ポーランドのミサイル着弾がトランプの運の尽き?

2022年11月15日、ポーランドにミサイルが着弾したニュースが入りました。
この日は前々からトランプ氏が「ビッグ・アナウンスメント」がある、と発表していた日で、メディアは大統領選の出馬表明をするとみて、15日をXデーみたいにターゲットにしてました。

この日の流れを時系列で追っていくと、次期米大統領選の命運が透けて見えそうな感じがしたので、書き出してみます。
ちなみにアメリカ東部時間基準ですので悪しからず。

11月15日(火)朝:
今夜9時にいよいよトランプの出馬表明か、とメディアがトップニュースで扱う。

お昼過ぎ:
ポーランドにミサイルが着弾して民間人2人が死亡したと速報が入る。すぐに「ロシアの仕業」という見方が強まる。ポーランド政府が緊急開合を開く。

*備考:たまたまG20の期間中だったので、加盟国首脳はインドネシアに集合中

午後7時頃ごろ:
ポーランドがミサイルはロシア製と発表。「ロシアの仕業」という見方、さらに強まる。
ポーランドはNATO加盟国なので、NATOがロシアとウクライナの戦争に巻き込まれるかも、もしNATOが武力支援(当然ウクライナを)することになれば第三次世界大戦になる!なんて話も浮上する。
夕方のニュースはポーランドがトップ。トランプは2番手に落ちる。

午後8:30過ぎ:
バイデン米大統領が緊急会見。「ミサイルはロシアから発射されたとは考えにくい」とコメントする。「ロシアの仕業」という仮説に逆行するので「えっ」となりつつも、世論はロシアが悪いはずとの論調を維持する。
会見は午後9時直前までテレビで生中継。

午後9時:
トランプの会見の中継が始まる。9:04頃からトランプのスピーチが始まる。9:20過ぎに「大統領選に出馬する」と正式表明。
(余談:外交関係での功績自慢のくだりで故・安倍元首相との関係に真っ先に言及したのは「ほほぅ」と思った)

11月16日(水)朝:
ポーランドがミサイルについて、ウクライナから発射された迎撃ミサイルで、事故だったようだと発表。前夜のバイデンの会見内容を裏付ける。
ロシア犯人説はなくなるも、NATOなどは「そもそもロシアが元凶であることは間違いない」という論調にシフト。
朝のニュースも引き続きポーランドがトップ、トランプは2番手。

…と、こういう流れでした。

ここで興味深かったのは15日夜のバイデンとトランプの温度差。

トランプの会見は前宣伝が派手だっただけに期待値激高だったのですが、スピーチには現役時代のエネルギッシュな感じがなく、周囲も盛り上げ切れていなくて、どこか空気読めてない感がありました。
そしてそれ以前に、ニュースの扱いを見ても分かるとおり、15日午後以降はトランプ出馬表明の話題はポーランドのニュースの陰に隠れてしまっていました。

一方で、先に会見したバイデンの方は、世界大戦の引き金になる可能性もある事態だけに、当然注目されますが、特に私が思ったのは、まだ世論がロシア犯人説に傾いていた時点で、バイデンがいち早く「ロシアから発射されたとは考えにくい」と発信したこと。
アメリカもNATOも「ロシア=悪、ウクライナ=善」の考え方に基づいているので、ロシア犯人説の方が心境的には都合がよかったと思います。
いずれ詳細が分かるにしても、この時点で「ロシアじゃないんじゃね?」と言い出しっぺになるのは、ポーランドやウクライナが猛反発する可能性もあったし、けっこうリスキーだったんじゃないかなと。
最終的にはバイデンの言ったとおりロシア犯人説は撤回されたわけで(NATOは「そもそも元凶はウクライナ侵攻なんかしたロシア」と言ってますが)、今回図らずも「バイデン政権は先入観にとらわれず科学に基づいた冷静な政治をしますよ」と示して株を上げる結果になったなと、個人的には思いました。

中間選挙以来、トランプ時代はもう終わったと言われる中で、私は「いやー案外しぶといでしょトランプは」というクチだったんですが…。
流石にこのタイミングでポーランドのニュースに話題を持って行かれたのをみると、トランプさん、運にも見放されたってことかなと思ってしまいました。


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