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Dentisリリースの裏側聞いてみた「開発初期編」

こんにちは。メドレー広報の近藤です。

メドレーは2022年1月20日に、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざしたクラウド歯科業務支援システム「Dentis(デンティス)」をリリースしました!

Dentisとは一体どのような課題を解決しようとしているプロダクトなのか、ぜひ多くの方に知っていただきたく、ニュースリリースだけでは伝えきれない歯科診療の現場課題や開発経緯とともに、プロジェクトに関わるメンバーのみなさんにリリースまでの道のりを振り返っていただきました!

立花さん:ディレクター
歯科衛生士として歯科医院に勤務後、歯科医院向けの営業/コンサルを経て、2020年にメドレーにDentis立ち上げメンバーとして入社。現在はDentisのカスタマーサクセスを担当。

牧さん:エンジニア
大手SIerを経験後、スタートアップ企業において経営管理のSaaS開発部門のCTOを経て2019年に入社。入社時からDentis開発に関わり、システムの基幹部分となるレセプト機能を担当。

前田さん:デザイナー
制作会社や事業会社を経て2017年に入社。オンライン診療システム「CLINICS」立ち上げ時のデザインに携わり、医療プラットフォーム事業全般のUI/UXを担当。

尾割さん:Dentis事業推進室長
大手証券会社を経て2019年に入社。入社時は経営企画室に所属し、上場準備やIRファイナンス、M&Aを主導。歯科業界への強い想いを持ち、経営企画室長から異動を志願して事業部長へ就任。

山本さん:ディレクター
歯科助手として歯科医院勤務を経て、2019年に入社。当初は別の部署に所属していたが、Dentis開発に向けた歯科業界経験者の社内募集があり応募。歯科医院で働いていた実体験も活かしながらプロダクト改善を担当。

左から:立花さん、牧さん、前田さん、尾割さん、山本さん

Dentisってどんなプロダクト?

—今日はDentisについて、いろいろお話を伺いたいのでよろしくお願いします。まず単刀直入に、Dentisがどんなプロダクトなのか教えて下さい!

牧さん:
Dentisの説明に入る前に、まずメドレーの医療プラットフォーム事業について簡単にお話しますね。メドレーはクリニックや薬局といった事業所と患者さんとをつなげるプラットフォームを構築することで、患者さんの医療に対するハードルを下げて「納得のいく医療」の実現をめざしています。納得のいく医療を実現するには、患者さん自身が自分がいまどんな状態であるかを理解して、どのように医療に向き合っていく必要があるのか自分で選択していけるようになることが重要だと考えています。

ーたしかにドラマの重要な場面で「先生にお任せします」っていうセリフ多いイメージですよね

尾割さん:
そう言ってしまうのには色々な理由や背景があるのですが、私たちとしては「お任せします」ではなくて、患者さん自身が主体的に医療に参加していくことを促していきたい。これを「患者エンゲージメント」の向上と呼んだりします。

牧さん:
そういった未来を実現するために、医科診療所向けのCLINICS、調剤薬局向けのPharmsに続いて開発提供されたのが、歯科医院向けの業務支援システムDentisです。

皆さん、歯医者さんといえば歯が痛くなったらいくところってイメージではないでしょうか?実は日本人の虫歯の数ってかなり減ってきていたり、口腔の状態が全身疾患に影響すると言われていたりと、治療(キュア)から予防(ケア)中心の予防歯科時代に移行してきているんです。

立花さん:
もちろん虫歯が減ってきているとはいえ、既存の業務がなくなるわけではありません。それと並行して新しいことに取り組むには、そのための時間を作る必要がありますし、患者さんの医療体験をもっとあげていく必要がある。それをサポートする業務支援システムがDentisなんです。

ーなるほど、予防歯科時代に向けてDentisでは具体的にどんなことができるのでしょう?

山本さん:
具体的には患者さんの症状や診察内容を記録する「カルテ」と、診察にかかった費用を計算する「レセコン(レセプトコンピューター)」といった歯科業務の中核を担う基幹システムと、「予約管理」「問診」「オンライン診療」「キャッシュレス決済」「メッセージ送信(リコール)」など患者さんの医療体験を向上させる、かかりつけ支援機能があって、それらを全て一つのプロダクトとしてトータルで提供しています。
歯科医院で絶対に外せない業務を効率化して、患者さんとのつながりを無理なく自然に強化していくことができるようなシステムをめざしているんです。

歯科の現場で感じた課題と歯がゆさ

ー業務効率化を支援するとのことですが、立花さん、山本さんは歯科現場で働いていた経験があると思います。当時はどんな課題を感じていましたか?

