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If you are…#25 Bite(智北青葉)

画像:きまぐれアフター様

(https://k-after.at.webry.info/200911/article_1.html)

先輩の(多分香水とか柔軟剤の)匂いが染み付いた布団に潜ってみたって何も嬉しくない…寧ろ虚しい。

『何が「すみません」なの?』

その問いに対する解が全く見当たらない。たった五音のためにこんなに悩むことがあるとは。

すると、ピロンと携帯が鳴った。相手は垣田だったようで、画面には某ミュージカルアニメのアイコンが映されていた。

〔青葉先輩とどーお?〕

何も知らないから仕方ないのだが、そんなに呑気にこられてはかえって癪にさわってしまう。しかし、そんなことで怒ってしまってはいけないので〔万事順調です。〕と返した。

だが敬語だったのがまずかったのだろう、何かあったことが察せられてしまった。隠すことにも限界があることを知っていたのでことのあらましを伝えた。そしてその後にこう打った。

〔何が『すみません』だったのかよくわかんない。〕

すると、垣田からはシンプルな解が返ってきた。

〔先輩のこと何もわかってなくて『すみません』だったんじゃない?〕

〔謝りに行くなら今だよ!〕

その後に『ファイト』とテロップがかったスタンプが送られてきたので私はやるしかなかった。

閉め切った校舎の中でも蚊は元気で、あちこちチクリと刺されて…それでも私は歩いた。━私にキスマークを残していいのは先輩だけなんだけど。

保健室に着き、ドアを開ける。全体的に白いその空間は夜に電気を付けていることもあり眩しい。更に白いベッドが2つ続けて並んでいるが、その奥は白いカーテンで遮られていた。

その白いカーテンを開ければ、案の定先輩が寝息をたてていた。そこにしゃがむと、横向きに寝ているせいで美しい寝顔を眺めることができて…愛おしさ以外何も感じない。

「先輩のこと…何にもわかってなくって『ごめんなさい』って言っちゃったみたいです…って言ったって許しちゃくんないか。」

私はその美しい顔にキスをした。すると、ものの数秒で白い布団の中に引き込まれ、私の視界は薄暗い白と先輩の本気の顔で支配された。

「よくできました。」

それだけ言うと先輩は私の首筋にあった虫刺されに指を這わせた。

「もー、ここは僕の独占域なんだけど。」

そして、そこに赤い花が上書きされた。最悪なことに制服では見えてしまうようなところに。

「どうするんですか。明日誰とも顔向けできないじゃないですか。」

私は怒りと欲情とそれらとは別の感情でぐちゃぐちゃだというのに先輩は様子を全く変えない。

「こんなんで怒ってたら早いって。『えっちな虫に刺されました』って絆創膏はっときな?」

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