TKAを予定している患者に術前からの理学療法は有効か?
外来リハビリテーションを行なっている医療施設では,数ヶ月後に全人工膝関節置換術を予定している患者様に対して手術前からの理学療法介入を行う機会があるかと思います。
術前の身体機能が手術後の機能回復や予後に関係することは多くの報告で証明されており,経験上も想像しやすい事柄かと思いますが,手術前に身体機能向上を目的とした理学療法介入は有効なのでしょうか?
術前理学療法の有効性
結論からお伝えしますと有効です。
以下にAPTAのガイドラインを一部抜粋引用させていただきます。
介入効果
術前からの理学療法介入の効果としては以下のようなものが挙げられております。
活動レベルの改善
痛みの軽減
バランス能力の改善
膝関節可動域の改善
膝関節および股関節の等尺性筋力強化
QOLに関する報告の改善(例:SF-36による測定)
有効な方法
では実際にどのような理学療法が有効なのかという点についてです。
文献によって介入方法,介入期間は様々ですが,「TKA術前理学療法プログラム」といった特殊なものはなく
関節可動域訓練(膝関節・股関節)
等尺性筋力増強訓練(膝関節・股関節)
歩行訓練
バランス訓練
などといった変形性膝関節症患者様に処方する一般的な理学療法で十分に効果は出せるということです。
ただ,実際は一言で「TKAを予定している患者様」といっても病態は様々であり,患者様個々にあわせた理学療法を提供するには運動の種類,頻度,期間などといった点に関するさらなる研究が必要かと思われます。
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