立花さん:
私は歯科衛生士のほかに歯科材料の営業もしていたんですが、クリニックに対して「これからの歯科は予防の時代です。そこに力を入れていきましょう」といったお話をしてたんですね。予防歯科が大切なことはみなさん理解してますから、そこでは「いいね!じゃあスタッフ教育とかもやっていかないとね!」となるんです。

でもいざやろうと思っても、単純に今の業務に追加することになるから、業務過多になってしまって、結局できなかったり、やっても定着しないことが多いんですだから、歯科の現場は既存の業務をもっと効率化したり改善して、必要なことや重要なことをやる余白を生み出す必要があると強く感じてました。

山本さん:
そういった事が起きてしまうのは、やっぱり患者情報が「紙」で管理されたり、紙でなかったとしても患者さんにアプローチしようとしたときに、データとして活用できる状態や環境じゃなかったりすることが一番大きいと思います。

ーたしかに改善の余地は大きそうですね

山本さん:
例えば、歯科の特徴として「そろそろ受診がおすすめです」といったお知らせを患者さんに送る「リコール」という文化があります。みなさんもハガキが届いたことありません?
本当は「この患者さんの歯周病の状態だと、次は2ヶ月後に来てほしい」「この人は5ヶ月後でいい」といった個人差が結構あったりして、それにあわせてリコールをしたいんです。ただ問題は、そういった情報が整理されていなくて、簡単にシステムからアクセスできないところにあります。

で、どうするのかというと、最終診療日から2〜3ヶ月くらい経過している患者さんの情報を、とりあえず全部一括でCSVで吐き出して、ハガキに貼る宛名のラベルを印刷して。さらに家族で通院している患者さんがいたら、「この人は家族だからまとめる」とかをチェックして、ラベルに手書きで家族名を追加していって、それらを全部ハガキにぺたぺたやって…

—聞いてるだけで気が遠くなりそう(汗)。確かに私もハガキが送られてきたことあります。行けなかったけど…(スミマセン)

山本さん:
これって医療現場としては頑張っているものの、患者さんに全然寄り添えていないですし、患者さんの状態に合わせてコミュニケーションを取ることができれば、もっと診療の質をあげられるはずなんです。
このハガキは一例で、医療現場って「名もなき家事」みたいなものが多いんですよ。なので予防とか新しいことへ取り組むときは、患者さんに対していかに適切なタイミングで効率よくアプローチするかが重要で、治療や通院に必要な情報が一元管理されていてくれたら、とずっと思ってました。

歯科ならではのプロダクト開発

—メドレーにいるとさまざまな医療現場の負を知る機会が多いのですが、歯科もなかなか深い課題がありますね…。2019年ごろからDentis開発プロジェクトがスタートしたわけですが、その滑り出しはどうだったのでしょう?

牧さん:
カルテのような基幹システムから、予約受付や決済、メッセージ機能といった患者接点を担う領域まで、まるっとトータルで提供していきたいというのは、もともとのプロダクト構想としてもっていました。

前田さん:
2016年に開始した医科診療所向けのプロダクト「CLINICS※」のノウハウを活かして、まずは予約・受付に特化したシステムの開発からはじめました。そこにオンライン診療も追加していくことで、カウンセリングや事前相談といった治療を開始する前の接点づくりもできるのではないかなと考えていましたね。まずは歯科医院と患者のつながりに重点を置き、基幹システムへも移行していってもらうような想定でした。

ただスタートしてみると、歯科では「ユニット(治療をする椅子のこと)」を考慮した予約管理が必要で、医科とは診療業務の流れが違うんですよね。歯科業界を知れば知るほど、当初想定した設計のままでは実際の業務オペレーションに即した機能を提供できない感覚が強くなっていきました。
(※)オンライン診療、クラウド電子カルテ、予約管理機能などを備えるメドレーが提供する病院・診療所向け業務支援システム。

牧さん:
もう3年も前の話になるのか…。
患者さんが予約をしてオンライン診療や対面診療を受けるってところまでは開発が進んだんですけど、当時はまだ今のように医療業界全体としてオンライン診療がすごく注目されていたわけではありませんでしたし、カウンセリングとかには利用されていたものの、やはり歯科のオンライン診療は活用範囲が限られてて。

