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詩 飽くなきロードセル

 振動が不可視の領収書を指名手配して雷鳴の最中にイドの切れ端を受け取ってみる。誰かの欠片だろう、そのみずみずしさもくすんだ思い出も何もかもの中途半端な体を見る。どこに置き忘れてしまっただろうか。

いつでも、忘れ続ける。あの振動が続く限り

 忘れ去られた天井の上から、屋上から騒ぎ震えた心太のような建物が崩れないように心が蹴る。どこどこと追い詰められるようなその心拍、誰かに追われているようなその曇天、誰かのイドはなく。animusだけを置いていけ。

どこでも、死に続ける。あの星の音も消え去る限り

響いている太古の音、
紫色をした冷水、
沸騰する順当な水蜜。

どこかから、どこへでも、自分自身という了解はまともに機能しないまま、うざったい、野暮ったい、そしてむかむかする火傷にも忘れない。この心。やってしまえば嬉しそうに。出て行けよ、どうせ風は吹く。同性愛の名の元に拾い集めてただ生きよ。息苦しさもどうせ忘れちまうんだから。

振動は続いていた 未だに震える内蔵はきっと数ヘルツのゆったりとした
椅子に座ってそのコンマ数ヘルツの海の豊かさを。
手切れ金は渡すものでもなく、妬けて飛んでいった。

釘を打ち込み打ち込まれる。 そんなところです。