えられないよ!」

「ふーん。」と彼は言った後にゴミを見るような目で見て言ってきた。

「アンタがなんか美味しいものを作ってくれたら心変わりするかもだけど、期待できそうにないし。」

「なっ」と言って反論しようと思ったがそこに担任が来てしまって何もできなかった。

今考えると、これらが全ての始まりだった。)

正直、入学式については好きになれない。学校なんてのは勉強だけやってればいいしそういう学校に入学したつもりでいる。個人的にはそんな形だけのお祝いなんてあっても時間の無駄なのだ。さっさと終わらせて教科書群を買いたい。どうせ大荷物なのは分かっているのでボストンバッグもすでに用意してしまった。

さて、自分のクラスである1−1の教室に案内されたわけであって、担任が帰ってくるまで時間がありそうなので私は自前のワークを開いた。

「それ、説明めんどいからやめた方がいいと思うよ。」

横からそんな声が聞こえたものだから左を見ると、なにやら見覚えがあった…あ、入学式で祝辞みたいの読んでたわ。

もうみんな聞き飽きているであろう言葉のはずなのに女子はみんな真剣に聞いている。それは彼が洗練された容姿だからであろう。しかし、彼の声に覇気というものは全く感じず『早く帰りたい』と聴こえてきそうである━それが私の覚えている範囲である。

それを行ったということはさしずめ学年主席ってところであろう。私は素直に感謝を述べることにした。

「ありがとう。」

「てか書店で試し読みとかしなかったの?それで買っちゃうとか時間と金の無駄じゃん。」

私はその言葉にカチンときてシャーペンを眼球、或いは彼が今飲んでいるプラスチック製の水筒に刺してやろうかと思った。見た目や能力と性格は別問題なことが多いけど、こいつについてはその典型例って言っても差し支えない気がする。

その怨みが叶ったのかはわからないけど、彼の机に誰かがぶつかった衝撃で開けっ放しだった水筒が倒れた…あろうことかワークに。その中身が水だったら良かったのだけど、残念ながら嘔吐物のような見た目をしている。

その状態だというのに彼は「あっ」とだけ呟き水筒を戻しては何事もなかったかのように振る舞った。私はそれに腹を立ててしまった。

「謝るくらいしろや!」

「いいでしょ。どうせそのワーク買い換えるんでしょ?」

「その言い方はないでしょ!というかそれ何⁈めっちゃ嘔吐物なんだけど!」

「完全栄養食。知らないの?まだあんな非効率な食事してるとか考えられないんだけど。」

「そんなこと考えてるアンタの方が考えられないよ!」

「ふーん。」と彼は言った後にゴミを見るような目で見て言ってきた。

「アンタがなんか美味しいものを作ってくれたら心変わりするかもだけど、期待できそうにないし。」

「なっ」と言って反論しようと思ったがそこに担任が来てしまって何もできなかった。

今考えると、これらが全ての始まりだった。

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