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「自分達のプロダクトが、今もこれからも必ず世の中に必要だと信じること」レセプショニスト橋本真里子さん基調講演【meeTalk #女性起業家支援プログラム レポ】

2022年夏、コロナ禍がはじまり2年が経ちましたが、その間には見えないところで起業家には何が起こり、どう乗り越えていったのか?

渋谷区で事業を行うスタートアップ企業を代表し、レセプショニスト代表取締役CEO 橋本真里子さんに基調講演でその経験を共有いただきました。受付をされたいたなか起業に至った経緯から、コロナ禍での苦難、経営者として大切にしている考え、そして資金調達中に起こったプライベートのことまで、お話しくださった内容をレポートでお届けします。

本記事は、SK-IIと渋谷区、meeTalkが連携し、共同で開催した #女性起業家支援プログラム の一部です。新型コロナウィルス感染症の影響を受けた女性のビジネスオーナーを支援するため、ビジネスを継続・発展させるために必要な「学び」と「ネットワーク」を得られるセッションと交流の場を提供。多くの女性起業家たちが集いました。

👇 今後の開催はこちらでチェック
https://twitter.com/meetalkorg

自身の原体験から『受付の課題解決』と『受付の価値提供』を目指し起業

橋本さんが2016年に創業した株式会社レセプショニストは、クラウド受付システム「RESEPTIONIST」をメインプロダクトとし、3つのサービスを展開する企業です。

橋本さん自身が、企業の受付業務を10年以上経験。その中で感じた課題や新たな可能性が起業に繋がったと話します。

手書きで非効率な受付業務と、受付データの価値に気づく

「私が受付の仕事を始めてから辞めるまでの間、世の中ではPCからスマホへとデバイスが進化していく中、受付業務は変わらず手書きで受付票を書くなど、非効率な日々に追われていました。

しかし、受付は会社の最前列。そこにいれば働いている会社のことが非常によくわかります。受付で取れるデータは企業にとって非常に価値深いものではないかと考え、『受付の課題解決』と『受付の価値提供』を目指し起業に至りました。」

橋本さんが考える起業の原点は、「受付」のキャリアを世の中に還元したい、ということです。

受付を改善していくのは自分しかいない、という使命感

「キャリアは一人で得られるものではなく、雇ってくれる会社があって、一緒に働いてくれる人たちがいて、応援してくれる家族がいる。キャリアは授けてもらうものという感覚があったので、私はこれを社会に還元する形で次に進みたいと思いました。」

クラウドの受付システムの形になったポイントとしては以下をあげました。

・企業が存在しお客様がいる限り、何かしらの形で受付が必要
・世の中に受け入れられる本当に便利なものは、現場を理解した人でないと実現できない
・受付の効率化や新しい価値提供を行っている他企業がなかった

「世の中の受付を改善していくのは、自分しかいないのではないか。使命感を勝手に持ち、起業という道を選択しました」

「採用」「資金調達」「プライベートとのバランス」伝えておきたい3つの苦労

数えきれないほどの苦労があったとのことですが、本セッションでは「採用」「資金調達」「プライベートとのバランス」について話していただきました。

1.採用

「(自称)日本一の受付嬢だ!」という自負があった橋本さん。現場のことは誰よりも理解している自信があったものの、やりたいのは「システム開発」。実際に手を動かして作ってくれるエンジニアが必要でした。
そこで、IT系企業で受付をしていた際のつながりを元に仲間集めを始めましたが、先輩企業家からのアドバイスを受け、自身とエンジニアをつなぐ「通訳」として、最初に(現在はCOOを務める)プロダクトマネージャーを迎えました。 

2.資金調達

人を採用するとなるとお金が必要になります。エンジェル投資家から、数千万、億のお金を調達しなければ事業が始まらないという状況でしたが、お金を扱う業務の経験もなく容易ではありませんでした。

普通に生きていたら口にすることもない「資本政策」に振り回されたと話します。
「受付の仕事を辞めてから、とにかく人に会い行って、本も読んで、自分でも実際に頭を抱えながら資本政策を作り、なんとかエンジェルラウンドを乗り越えました。」

3.プライベートとのバランス

2016年に創業し、2017年1月にクラウド受付システム「RESEPTIONIST」をリリース。しかし、「全力で仕事をするぞ!」と思っていた4ヶ月後に妊娠が発覚します。社員も増えてバーンレートが大きくなり、さらなる資金調達が必要な状況の中、橋本さんは、臨月まで往訪。出産7日後にも投資家を訪問していました。

「オフィス不要論」も叫ばれたコロナ禍の逆境… それでもチャンスにかえていく

しかし、1ヶ月の間に1人も来客がなかったという企業は、全体の3割以下。


コロナの影響で「オフィス不要論」も叫ばれ、オフィスに紐づくプロダクトである「RESEPTIONIST」は商談の長期化・失注、リード数の減少、解約が一時的に増えてしまいました。