前田さんも言っている部分もそうだし、患者接点の部分をメインに先行しても、ちゃんと活用されていくイメージがわかなかった。実際、メンバーの肌感としてもそういう感覚があったんじゃないかなと思います。

—医科領域と歯科領域は近そうにも思えるのですが、だいぶ違うものなんですね

山本さん:
他社のレセコンやカルテにも受付機能や予約管理機能がついていたりもします。そういったものをすでに使っている歯科医院もあれば、なかなか移行できずに紙の予約台帳で管理しているという医院もいて。そんな歯科医院に向けて、今よりさらに便利になる未来を提案して、導入を促せる状態になっていたかというとまだ足りていなかったんだと思います。
「使いやすそうな予約管理でいいね!」と言ってくれても、結局基幹システムに入っている患者情報と二重で管理するコストがかかるし、実際の運用構築が難しい。
業務効率化を実現させるには基幹システムと一体になっていたり、その情報へのアクセスがスムーズにできないとダメなんだなっていうのが見えてきたんです。

牧さん:
基幹システムの開発も当初から進めてはいたんですが、重要なシステムであるからこそ構築には時間も相応にかかりますし、まずは基幹システムよりも先に予約周りの機能に興味をもってもらって顧客接点をつくろうと。ところが、お客さんには「基幹システムが出来たらもう一回来て」と言われることもありましたね。

—構想を見直す必要が出てきた、ということですね。

医療ヘルスケアに携わる者として”社会的要請”に応える

—そのあとはどうやって進んでいったのですか?

立花さん:
このまま進むのではなく、実現すべき姿に近づくためにはどうしたらいいのか検討を続け、どういう方向性にしていこうか突破口が見えてきそうだ、というタイミングで新型コロナの流行が拡大してきました。
感染拡大を抑えるため、2020年の2月から4月にかけてオンライン診療と合わせて、オンライン服薬指導(薬剤師から処方薬の説明を受けること)や薬の配送などに関する規制緩和が起きました。本当に大きな規制緩和だったので、社内もかなり対応に追われていたことを覚えています。でもそれと同時に、これまでメドレーが一生懸命取り組んできた”オンラインで”医療と患者さんの接点をつくることの重要性や必要性が本当に高いんだということも大きく実感しました。

前田さん:
実はDentisの開発と並行して、調剤薬局向けにオンライン服薬指導などが可能なシステムであるPharmsの開発も進めていたのです。医療ヘルスケアに携わる企業として今何をするべきなのか。もちろん人員だって限られています。でも、未曾有の感染症対策に少しでも貢献できるならと、Dentisの開発計画を変更し、Pharmsをできる限り前倒してリリースすることになりました。

ー取り巻く環境が大きく変わったとはいえ、そんな背景があったのですね。実際に計画が変更になった時、どんな心境だったのでしょうか?

牧さん:
調剤薬局向けシステムに注力するのは納得できる判断でした。とはいえ、ここまでプロダクトのテスト運用に協力してくれていた歯科医院の中にはメドレーから基幹システムが提供されることを期待されていましたし、Dentisの開発が遅れるのは葛藤もありました。でも、コロナ禍で医療のオンライン化という社会的な要請を大きく感じていましたし、チームメンバーや経営陣とも議論したうえで、しっかり取り組んでいかないといけないと思えましたね。

山本さん:
メドレーは”患者さんと医療をつなぐ”プラットフォームの構築を通じて「納得のできる医療」を実現する会社です。大きな計画変更だったのは事実ですが、めざす世界観は変わっていません。テスト運用に協力してもらっている歯科医院ではすでに実業務で利用している状況でしたが、メドレーが目指す世界観に共感して、計画変更にも納得していただけたので、なおさら頑張ろうと気が引き締まる思いでした。

あと今から思えば、私はPharmsだけではなくCLINICSのカスタマーサクセス業務にも携わることができたので、Dentis開発において課題に感じてたことを改善する動きにもつながった実感もあって。今こうしてサービスがリリースできたことが嬉しいです。

—複雑な気持ちは感じながらも、いまやるべきことに納得して切り替えたんですね。


Pharms開発へ一旦集中することになったメンバーのみなさん。Pharmsは2020年9月に無事提供開始となったわけですが、Dentisの開発はそこからどう進んだのでしょうか?続きは以下よりご覧ください!!

※写真は感染対策に配慮しながら撮影しています


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