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第238話 吹き消すことで灯った明かり


「今の学校はどう?」

「新しい僕の態度、みんな待ってた。
喋らない人とは喋らないけど、前より居心地もよくなったよ……。」

……

 三次元認識のスサナル先生の現実面でも明るい変化の兆しが伝わると、嬉しいことにカレンダー上でも彼の誕生日が近づいてきていることに気がついた。

 幼い頃から「お前なんか生まれてこなければよかった。」と言われ、成長してからもずっと無価値感に苛まれ(さいなまれ)続けてきた彼。
 闇の暖かさを拠り所に騙し騙し生きるしかなく、そんな生をこの世に受け「大嫌いだ」と何度も呪った誕生日。

 子供時代のスサナル先生にアクセスすると、彼の中には未だに多くの淋しさが存在しているのがわかる。普通の人ならそれだけで押し潰されてしまっただろう闇の量。
 一本一本その絡んだ糸を紐解いていくと、ひとつのアイディアが閃いた。

……

「お誕生日のプレートでお願いします。名前は……、○○くんで。」


 その日、地元のケーキ屋さんに向かうと苺のたっぷり載ったホールケーキを購入した。
 実際に食べるのは私とあきらだけなので十五センチくらいの小さなものだけど、その中でもちょっと贅沢なものを奮発した。

 顕在意識の彼本人の知らないところで、ドキドキしながら下の名前を君づけで発する。
 すると何故か不思議なことに、その日限定のサービスだというハートの飾りをおまけにつけてくることになった。

「ロウソクは何本必要ですか?」

「ええと、8本で。」

「ご用意しますね。」

 そう答えている最中からじんわり涙が出てきてしまって、慌てて違う商品に興味がある振りをして横を向いた。
 私がいつもアクセスする彼の子供時代とは七歳だった。だからその日のお祝いで、ちょうど“8”歳を迎えることになる。このささやかな誕生日会ですら高次元に仕組まれていたとは、シンクロニシティとは何度遭遇してもその度に私を驚かせてくれる。

 少しすると、先程の店員さんがやって来てこう聞かれた。

「ロウソク、大きいのと小さいのご用意できますけど。」

「ああ、ケーキがそんなに大きくないし、小さいのでお願いします。」

 ところがそう答えた直後に、彼のハイヤーセルフの声が聞こえた。

 “大きいの!”

「あ、すいません。やっぱりロウソク、大きい方にしてもらってもいいですか?」

 やったぁと、脳裏で男の子が笑っている。スサナル先生のハイヤーセルフもエゴセルフも、みんな笑っているようだった。
 生まれて八年目にして初めての、夢にまで見た自分だけのバースデーケーキ。こちらも釣られてたくさん嬉しくなって、それでも少し切なくて。
 車に戻るとしばらく発進することができずに、一通り泣き腫らしてから帰宅した。

……

 その日の夢。
中学校の校舎のどこかを歩いていると、少し離れたところに彼がやってきた。
 けれども周りには生徒たちがいて、お互いにうまく身動きが取れない。

 ツインレイの女性は自分からは動かずに、男性が、男性のタイミングでこちらにやって来るのを根気よく待つ形を取ることになり、その原則は夢の中でも適応されていた。

 そうしてしばらく、時々視界に現れたり出ていったりする彼のことをただゆっくりと見守っていると、ふいに背中をポンポンと叩かれた。

 彼は他の生徒には気づかれないように、私に近づくチャンスを窺っていたらしい。ちらっと私に目配せして、そしてそのまま横を通り抜けていった彼の姿を視界に捉えると、自分からくっついてしまいたい衝動を抑えつつ、ゆっくりその場を後にした。
 彼も既に私とは別方向へと歩き出していたけれど、お互いの気持ちはひとつだった。

 私が喜びに笑ったように、彼もまた笑っているのが伝わった。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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以前少し書いたと思います。アカシックの書き換えは、どんな内容であっても『今』可能です。
過去、苦しくて仕方なくて、思い出したくもないと記憶の底に埋めた出来事。
けれどもそれらを『掘り起こす』と決意し、そんな闇を視ることによって、その苦しみは何物にも代え難い『経験という糧』になります。

ツインレイと出会える人が何より凄いなと思うのは、一人分の闇だけでも反転させるのが大変なことなのに、それをあっちとこっちでそれぞれ二人分できてしまえる魂の大きさがあるということ。

二人で引き受けた大量の闇を、現実面と見えない世界とから二人で浄化し、どれほど地球が軽くなったか。偉業だよ!誇っていい笑

……
そしてね、もう一つ。
この、彼が夢に出るというやつ。感覚的には、サイレント初期の夢で頻繁に会っていた感じによく似ています。
けれども“感覚は”そっくりでも、中身は全く違います。
私の場合、

サイレント初期→数日おきに明晰夢で会い、それなりに嬉しい交流もある。(けど、交流してるのは表面に近いエゴの部分だけ)
中盤→殆ど夢で会わなくなるか、会ったとしても中身がギクシャクしている状態が続く。
後半→同じく明晰夢で、感覚としても初期に近いけど、深い部分まで掘り下げ“統合したエゴ全体”と交流してるかんじ。
となりました。

8の字でいうと真ん中からスタートして真ん中に戻る最初と最後、往路と復路それぞれの中心に近い部分みたいな感じです。
形だけだと“相似形”ですが、座標に当てはめたらプラスとマイナスで正反対です。
そっくり現象だけど真逆。
そうして再び、中心の点へと近づいていきます。



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←今までのお話はこちら

→第239話 われても末に 逢はむとぞ思ふ

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