Naresh K. Malhotra による、S.L.VargoとR.F.Luschによる「サービス・ドミナント・ロジック」の視点からの「価値」と「価値共創」に関する短い、しかし基本的で重要な解説。
以下は、
の冒頭に寄せられた、Malhotraによるintroductionより。
*の箇所は訳だけでは読み取れない部分として高広の解説として付け足してあります。
マーケティングの観点から見て、サービス・ドミナント・ロジックの重要な点は、特に以下の3つ。
つまり、企業側が「価値」を決定することはできない
「価値共創」というのは、「価値は常に共創によって発生している」とか、「価値は共創によってのみしか生まれない」ということを意味しているのであり、「顧客と企業との共創によって価値を“生み出す”」というのは、サービス・ドミナント・ロジックの基本的な概念としては誤用である。ただし、実務・実践の世界におけるデザインとして、その考えは適用できそうだが、意図的に共創が可能なのか、あるいはそれを共創というのかは疑問である。なぜなら、そこで生み出されたのが単に「商品やサービス(=可算名詞のservice(s)」だとすると、それは「価値」を生み出したのではなく、製品(goods)を生み出したに過ぎないからである。このときは「共創 cocreation」ではなく、「協働 coproduction」といったほうが適切である。
また、そもそも「マーケティング」で「共創」は可能なのか?という根本的な疑問も生じる。
ここで、注意しなければならないのはここでいう“文脈”とは、アクター間の資源統合やサービスの相互提供の中で発生している“文脈”であるということ。一アクターにとっての私的かつ主観的なものではないということ。
制度的、あるいはアクターの所属するグループなど、複数のアクター間によって集合的・社会的に発生している“文脈”である、という理解をしておいたほうがいいだろう。
※上に出てくる「アクター actor」という概念については、以下を参照のこと。