「RESEPTIONIST」における受付利用回数の推移グラフを見ると、2020年4月の緊急事態宣言の期間に約85%減少しています。人との接触を8割減らすという指針を、オフィスワーカー達が見事に達成していることが、グラフからも見てとれました。

自分達のプロダクトが「必ず世の中に必要だ」と信じる

人が来ないと言ってもゼロではない。また、コロナが短期間で終息しないことがわかってくると、新しい「おもてなし」とは何か、安心安全に受付を構築するにはどういう仕組みに変えるべきなのか、というニーズを考えるきっかけに。

自分達のプロダクトは、こういう時代だからこそ求められると感じたそうです。逆境乗り越えたポイントとして橋本さんは「一番大事なのは、自分達のプロダクトが今もこれからも必ず世の中に必要だと信じること。そしてできることはなんでもやること。そしてもう一つは、意思決定を早め、機能リリースや事業の方向性の優先度を変えたこと。構想にあったものを早めて提供し、ユーザーの声をすぐに反映してコロナでも安心して使っていただける機能を提供しました。」と語ります。

コロナが長引き、対面の機会も戻る中、受付を通じて提供できる価値として以下の2点があると橋本さんは気づきます。
・来客の記録を正確に残す
・受付での接触を減らし、効率歴な来客対応を行う
実際に行った機能のアップデートはこちら。

待ちの姿勢ではなく、自ら流れを変える。 経団連にも働きかける

自分たちのサービスがより早く社会にとって必要なものとされるため、「待ちの姿勢」ではなく、自らで流れを変える働きかけも行いました。

経団連が発表した「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」には当初、来訪者への対応の言及がなされていませんでした。そこで、「来客の正確な記録を残すこと」に企業が取り組むべきと働きかけ、2020年12月の改訂版ではその内容が記載されました。この動きは問い合わせ増に繋がったと橋本さんは話します。

また、移動時間がなくなり、1日にオンライン会議を詰め込む人が増えたことで、「日程調整が煩雑になる」という課題が顕在化。意思決定を早め、日程調整を効率化するプロダクトを単独サービスとして提供開始しました。

メインプロダクトである「RESEPTIONIST」は解約・鈍化の影響もありましたが、コロナにおける新たなニーズも取り込み2022年5月には導入社数が5,500社を突破。成長を続けています。

自らの運命を変え、社会と世界の運命を変える

橋本さんは、この #女性起業家支援プログラム のイベントを素晴らしいと感じながら、一方目指す世界では、「女性起業家」という言葉がなくなればいいな、とも話します。

「『女性起業家は不利』と言われることもあります。ビジネスの世界は男性が多く、女性にとってはアウェーであると私は思っています。しかし、アウェーで闘うことは避けられないけど、覚悟があれば十分に戦っていける。

今回のイベントテーマは #CHANGEDESTINY 。私は自分の運命を変えることで、社会や世界の運命を変えていけるんじゃないかと思い、仕事をしています。私は、受付というキャリアから「起業」という運命を選んだことで選択肢が増え、人生が豊かになりました。受付を続けていたら手放さなければならなかったものを、起業の道では、そうならない選択肢をとれたのです。」

経営者として大切にしていること

変化を前向きに受け入れること、工夫をし続けることです。経営をしている以上、社会に求められ続ける必要があり、それを提供するのに男性女性は関係ありません。性別や国も関係なく、やりたいことを実現するために大胆に、派手に華やかに輝いていただきたいと思います。」と語りました。

「これから事業化し、会社を大きくしていこう、どんな事業をやっていこうと悩まれたとしても全部を一人でやるわけではありません。いろんな人に助けられて、みんなやっているんだよというのが、私からのお話です。」

レセプショニスト代表取締役CEO 橋本真里子さんによる、基調講演のレポートは以上です。


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ゲストスピーカーのご紹介

橋本真里子さん
レセプショニスト代表取締役CEO
1981年生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。 2005年にトランスコスモスにて受付嬢のキャリアをスタートし、USEN、ミクシィやGMOインターネットなど上場企業5社の受付に従事。 11年間で120万人以上の接客を担当した経験から、受付の効率化を目指し、2016年に株式会社RECEPTIONIST(旧・ディライテッド株式会社)を設立。 クラウド受付システムをはじめとした3つのサービスを通して、管理業務をワンストップで効率化し、ビジネスコミュニケーションのアップデートを目指す。
Web https://receptionist.co.jp/


他にも続々と、講義・トークセッションのレポートを公開していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

👇meeTalk 女性起業家支援プログラムの記事まとめはこちら
https://note.com/meetalk/m/m552b00b92503

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【開催概要】
女性起業家支援プログラム
#CHANGEDESTINY
主催:SK-II、meeTalk
協力:渋谷区
内容:女性起業家・事業主のビジネスをサポートするための、学びとネットワーキングのためのプログラム
日時:2022年6月22日〜 6月23日
会場:オンライン配信& オフライン開催 @渋谷TRUNK HOTEL
公式HP:https://meetalk.org/sk2changedestiny/


ライター:eribousan

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