エンジニアが聞く! 非エンジニアのGAS & BigQueryを使った自動化
こんにちは、メドレーでエンジニアをしている平木です。昨今ではさまざまなツールを使った業務の自動化が身近になっていますよね。
「そういえばメドレーでは、以前からエンジニア以外の職種の方もGoogle Apps Script(以下、GAS)やBigQueryをうまく活用しているな」ということで、社内メンバー2名に話を聞いてみました。定型業務を自動化した具体例をご紹介します。
担当アサインを自動化し、チームで受注を喜べる仕組みを作った話
ナカムラさん
──まずはナカムラさんの業務内容を教えてください。
ジョブメドレーアカデミーを利用する顧客への請求業務、顧客からのお問い合わせ対応、カスタマーサクセスグループの業務改善です。
──ナカムラさんはGASやBigQueryを使って業務改善をしていると聞いたのですが、具体的にどんな改善を?
代表的なもので言うと、担当アサインbotを作りました。
──担当アサインbot?
これまでは、営業が受注した顧客への担当アサインを、マネージャーが手作業でやっていたんです。顧客の内容を軽く確認して「前は〇〇さんに割り振ったから次は△△さんかな」みたいに。それを自動化したのが担当アサインbotです。
──なるほど。どんな仕組みなんですか?
営業がフォームに顧客情報を打ち込んだら、Slackの該当チャンネルに受注報告が飛んで、それと同じタイミングで担当者が自動的に割り振られます。
そして割り振られた担当者には、翌日メールで「あなたはこの顧客の担当ですよ」って通知が送られる仕組みです。
これのおかげで、付随する業務も含めてマネージャーの作業時間を毎月3時間ほど浮かせることができました。
──至れり尽くせりですね。そもそもこういうことを「GASでできる」っていうのは、誰かに教えてもらったんですか?
いや、ぼんやりとやりたいことを検索していくうちにGASにたどり着いたんです。他の人が作ったものを見つけてチーム用に作り替えて……を繰り返して。
なので担当アサインbotの仕様も、インターネットの先人たちの力を借りています。とりあえずコピペして、見よう見まねでいじって自分たちのかたちにしていきましたね。
──やりたいことが固まっていて、そのやり方を調べて、一番大変な仕様を決める作業ができているのですごいなと思います。
エンジニアの方に言われると嬉しいです!
でも後から見返してもわかるように、やっていることを言語化するのが大変でした。
──そういうときはコメントを書くのもいいですし、変数名は長くなってでもパッと見て「何をやっているものか」がわかるようにユニークな名前を付けておくといいですよ!
まさに「変数の名前、何て付けてたっけ」と確認することがありました。そっか、あまりに一般的な名前だと思い出せなくなっちゃいますもんね。
──あと、今はこれが1個の関数になってますけど、例えば別の関数として切り出しちゃって……
──すみませんたくさん喋っちゃって。他にも自動化した業務はありますか?
GASやBigQueryを使って、顧客への請求業務用のシートを作りました。ボタンを押すと、請求書発行システムにアップロードするCSVが生成されるようなものです。
これのおかげで、毎月30時間かかっていた請求業務が3時間に短縮されました。
──それはだいぶ楽になりましたね。
プロダクトグループの方にもすごく手伝ってもらったんです。
メドレーはエンジニアとの距離が近いので、わからないことを聞けますし、エンジニアが書いているクエリもMetabase*で見れてありがたいです。
*オープンソースソフトウェア(ソースコードが公開されていて、改変・再配布が認められているソフトウェア)のデータ可視化ツール。BigQureryやGoogle Analyticといった外部のデータソースを参照して分析する
──逆に、自動化していないものってありますか?
重要な数字かつ毎月変動するものは自動化しないほうが良いなと思っています。
例えば、以前は管理会計で更新する顧客数や金額情報の取得を自動化していたんですが、かなりミスが増えてしまって自動化を止めたんです。
というのもジョブメドレーアカデミーは今、業種を増やしたり商品を増やしたりという過渡期なので、毎月情報の項目に変化があるんですよね。結果、手作業のほうが確実で早いなと。
──せっかく自動化しても、毎月発生する少しの変化に合わせてメンテナンスしていたら、管理コストが上回りますもんね。
あとは自動化することで硬直してしまうと言いますか、自動化に当てはまらないものは成されなくなるという一面もあるなと思っています。
ジョブメドレーアカデミーとしては事業を伸ばしている時期なのに、「もう自動化オペレーションを組んでいるから、それにハマらない業種や商品は増やしにくいな」ってなってしまうのは本末転倒だなと。
──変化を受け入れるバッファを残しつつ、定型化されたものは自動化していくのがベストということですね。ありがとうございました!
