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お仕事の話

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今までに経験したお仕事のお話
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#会社

初めての仕事

初めて自分のしたことで対価を得たのは、まだ小学校にも入っていなかった頃だと思います。 私の母はこわい人でしたが、祖母の家にいとこ達が集まったときなどには、ユニークな言動をする人でした。 「白髪を抜いてくれたら1本につき1円あげる。」 「肩たたき100回で10円。」 夏に皆で海に行き、後日、背中の皮がむけたときには、 「皮を1まいむいたら1円。おおきな皮がむけたら2円!」 などなど… いわゆる『お駄賃』というものですね。 それで手にしたお金を持って、近くの駄菓子屋へ行き

OL

私は学生時代に、字を書いたり、細々した雑用を先生などから頼まれたりするのが大好きでした。 テレビドラマなどに出てくるOLに、とても憧れていました。 あんなに楽しそうなことをして、お給料をもらえるなんて! 高校を卒業後、ゼネコンに入社しました。 支店採用の事務職でした。 仕事に特にやりがいはありませんでしたが、嫌だと思う仕事はありませんでした。 ワープロも得意だったし、電話対応も好きでした。 ちょうどバブルの時期で、お給料やボーナスもどんどん上がっていきました。 私が在

OL(2)

結婚して、嫌々通勤していた会社を辞めることが出来ました。 夫の転勤で、初めて県外へ転出することになりました。 仲が良くない母と離れて生活出来ることになり、嬉しくてたまりませんでした。 それに、生まれてからずっと同じ県内に住んでいたので、新しい土地での生活が夢のようでした。 夫となった人の会社は、拠点となる『支店』はあるものの、仕事の移動が多く、 新婚にもかかわらず、彼が家に帰って来ることは、ほとんどありませんでした。 私は知らない土地で1人暮らしを始めたようなものでした。

保険外交員

コーヒーショップで働くことがすっかり嫌になりました。 仕事というのはどんなものでも、 信頼や尊敬できるオーナーや店長や上司の下で、 その人たちの役に立ちたい、笑顔が見たい、褒めてほしい、という気持ちでするものだと思います。 オーナーのことも、店長のことも、すっかり信用できなくなっていました。 仕事を終えて、保育園に子供達を迎えに行く前に、どこかでお茶でも飲もうと思い、近くのドーナツショップに入りました。 その店に入ったのは初めてでした。 飲み終わったカップを下げようと立

(続)保険外交員

会社に行きたくないと思い始めると、寝ても寝ても、眠気がおさまらなくなりました。 10時間以上寝ても、まだまだ眠いのです。 もともと得意ではない家のことも、何もやる気がなくなりました。 生活や、なにより子育てに支障をきたしてしまうくらいなら、もう保険会社を辞めよう、と決めました。 会社には、大好きな上司がいました。 おばさま方の中にひとり、私とは年が10才ほどしか違わない若さで、シングルマザーでした。 かわいらしい顔で、かわいらしい声、けらけらとよく笑い、一緒にいるのがとても