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君たちはどう働くか  ~一翻訳者の場合~

ええ、観てきました。夏休みに。

宮崎駿監督の
君たちはどう生きるか』

メディカル翻訳の仕事をするようになって、8年ほど。
いまのような感じで、ずっとこの仕事を続けていくんだろうか・・・。
そう思い悩むことが、ここ数年とくに増えてきまして。

そもそも、わたしはどんな風に仕事をしたいんだ?
→ わたしはどんな暮らしがしたいんだ?
→ わたしはどう生きるんだ?

→『君たちはどう生きるか』、観てみるか・・・
となったのでした。

***

長年あこがれていた翻訳の仕事。駆け出しの頃は、とにかくなにごとも経験!と、依頼いただいた案件はなるべくお引き受けするよう心掛けました。

いまの収入はこの程度としても、経験を積み重ねるほどに、きっと単価もUP、作業スピードもUPして、収入=単価 × 作業量 なんだから、そりゃもうUP×UPで、収入は数年のうちにぐぐ~んとUPしちゃうだろう♪・・・と甘い夢を見ていたのです。

そんなことはありませんでした(←個人の感想です)。

単価も作業スピードも、なかなかそう簡単には上がりません(←個人の感想です)。

そして、悩みのタネは収入面だけではありません。

最初のうちは、いただけるお仕事すべてが新鮮で、緊張やプレッシャーがありながらも、ワクワクしながら仕事していた覚えがあります。

それがいつからか、ワクワク感が減って、しんどいなぁ・・・と思う時間が増えてきました。

理由の1つと考えるのが、機械翻訳
機械翻訳の精度はここ数年で飛躍的に上がり、かなり使える訳を出してくれるようになりました。なので、翻訳作業自体はラクになったし、翻訳スピードのアップにつながっていると思います。

だけど、どうも楽しくない。
効率的になった分、機械的になってしまったというか、翻訳というよりも作業をしている感覚に陥ることが、ままあります。

とはいえ、お仕事として依頼いただくからには、楽しい楽しくないとか関係なく、きっちり納める必要があります。

そして、ここでもう1つのしんどい理由に思いあたります。

大きな目標を見失ってるかもしれない。

会社員時代は無意味だとも思っていたキャリアデザイン面談。
毎年のように自分の希望するキャリアを書かされて、それをもとに上司と面談して・・・。
いま思えば、あれは良いシステムです。
周りを見渡せば、数年後~数十年後に自分がいるかもしれないポジションに就いている人が近くにいます。なんなら、その人たちに相談もできます。
そんな環境が、いまとなってはちょっと懐かしい。

翻訳者は、登録している翻訳会社から依頼いただいたお仕事を引き受けては納品し・・・の繰り返しです。

それはそれで、翻訳の仕事をしてお金を稼ぐという以前の目標を達成できてるから、いいんです。きっと。
でも、それが何年も続くと、毎日は忙しくしていても、例えば5年前といまを比べてあまり進歩がなく停滞しているようにも思えてしまいます。

翻訳会社によっては、どんな仕事をしたいかなどの面談をしてくれるところもあって、必ずしも一方通行ではないのですが、ただ来た依頼にこたえていくだけのやり方では、5年後10年後もいまのモヤモヤを抱えたままになってしまう。
なにか自分なりに整理せねば・・・と思っているところです。

  • 楽しい要素があまりなくても、それが仕事と割り切って粛々と仕事をするのか

  • もっと専門性を高めるなどの努力をして、難しくて面白いと思える仕事を取りにいくのか

  • いっそまるで違う分野で仕事を探してみるのか

そこは、フリーランスなんだから自分の好きなように決めて目標設定すればいいだけ!

だけど、ロールモデルも身近に見つけられず、キャリアデザインシートの提出期限があるでもなく、いつまでも決められないまま、フラフラと思い悩んでいるわけです。

***

さて、
『君たちはどう生きるか』を観て、その答えは見つかったのか?
というところなんですが。

映画からわたしが受けたメッセージは、

完璧な世界なんてどこにもない。完璧な人なんてのもどこにもいない。
完璧じゃない私たちが、ぶつかり合いながら支え合いながら、それでも理想や希望をもち続けて、この完璧じゃない世界で生きていくんだ。

みたいな。

だから、これに絡めて結論を出すとすれば、
翻訳の仕事も完璧じゃない。
報われないと感じたり、仕事と健康を引き換えにしてるんじゃないかと思ってしまったりすることもある。けれど、楽しかったり、やって良かったと思うことも多々あるわけで。
そんなこんなを全部ひっくるめて、それでも翻訳の仕事をこれからもやっていきたいか?と、自分に問うてみると・・・

やっぱり、やっていきたい

そして、身も蓋もないことを言ってしまえば、まだまだ私は実力不足なんだからグダグダ悩むよりもスキルアップの努力をするべきです。はい。
さらに言えば、なんだかんだで翻訳の勉強は面白い。

というわけで、結局この先どんな風に仕事をしていくのかの結論は出ず仕舞いですが、やっぱり翻訳は好きなので、やり方を考えつつ、あれこれ試したりもがいたりしながら、なりたい自分を探しながら、納得できる形で長く仕事を続けられるようにがんばろうと思うのです。

#私の仕事

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