ルーティン業務をチームを巻き込んで自動化した話
オガワさん
──オガワさんはメドレーでどんな業務をしてきたんですか?
入社してからずっと、求人を作成する部署にいます。チームが大きくなるにつれて、求人作成以外の周辺業務を取りこぼすことが増え、その受け皿のような働き方をすることが増えていきました。現在は求人を作成することはあまりなく、マネージャー業務がメインです。
──オガワさんはいろんな業務を自動化していると聞きました。はじめに自動化したのは?
アライアンス先からの請求書メールを抽出するシートの作成です。GASを使いました。
毎月20通ほど請求に関するメールがきていて、そのメール内容から請求金額や顧客名をスプレッドシートに転記して、請求書ファイルをダウンロードしてリネームしてドライブにあげて……って作業が発生していたんです。
それを改善したくて、ボタンを押せばGmailから必要な情報をスプレッドシートに転記して、ファイルをリネームして保管できるようなシートを作りました。
──Googleスプレッドシート、Gmail、Googleドライブ、3つのサービスに渡った自動化で高機能ですね! こういった自動化に踏み切った理由とは?
ルーティン業務におけるヒューマンエラーを防ぎたかったのが理由の一つです。あとは自分が思い描いた結果が、GASを使って一瞬で出せるのが楽しかったのもあります。
──もともと自動化に興味があったんですか?
実はちょっとした自動化はけっこう前からやっていたんです。
スプレッドシートで関数を組んで皆で使えるツールを作る、みたいなことですが。周辺業務をやると、どうしても新しい手順が増えて、それに適したツールが必要になってくるので。
それもあって、以前から「GASを勉強したらもっとすごいことができるんだろうな〜」と思ってました。
──そうだったんですね。実際にGASの勉強を始めたきっかけは?
ジョブメドレーに掲載されている求人の、掲載明示項目のメンテナンスです。
掲載明示項目というのは求人に必ず書くべき項目として設定されているものです。でも、掲載明示項目が定められる以前に作成された求人がそのまま残っていることがあって。そういった、書くべき項目を満たしていない求人のメンテナンスをしていこうってなったんです。
──なるほど。となると、足りない情報をお客さんから集めないといけないんですね。
そうなんです。適切な運用のためにも、お客さんに「この情報が足りないのでください」ってメールを送る必要があるんですが、そのメールを1通1通作るのって現実的じゃないなと。GASを使えば効率的にできそうだなと思ったんです。
──それで勉強を始めたと。
はい、チームメンバーの何人かと一緒に。本当はメンバー主導でやってほしい思いもありましたが、「GASを勉強してやってみてね、よろしく!」だとマネージャーとして無責任じゃないですか(笑)。
もともと自分も興味を持っていたので「一緒に勉強しませんか?」ってメンバーを巻き込んで、「1日30分は勉強しよう」という勉強会スタイルで始めました。
──オガワさんは何を使ってGASを勉強したんですか?
Udemyを使いました。
最初はサイトやブログを見て一つひとつ勉強してたんですが、最終的に「ここから先は自由にどうぞ!」みたいに投げ出されて、挫折することが何回かあって。
GASは何でもできるからこそ、最初は何ができるのかさっぱりわからないんですよね。だから「〇〇ができるようになる」って具体的なゴールが提示されているUdemyが一番身になりました。
──実例があると取り組みやすいですよね。一緒に勉強したメンバーも今はGASを使ってるんですか?
1人はもうGASを活用した業務改善を他のチームに対しても進めています。
他の2人は勉強中で、Slackで毎日投稿している業務スレッドを自動投下するとか、小さなことから実践しています。こういった自動化は自発的にやっていく雰囲気で、わからないことがあれば僕も一緒に考えていきます。
──自動化した物のメンテナンスはどうしてるんですか?
基本的にエラーが出れば対応するかたちです。
あとはチームでの定例が毎週あるので、メンバーから「もっとこうしたい」などの要望が出れば、その都度改善していきます。
──チームで取り組む姿勢が良いですね。今後挑戦したい自動化はありますか?
ChatGPT の活用ですかね。まだ正式な導入には慎重な判断が必要ですが、これからはAIとの仕組み作りでできることが増えてくるのかなと思います。
──ジョブメドレーアカデミーではさっそく導入して業務効率アップしていましたね。今後が楽しみです。ありがとうございました!
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